【レア作品!香港映画】ゴールデン忍者(GOLDEN NINJA WARRIOR/《霹靂女王蜂》)85分

投稿者: | 2023年10月24日

おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

悪漢を倒すため女性主人公が悪の組織に戦いを挑む台湾製アクション作品のアクションシーンに、強引に忍者アクションを少しづつ挿入した、違和感少な目のニコイチ忍者アクション!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介する作品は、フィルマーク社系列IFDフィルムズ製作のニコイチ忍者映画です。

それでは、まずはあらすじから、

忍者の世界を支配でる黄金忍者像を巡って、黒忍者と赤忍者の間では、古くから戦いが繰り返されてきた。

黒忍者で黄金忍者でもあるシェリーは、ある日、父親が、闇組織のボス、イーグルとエリックによって殺害された、という知らせを受け取る。

父の復讐を誓ったシェリーは、単身香港に飛び、闇組織壊滅に乗り出すが、そんなシェリーの前に赤忍者、サクラが立ちはだかる!?

既に公開済みの作品の権利を買い取り、その映像に新規撮影の忍者アクションパートを強引に挿入して1本の新たな映画として公開してしまう、

ニコイチ映画で有名なフィルマーク社系列IFDフィルムズが製作したクノイチ忍者アクション作品です。

一応、本作は(Ninja Terminator)というIFDニコイチ忍者作品の続編という設定にはなっていますが、

冒頭で少し前回の映像が流れるぐらいで、特につながりは無い内容となっています。

因みに、本作VHSの裏ジャケットや、日本のデータベースサイトでは、本作の主演がリチャード・ハリソンとなっていますが、

リチャード・ハリソンは冒頭の前作のあらすじ紹介的な(Ninja Terminator)からの流用シーンに、数秒間のワンカットのみ強引に流用されている部分にのみ登場しますので、主演ではありません。

他作品を流用して製作したニコイチ映画を、さらに別の映画のニコイチ映画に流用する、

というあきれてしまうような手法に、

さらに、日本のVHSリリース元が権利元から買い取った時のいい加減な資料をそのまま鵜呑みにしたのか、

本編冒頭でも、(special appearance特別出演)と表記されるリチャード・ハリソンを主演と表記する、といういい加減さに、時代性を感じるジャケットとなっています。

恐らく、リリース元も助っ人として登場する別の外国人、ドナルド・オーウェンリチャード・ハリソンを混同してしまって、わけがわからなくなってしまっているのではないでしょうか。

リチャード・ハリソン登場シーンは2秒ぐらいです。(20分でも2分でもなく、、、)
フィリップ・コーは、本編に表記もされません、、、。

で、本作のニコイチ前の元ネタはヤン・ホイチー主演の台湾レディースアクション映画(霹靂女王蜂)で、本作もニコイチ作品ではあるのですが、

珍しくオリジナルの方を尊重した構成になっていて、ほぼオリジナルの物語に沿った形で物語が進みながら、

そのアクションシーン中に、戦っているヤン・ホイチーが突如忍者コスチュームに切り替わって、最終的に戦いが終わるころにまた突然元の衣装に戻る、

キレの無いヤン・ホイチーのアクション中に、、、
突然キレのある忍者に変身
戦闘が終わる直前に、また突然キレ無しに戻ります、、、

という感じで、下手すると、その忍者コスチュームアクションがオリジナルそのままと勘違いする程にしっかりとした改変(変な言い方ですが)となっています。

中盤からライバル的なクノイチも登場し、クノイチ対決となっていきますが、忍者部分は、勿論ヤン・ホイチー本人ではなく、

別人の忍者スタントマンが、わざわざ同じ撮影場所で、追加撮影を行ったそうです。

ニコイチ映画たまに、オリジナル部分の俳優を新規撮影部分でもキャスティングして、二つの世界を融合させようとしますが、

本作では、同じ場所で、別人の忍者アクションを強引に挿入する事で、二つの世界を一つにする作戦に出たようです。

ただ、助っ人外国人、ドナルド・オーウェンは再度キャスティングされているようですが。

で、その主人公を演じているヤン・ホイチーは、本作以外には(心變)等数本の作品に出演していますが、1988年以降は目立った活動はしていないようです。

ヤン・ホイチー
ヤン・ホイチー

で、ヤン・ホイチーとちょっとした恋人関係になっていく刑事役で、(忍者プロテクター)(詳しくはこちら)や、

サンダーフォックス)等、ニコイチ映画の犠牲となる作品に度々出演しているリー・ムーチェンが登場し、主人公をサポートしていきます。

リー・ムーチェン
リー・ムーチェン

で、主人公のライバルとなるレディファイター(クノイチ)役で、(野玫瑰)等に出演しているパイ・ルオランが登場し、主人公と激闘を繰り広げていきます。

パイ・ルオラン
パイ・ルオラン

で、主人公を助ける外国人枠で、ドナルド(マイケル)・オーウェンが登場し、それなりに華麗なアクションを披露しています。

ドナルド(マイケル)・オーウェン

オリジナル部分の監督(本作に関してはほとんどのシーンの監督)は、(青年的本色)等の監督作品のあるライ・ウェンシンで、テンポのあるアクションを演出しています。

そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語自体は、恐らく結構シンプルで、父親を殺された主人公が、

父の仇を討つために悪党二人組に戦いを挑んでいく、という大筋で、その流れの中で、敵側の組織のメンバーにレディファイターが交じっていて、

主人公の前に立ちはだかる、という感じで、激闘が繰り広げられていく、というのがオリジナルの大体の流れだと思われます。

そこに、ニコイチ要素として、主人公が実は黄金忍者であるクノイチで、敵のレディファイターも実はライバル忍者である赤忍者、

という(Ninja Terminator)で考えた黄金忍者と赤忍者の設定を、そのまま本作の要素にも付け加える、という感じで、忍者映画として成立させています。

ただ、黄金忍者と言っている割には主人公は黒忍者の衣装をまとっていますし、黄金忍者像の奪い合いという設定は冒頭で説明されますが、黄金忍者像は登場しません。

その辺も流石のIFDクオリティですが、他のニコイチ作品に比べて、新規撮影部分がそんなに目立たない本作を、

かなりややこしくしているのは、まずは主人公のヤン・ホイチーが非常にブレるキャラクターと容姿で、

やたらと衣装や髪型、化粧の雰囲気などがコロコロと変わり、戦いに入るとニコイチ忍者シーンが突然挿入され、

戦い終了直前に、元の姿に戻る、という感じで、主人公のイメージが統一されていないので、色んな人が、一つの役柄を演じているような錯覚に陥ってしまいます。

さらに、中盤から登場する敵側のレディファイター、サクラが、主人公とそっくりな容姿な上に、こちらもコロコロと衣装や化粧の雰囲気が変わり、

同じように薄着で暴れまわったり、突然忍者に変わったり、という感じで、敵側も同じ人物を複数のキャストが演じているような錯覚に陥ります。

初登場時は分かり易いですが、
サクラ洋服バージョン
その直後のサクラ。ヘアスタイルと首元の装飾品が一瞬で変わっています、、、。
しかも、その時の主人公もピンク色でグラサン
一緒に映ると、もう、、、分かりません、、、。

しかも、このサクラ=赤忍者、冒頭からまるで主人公のように目立っていて、逆に主人公の黒忍者の方が目立ちませんので、

忍者アクションシーンの度にどちらが主人公側で、どちらが敵側かも混乱して判断しにくくなっていきます。

さらにさらに、敵側にはサクラ以外に、もう一人ボスの愛人のような、女性がベッドシーン等で登場し、この女性も容姿が似ている、というややこしさで、

しまいには、誰が誰か見分けがつかないままに、やりたい放題暴れまわっている着地点の予測できないキャットファイトを延々を観続ける、という状態になってしまいます。

ボスの彼女も似てます、、、。
サクラとボスカノが一緒に映るシーンは流石に特徴的な衣装のおかげで区別できますが、、
冒頭で、主人公に父の知らせを持ってくるお手伝いさんが、サクラと同じ着物を着ています、、、。

そこに、前半で結構強いというイメージだった主人公が、ライバルサクラの登場ぐらいから、圧倒されてしまう展開が目立ち始め、

中盤ぐらいでは、一旦戦いに敗れて、悪党に捕らえられ、ベッドで襲われて、暫く監禁されたところを、

恋人っぽくなり始めていた刑事のリー・ムーチェンに救われる、というキャラクター面でも、強いのか、強くないのか、よくわからない設定にブレ始め、

『キャー!!!』
『来たぜっ!』

最終的に、やっぱりもう一度強い設定戻って、監禁されていた組織に、まるでその展開が無かったかのように痛快に戦いを挑む、という感じで、色んな意味で主人公とライバルがずっとブレ続けます。

『成敗するわよっ!!』

で、最終的にラストバトルでは、また強くなっている主人公と刑事、悪党とクノイチのチームバトルが繰り広げられ、

リー・ムーチェンのカンフーバトルまで登場します。

という事で、大筋はシンプルなはずですが、ブレ続ける主人公とライバル、そしてやたらと不必要に挿入されるセクシーシーンと突然の忍者バトル、

という実にニコイチ映画らしい奇天烈な作品となっていますので、変わった作品をお好きな方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

最後も、いつもと違い、復讐を果たした主人公が岸壁に立つカットで【THE END】。大丈夫?

というか、本作はオリジナル部分にアクションも多い、分かり易そうな作品なので、わざわざ忍者要素を加えずに、

普通に台詞を英語に吹き替えるだけで、海外でもセールスできる作品だと思われますが、本当に忍者って、そんなに海外で人気あったのでしょうか、、、?

日本人の感覚では、ちょっと理解できないですね、、。

作品情報

1985年製作 香港(台湾)製作 ニンジャアクション

監督・製作・脚本 ジョセフ・ライ オリジナル作品部分の監督 ライ・ウェンシン

出演 ヤン・ホイチー、リー・ムーチェン、パイ・ルオラン、ドナルド・オーウェン(マイケル・オーウェン)、クイーニー・ヤン、モーナ・リー、マイク・ティエン

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