カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
猿拳をマスターした青年が、師匠に変わって宿敵と戦う、オーソドックスなコメディカンフー作品!!日本でリリースされた正規VHSソフトは、まさかの字幕無し、英語バージョン!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、脇役陣が豪華なカンフーアクション作品です。
それでは、あまずはあらすじから、
食堂ではたらくチョンは、毎日出前先の道場では実験台として虐められ、街ではチンピラに絡まれる、という散々な日々を過ごしていた。
そんな時、チンピラに絡まれていたところを、偶然居合わせたカンフーの達人の老人に救ってもらう。
感激したチョンは、老人に弟子入りし、修行の末に猿拳を習得する。
そして、腕を上げたチョンは、街で道場荒らしを行う、師匠の宿敵に戦いを挑むのだった!?
実力派のアクションスター、チェン・ムーチュアン主演のカンフーアクション作品です。
チェン・ムーチュアン、近年では、監督に転身し、2016年に製作された(男神抱抱)や、
2017年に製作されたビジネス界を舞台にしたサスペンス(商界)等で、監督として大活躍しています。
そんなチェン・ムーチュアンですが、カンフースターとして出演した作品は、残念ながら、日本ではあまりリリースされていません。
その貴重な作品には、あの、今となっては恐らくDVD化等のパッケージソフト化はまず不可能だと思われる(ミラクルカンフー阿修羅)に出演していて、
本作の監督、ロー・ツェーがそちらも監督していますので、本作は、気心の知れたコンビが結集して製作した作品となっています。
そんな扱いのチェン・ムーチュアンですが、数少ないリリース作品である本作の日本版VHSが、まさかの正規版なのに、字幕無しの英語バージョン、という、
本当に日本では不遇な扱いのカンフースターとなっています。
振り返ってみると、字幕無しで平気でリリースされてしまう、なんて時代は無かったかと思いますが、恐らく輸入版VHSのホラー作品等(死霊のはらわた等)を、
個人輸入して購入するファンが増え出した時期ぐらいのリリースだと思われ、VHSソフト自体が貴重だった事もプラスして、
字幕無しでも行ける、という判断だったのかと思われます。
この時期のVHSソフトの中には、【日本語字幕付き】とか【日本語字幕入り】等の表記もあったりで、まるで字幕が入っている事が、今現在のDVD等の映像特典のような付加価値として扱っていた
時期でもあったかと思われます。
さらに本作のような劇場未公開作品は、今現在のような映画館で上映するレベルではない作品、というワンランク下扱いではなく、
VHSソフトでしか鑑賞する事ができない作品として、逆に価値のある作品としての付加価値がついていた時代ですので、
VHSソフト自体の価値と、珍しい未公開作品、という付加価値があるので、字幕無しのままのリリース、という判断だったのかと思われます。
そう考えると、本作のような字幕無しのVHSパッケージソフトの存在は、やはりその時代を知る上でも貴重かと思われます。
それでも、物語は、大体しか、分からないので実際困りますが、、、。
で、そんな大体の話しか理解できない本編の物語ですが、これが、基本的にはオーソドックスなコメディカンフーアクションなので、実は字幕無しでもほぼ理解できてしまいます。
女主人の経営する食堂で、働く気弱な青年チョンが、カンフーの達人の老人と出会い、猿拳を習って習得し、
そして、体を悪くした老人に変わって、老人の宿敵に勝負を挑む、という流れの作品で、どこかで見たことのある展開ばかりですので、
字幕が無く、初見であっても、ある程度古いカンフー作品を鑑賞済みの方なら、ほぼ理解できるようになっています。
ただ、どうも本作テレビ放映時には登場する食堂の女性主人が、カンフーを教わる師匠の娘、として訳されていたようですが、
英語版のVHSでは、『シスター、ブラザー』と呼び合っていましたので、恐らく兄弟子、妹弟子の関係なのかと思われます。
結構重要な事ですが、その辺の設定がぼやけていても、本筋とはそれほど絡みませんので、大筋では理解できる物語となっています。
で、そんなオーソドックスな分かりやすいカンフー作品ですが、本作には、他の作品ではちょっと見たことの無いような展開が少し特徴となっています。
一つは、要所要所で、ふらっと現れて、思わせぶりな事を散々言っておきながら、何かしそうで、結局何もしない、
という謎の男役で、ショウブラザース社の(大酔侠)や、(流星胡蝶剣)等の武侠作品でブレイクしたビッグスター、ユエ・ホワが登場し、その都度一瞬だけ、見せ場を何度もさらっていきます。
この、アクション映画のスターをカンフーシーンとは全く無関係の、どうでも良いようなハッタリ的に扱う、
という、セールスポイントにさえならないような贅沢ぶりがまず異色となっています。
で、さらに、大活躍しそうな登場の仕方をするものの、結局ただただ完全なヤラレ役な道場主として、香港のブロンソン、チン・シンが登場し、
こちらもビッグスターとは思えないような扱いで、セールスポイントにさえならないような贅沢ぶりを発揮しています。
で、本作の最大の特徴(本来は猿拳のアクションが最大の特徴のはずですが、正直それほどの超絶アクションというわけでもないので、、、)とも言えるのは、
その師匠の宿敵、つまりラスボスの描き方です。
ラスボスを演じるのは、(少林寺炎上)(詳しくはこちら)や、(燃えよデブゴン地獄の危機一髪)(詳しくはこちら)等のチャン・イーで、
前半のチェン・シンとのバトルや、他の道場主との戦いなど見せ場が多いのですが、このチャン・イーが中盤、
宿敵である主人公の師匠、スン・ユンチーと激突するのですが、お互いの実力が五分五分だったために、攻防が膠着状態になっていきます。
で、負けることを恐れた(少なくとも、勝つことはできないと理解した)チャン・イーが、
まずは、戦闘中に、意外な動きを見せます。
どんなB級系のカンフー作品特有の奇天烈な必殺技を繰り出すのかと、身構えていると、、、、、
その必殺技は、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
必死で逃げる!!
凶悪な悪党として登場し、既にその毒牙に何人もの善良な人々をかけてきた悪党が、まさかまさかの、戦闘中に隙を突いて必死で逃げる、
という、他のカンフー作品では、まず見た事のないような無様な姿を見ることになります。
で、さらに、本作は、そこからも異色の展開に突入していきます。
意外に自分が、そんなには強くない事を理解し、実力の低さを反省したチャン・イー、、、。
そのチャン・イーが、、、、
まさかの、、、、
、、、、、、
一人森に籠って修行生活に入ります!!
しかも、その修行シーンが結構時間を取って丹念に描写されますので、
割と大掛かりな修行装置を一人で森と川辺の広場にこしらえて、生え際の後退したおじさんが、髪を振り乱して、必死で蛇拳を訓練する、
という、普通は、絶対健康的な若い主役の青年がやるはずの事を、ラスボス側がやってしまいます。
勿論、その間主人公達の存在感は極めて低くなってしまいますので、主人公側にも修行シーン自体は一応ありますが、
なんとなくふざけているうちに技を習得してしまっている、という、まるで努力や忍耐の伝わらない訓練シーンとなっています。
要するに、カンフー映画で見せ場の比重が高い訓練シーンを、まさかのラスボス側に持っていかれてしまう、
という、良いか悪いかは別として、とりあえず変わった特徴を持つ作品となっています。
その必死の修行で習得した技が、英語題にもなっている(FLOATING 浮遊の、浮動的なSNAKES蛇)と言いう事で、素早い足の移動の動きで相手を惑わしながら隙を突いて攻撃する、
という浮遊蛇拳、あるいは浮動蛇拳といった感じの必殺技を完成させて攻撃してきます。
とはいえ、結局は倒されるべき役柄なので、髪を振り乱して覚えた技も、あっけなく破られてしまうのですが、、、。
という事で、大筋ではオーソドックスな展開のコメディカンフー作品ながらも、その描き方や、キャストの扱いが特徴的なカンフー作品となっていますので、
カンフー映画好きの方等機会がありましたらご鑑賞ください。
字幕はありませんが、、、。
因みに、酔猿拳を訓練するシーンで、日本の【帰って来たヨッパライ】が流れます、、、。
選曲センスも独特!!
作品情報
1979年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 ロー・ツェー
出演 チェン・ムーチュアン、スン・ユンチー、チェン・シン、チャン・イー、ユエ・ホワ、エディ・コー、ジェリー・チュウ
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