カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
日本でも劇場公開された(復讐のドラゴン)の姉妹編的な、少林英雄方世玉を主人公にした痛快カンフーアクション!!結構ドラマティックで熱いです!!
作品紹介
日本劇場未公開
テレビ放映題 少林寺マスター
今回ご紹介するのは、メン・フェイ主演、和製ドラゴン倉田保昭共演のカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
政府の悪徳マー将軍は、民衆の英雄としてもてはやされている少林英雄方世玉を、捉えようとするが、方世玉に憧れる青年ファンチンが偽の方世玉として名乗り出る等、混沌としていた。
そんな中、ついに本物の方世玉が現れ、マー将軍の雇った富士との勝負を受け入れるのだった。
しかし、姑息な手段も用いられ、重症を負った方世玉は、民衆の協力を得て、なんとか一命を取り留める。
そして、復讐を決意した方世玉は、少林拳の達人の下で、新たな修行を開始するのだった!?
甘いマスクのカンフースター、メン・フェイが少林英雄方世玉を演じた(武道大連合復讐のドラゴン)、(ドラゴン少林拳)に次ぐ人気シリーズの第3弾です。
シリーズ3作共通して監督と主演が同じで、脇のキャストも同じメンツが揃い、主演のメン・フェイが方世玉を演じる、というしっかりとしたシリーズなのですが、
1作目と2作目は物語を継承していますが、3作目である本作は、同じくメン・フェイが方世玉を演じ、
ディロン・タンと和製ドラゴン倉田保昭も登場するものの、前作までとは別人分として登場しますので、
3作目は姉妹編のような、リメイクのような作品となっています。
とは言え、2作目も特に、1作目を鑑賞していなくても内容は理解できるような物語でしたので、3作、どの作品を鑑賞しても、特に問題なく鑑賞できるようになっています。
(霊幻道士)や(五福星)シリーズのような感じですね。
監督はオーヤン・チュンという事で、本シリーズの他にはリュー・チャーフィーの独特なカンフー作品(少林酔八拳)(詳しくはこちら)等で知られています。
その後、カンフー映画は卒業したのか、地元韓国でエロティックな韓国時代劇(妖花鏡)等を監督しているようです。
で、その独特なカンフーものも製作する監督による本シリーズですが、一作目が1972年に製作され、日本でもドラゴンブームの際に劇場公開された(武道大連合 復讐のドラゴン)で、
大ヒットを記録したために1976年に、続編である(疾風方世玉)が製作されました。
こちらは日本では劇場公開されなかったものの、(ドラゴン少林拳)のタイトルでテレビ放映されました。
で、大好評につき、いよいよ1977年に本作が製作となります。
1作目でラスボスとして大々的に登場し、メン・フェイと激闘を演じつつも、2作目はゲスト出演(というより1作目のフィルムの使いまわし)に留まっていた和製ドラゴン倉田保昭が、
3作目にして堂々の復帰、さらに2作目に出演していたハイキッカー、ディロン・タンも再登場し、意表を突いて後半、メン・フェイの師匠として足腰を鍛える訓練を指導します。
中盤では、ほんの少しですが、和製ドラゴンとディロン・タンの激突もあり、なかなかの熱い展開になっていきます。
という事で、シリーズの総決算的なキャストと内容のメン・フェイ版フォン・サイヨシリーズですが、
本作は、本数を重ねる人気シリーズならではの展開を見せる物語となっています。
世間でも評判となっている市民の英雄、フォン・サイヨの偽物登場です。
この偽フォン・サイヨを演じているのが、ラウ・ブラザーズのラウ・カーウィンで、武術指導も兄のラウ・カーリョンと共に担当しています。
この二人の参加で本作は、アクション的にも内容的にも他の作品にはない魅力を放つ作品となっています。
少し残念なのは、この偽フォン・サイヨとの物語が、熱い友情を育むシーン等もありながら、中盤辺りまでで終わってしまい、
その後登場する、足を負傷した元少林寺門弟であるディロン・タンの物語へとバトンタッチしてしまいますので、
非常に勿体ないキャラクターとなっています。
しかも、本作が製作された1977年に、ラウ・カーウィンは(獨臂俠大戰獨臂俠)というジミー・ウォング主演の(片腕必殺剣)亜流シリーズにも、
まさかの偽片腕必殺剣として出演していますので、その年に関しては偽物役専門カンフースターとして活躍していた事になります。
で、そんな偽物との対決からの熱い友情、そこからの主人公の身代わりとして強敵とのバトル、という熱い流れになっていきます。
その強敵として登場するのが、我らが和製ドラゴン倉田保昭で、足場の悪い丸太の上で、超絶バトルを展開していきます。
で、颯爽と登場したフォン・サイヨですが、残念ながら力及ばす、戦いの中で重症を負ってしまいます。
で、フォン・サイヨにとどめを刺せ!という流れになりますが、ここからが結構熱く、市民の間で既にヒーローとして慕われているフォン・サイヨを、
見ず知らずの市民が庇って皆で助けよう、という流れになっていきます。
この展開で、意外な人物が活躍して、兵士たちの猛攻からなんとか、逃がしていきます。
で、そこから、いよいよディロン・タンのパートに入っていきます。
今回は、足を負傷して松葉杖をついている、という役柄ですので、あの綺麗な足技が控えめなのが残念ですが、
くじけそうになるフォン・サイヨを鼓舞し、厳しく足腰を鍛えていく師匠役を好演しています。
そんな熱い展開の中、いよいよ最終決戦とも言える和製ドラゴンとの激突に入っていきます。
このバトルも熱く、勿論横から撮影したトリック撮影も多投はされますが、実際に引いて撮影しているアクションも結構ありますので、
危険を伴った熱いバトルとなっています。
と、ここまでは順調にドラマティックなカンフー物語が展開されて非常に楽しめるのですが、本作は残念ながらこの大事なバトル、
散々引っ張っていたにもかかわらず、随分と端折った感じで、淡白に決着がついてしまいます。
正直、ディロン・タンに鍛えてもらった足腰の上達ぶりを見せ切る前にさっさと勝敗が付いてしまう、という印象で、目を離した隙に勝負がついている、という感じのラストとなっています。
で、和製ドラゴンと決着するや否や、移動シーンも描かれず、忘れかけていた本来の大ボスである、悪徳将軍、チャン・イーの屋敷に異動し、
本当のラストバトルに突入、、、、、、
、、、、
してから、、、
、、、、
3分半で決着がつく、というコンパクトバトル!!!
短い!!
というか、だったら要らないのでは!?
しかもラストシーンはフォン・サイヨの飛び蹴りが決まった直後、という決定的瞬間でのスピード終劇。
もっと言うと、和製ドラゴンとのバトルが始まってからそのバトルの決着、そして本来のラスボスとのバトル決着までがたったの8分!!
という、打ち切り漫画の最終回のような急ぎ足ぶりは、それまでのドラマが非常に楽しめる展開だったために、やはり非常に勿体ないクライマックスとなっています。
それとも、完全版とかが存在するのでしょうか。
因みに本作の日本版VHSは例の日本語字幕無しシリーズ(本作は英語版ではなく中国語版)でのリリースですので、
不完全版でのリリースの可能性もありますが、本国のデータベースサイトにも日本版と同じ分数が表記されていますので、
一般的に知られているバージョンは、この尻切れトンボバージョンだと思われます。
いや、勿体ないですね、、、。ラスト以外は、非常に面白いのですが、、、。
作品情報
1977年製作 台湾製作 カンフーアクション
監督 オーヤン・チュン 武術指導 ラウ・ブラザース
出演 メン・フェイ、倉田保昭、ラウ・カーウィン、ディロン・タン、チャン・イー、ロン・ジェンエール
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