モンスターハント(捉妖記MONSTER HUNT)117分
お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
作品紹介
2016年8月6日公開
今回ご紹介するのは、(シュレック)の生みの親であるラ・マンホイ監督が描くファンタジーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
その昔、中国では、妖怪と人間が共存している時代が存在した。
妖怪の国の王子を身ごもっていた王妃は、権力争いに巻き込まれるが、なんとか逃げ延びて人間の住む村まで下山。
そこで出会った若者、テンイン(ジン・ポーラン)にお腹の子を託す。
この事で妖怪たちから終われる身となってしまったテンインは、女妖怪ハンターのショウ・ラン(バイ・バイホー)と協力し、妖怪の王子(フーバ)のために奔走する!?
(シュレック)の生みの親であるラ・マンホイが監督し、日本から美術監督として(ヘイトフルエイト)などハリウッドで活躍する種田陽平が参加、
さらにVFXを(パイレーツ・オブ・カリビアン)、(スターウォーズフォースの覚醒)を手掛けたスタッフが作り上げたファンタジー武侠アクション作品です。
さらに本作の製作を手掛けているのは(グリーンデスティニー)などアジア圏とハリウッドの合作大作で有名なビル・コンとなっていますので、世界でのヒットを視野に入れた作品となっています。
香港アカデミー賞では視覚効果賞や新人監督賞などを受賞しました。
それだけ力の入ったファンタジー作品ですので、VFXの表現は素晴らしく、架空のキャラクターが多数登場する世界観ですが、特に違和感なく実写映像と融合していました。
見どころの多い作品ですが、個人的に注目したいのは、事実上の主人公であるバイ・バイホーです。
日本で公開されている出演作品はエディ・ポンと共演した(最後の晩餐)ぐらいしかありませんが、本作で演じている女妖怪ハンター役が物凄くイメージと合っていて、
その健康的で男勝り、少々ガサツ(良い意味で)で、しかも武芸の達人という役柄に見事にハマっていました。
アクション自体も非常に軽やかで、全てではないにしろ、割と本人がアクションをこなしているシーンも多いようでしたので、運動神経の良さも備わっているようでした。
その魅力的な妖怪ハンターを軸に、妖怪王子の争奪戦が展開されていくわけですが、その王子側の妖怪を演じているキャストにまさかの香港レジェンド、
エリック・ツァンとサンドラ・ンがお得意のコメディ演技全開で場面をさらっていました。
途中でCGのキャラクターに変わって(変身)してしまうので、ずっと見れないのが残念なほどに目立っていました。
この二人のキャラクターは続編でも登場しますので、シリーズの顔となっていっています。
それと、もう一人、香港・中国語映画圏で一時期引っ張りだこだったキャストがゲスト的に出演しています。
質屋の女将役で出演しているタン・ウェイです。
タン・ウェイといえば、トニー・レオン共演の(ラストコーション)での大胆なシーンで有名になり、その体当たりすぎる演技で人気者となり、
その後ドニー・イェン主演の(捜査官X)や、最近では(ロングデイズジャーニー)など作家性のある作品も、娯楽寄りの作品も両方で魅力を発揮できる実力派です。
本作のようなゲスト出演でのキャスティングはあまり見かけませんが、姉御肌の女将役もしっかりとした説得力でこなしていました。
主演は中国系の人気若手キャストが演じて、脇を香港実力派レジェンドで固める、というのは最近の香港・中国映画の一つの基本となっているようです。
という感じで、他の妖怪ハンターとのバトルなども挟みながら妖怪王子の争奪戦がテンポ良く描かれていく作品となっています。
魅力の多い作品ですが、なんといっても、本作の魅力の結構大部分が主演のバイ・バイホーにあるのではないか、というぐらいに鮮烈なイメージの残る痛快ファンタジーアクションです。
作品情報
2015年製作 中国・香港製作 SFアクション
監督 ラ・マンホイ 製作 ビル・コン 美術監督 種田陽平
出演 バイ・バイホー、ジン・ポーラン、エリック・ツァン、サンドラ・ン、タン・ウェイ、ヤオ・チェン、エレイン・ジン
モンスターハント 王の末裔 (捉妖記2MONSTER HUNT2)110分
お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
作品紹介
2020年11月6日公開
という事で、好評を受けての同じスタッフ・キャストによる前作のその後を描いた続編です。
それでは、まずはあらすじから、
テンインとショウランは妖怪ハンターを続けながら仲睦まじく暮らしていた。
しかし、二人が出会うきっかけとなった妖怪フーバの事が忘れられず、次第に想いを募らせていた。
一方、妖怪の村で命を救われたフーバは逃げ込んだ街で、ペテン師の四谷(トニー・レオン)と出会い、旅を共にする。
しかし、四谷はフーバに懸賞金がかかっている事を知り、高額で売り飛ばそうと画策する。
監督のラ・マンホイ、美術監督の種田陽平、主演のバイ・バイホー、ジン・ポーランと前作から続投のしっかりした続編です。
しかも今回はまさかのトニー・レオンが主演しています。
世界的に有名なトニー・レオンが出演しているのは、非常に魅力的ですが、前作が非常に良くできた世界観でしたので、
そこにビッグスターが参入してしまったら、スターメインの作品になって世界観が崩れてしまうのでは?
と勝手に心配しましたが、完成した作品は、前作の主演二人もしっかり活躍しながらも、トニー・レオンもちゃんと活躍する、という非常に絶妙なバランスの作品となっていました。
フーバの物語と前作の主演二人の物語、それに今回初参加のトニー・レオンの物語を同時進行で描きながら、まずはトニー・レオンとフーバが出会う物語に展開していき、
そこへフーバを探して旅をしてきた前作の二人が合流する、という展開にごく自然になっていきます。
なかなか、続編で、こういった展開になるシリーズ作品も珍しいのではないでしょうか。
通常ですと、トニー・レオンのようなビッグスターが出演すれば、前作の二人はほぼゲストか、最悪の場合出演無しの場合が多いと思われます。
そうなってしまうとシリーズ作品としての面白みはかなり下がってしまいますので、本作のしっかりとした製作体制は素晴らしいのではないでしょうか。
しかもトニー・レオンが演じる四谷が、ペテン師ながらも、根は優しく、思いやりがある、というトニー・レオンが度々演じてきたイメージ通りの役柄でしたので、
作品世界に深みを与えていました。
キャスト陣ではトニー・レオンが初参加ですが、スタッフ陣では日本が誇るアクション派、谷垣健治監督が初参加しています。
ドニー・イェン直伝のアクションシーンは非常にスピード感がありながらも常に、一番カッコ良く魅せるアクションの連続となっていて、
アクションシーンごとにアドレナリンの噴出がとまりません。
登場してアクションをこなすキャラクター全てが、本当に武術の達人に見えてしまうのが、物凄いです。
谷垣健治監督の参加で、明らかに前作に比べてアクションの見せ場はパワーアップしています。
という事でキャストもアクションも全てパワーアップしたしっかりした続編となっていました。
ただ、前作から3年後に製作された続編ですが、バイ・バイホーの健康的でガサツっぽい魅力が、なんとなく別な方向にいっているように感じてしまたのは自分だけでしょうか。
それでも、魅力的であることに変わりはないのですが、、。
という事で、本作は1作目と2作目共に、同じスタッフ・キャストが揃って、さらに2作目はあきらかにパワーアップしている、統一感のあるシリーズですので、
2作続けてのご鑑賞をお勧めします。トニー・レオンは魅力的ですが、できれば2作目からではなく、1作目から鑑賞して頂きたい作品です。
作品情報
2018年製作 中国・香港製作 SFアクション
監督 ラ・マンホイ 美術監督 種田陽平 アクション監督 谷垣健治
出演 トニー・レオン、バイ・バイホー、ジン・ポーラン、エリック・ツァン、サンドラ・ン、トニー・ヤン、クリス・リー
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