お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
水辺に面する村に伝わる民間伝承に基づくモンスターパニック作品と思いきや、半魚人と戦うために選ばれた者たちが、やたらと動きの良い魚人モンスターと空中バトルを繰り広げる、娯楽カンフー作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、大河に生息する謎の怪魚人とバトルを繰り広げるアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
水辺の村に住む水生(リュウ・リンチョン)は、幼少期に川に生息する水猿に父親を惨殺される。
それ以来、復讐を誓う水生だったが、水猿を水神と称える村の風潮に敵討ちもできない日々を送っていた。
そんなある日、十年前に父の命を奪ったあの水猿が、再び現れる事件が発生する。
この事件に対し村長は、水神の怒りを静めるために、村人の中から生贄を差し出す決定を下す。
その生贄とは、水生が思いを寄せる香蘭(ジュ・リーラン)だった!?
中国映画界期待のシアン・チウリアン、シアン・ホーションのシアン兄弟によるモンスターバトルカンフーアクションです。
このDVDジャケットイメージでカンフー?と思われるかもしれませんが、実際にモンスターとのバトルは、武侠映画の武術対決そのものとなっています。
基本的には武術を駆使して戦うバトルではありませんが、モンスター自体が、やたらと動きの良い人間サイズのモンスターで、
ワイヤーワークをフルに使用して、船上、水上を縦横無尽に飛び回ります。
で、華麗に飛び回りながら、人間たちを次々に襲っていきますので、その攻撃に応戦している人間たちも、結果的にまるでカンフー作品を観ているような闘いを繰り広げます。
本作は、81分という短い上映時間の中、このモンスターカンフーバトルがメインの作品となっていますので、結果的にモンスターもの、というよりもカンフーものを鑑賞した時のような感覚の得られる作品となっています。
近年の中国作品は、武侠アクションの形を取りながらも、動けないキャストがワイヤーで吊られて横に移動するだけのような作品が多く、
カタルシスの欠片も得られないような作品も少なくないですが、その点本作は、しっかりとエンターテイメント作品として楽しめる作品となっています。
本作の魅力は、その予想外のモンスターカンフーバトルにあることは、間違いありませんが、そのキャラクターの描き方や、特徴的なキャスティングなど、
物語への感情移入度を上げる効果的な細かい配慮もしっかりとされている作品となっています。
特に主演の二人は、存在感や演技力など、そこにいるだけで魅力を放つスター性を持っていますので、それだけをとっても、近年の中国製作作品で主演しているキャストの無個性さと比べて、
比較にならないぐらいの魅力を放っています。
そんなしっかりと娯楽映画している本作の監督は香港映画の名作カンフー映画を最新の技術と、解っている演出でリメイクした傑作(バトル・オブ・ダンジア魔獣大戦)(詳しくはこちら)を大ヒットさせた、
シアン・チウリアンとシアン・ホーションのシアン兄弟です。
自身の製作会社も設立していて、(蛇王キング・オブ・スネーク)(詳しくはこちら)などもシアン兄弟の製作会社で製作された作品となっています。
それを考えると、本作の悪と戦うために複数の英雄が集まって、協力して打倒す、という流れは、どこか(バトル・オブ・ダンジア)に通ずるところがあるように思えます。
近年の中国作品の中では、ずば抜けて娯楽要素を追求した作風で、今後の活躍も大いに期待できそうです。
ただ、カンフーバトル作品として楽しめる方は良いのですが、純粋なモンスターパニックを期待する(大半はそうだと思いますが)と、
おそらく、予想とはかけ離れた内容とはなっていると思われますので、期待外れと感じる方は多いかもしれません。
本作に恐怖感はほとんどなく、DVDジャケットのように巨大なモンスターも登場せず、モンスター自体も着ぐるみ感を無くしてリアル感を出す、
という演出はそもそも全くないように感じられますので、そういった展開を期待している方には消化不良かもしれません。
ですが、作品全体を通して、ハリウッド作品のようにテンポの良さを意識した良質のエンターテイメント作品となっていますので、十分楽しめる作品にはなっているのではないでしょうか。
という事で、上映時間も短く、基本的にはモンスターとのバトルシーンがメインのシンプルな作品ですが、近年の中国作品の中では、
群を抜いて娯楽要素の高い作品となっていますので、機会がありましたら、ご鑑賞ください。
それにしても、こういうアクションが沢山見れる純粋なカンフー作品が見たいですね。
作品情報
2019年製作 中国製作 モンスターアクション
監督・脚本 シアン・チウリアン、シアン・ホーション
出演 リュウ・リンチョン、ジュ・リーラン、シェ・イー
その他のモンスターアクション作品
テンポ良く大蛇との戦いを描いた中国産モンスターアクション(蛇王キング・オブ・スネーク)はこちら
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