カンフー映画としてのおすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
ジェット・リーも演じた少林英雄、方世玉を主人公とした新世代のカンフーヒーロー物語!!でも期待の木人シーンはほとんど登場しません、、。
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介数するのは、小説などで古くから人気のあった方世玉を主人公にしたカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
少林寺で修業を積んだ方世玉は、帰宅早々に町を荒らす無法者を懲らしめる。
しかし、その無法者は、街を牛耳る腐敗した官僚の部下で、そのことがきっけで、腐敗高官とそれを正す正義の自警団との争いに巻き込まれていくのだった!?
(木人列伝)というジャッキー・チェンの(少林寺木人拳)を思わせるタイトルがついていますので、期待に胸膨らみますが、
実際木人シーンは冒頭の5分間であっさり終了し、普通のカンフードラマに突入してしまいます。
ただ、この木人シーン、当然今の時代ですとCGバリバリなのですが、バトルの後半にそれぞれの木人が合体して一つの大きな木人になる、
という漫画か、(トランスフォーマー)か、みたいな展開になりますので、
ちょっとバカバカしいながらもカンフー映画に合体ロボという斬新なスタイルが、意外に楽しい出だしとなっています。
なかなかこれからの流れを期待させる面白い出だしですが、主演のワン・チャオが、イケメンでスター性はあるものの、
どう考えても顔の良さでキャスティングされているような風貌で、多くのカンフースターが演じてきた役柄を演じるには少々役不足、
というか、きゃしゃすぎて全くヒーローに見えないという不安もかんじさせる初登場シーンとなっています。
アクション自体は、いつものようにカット割りで角度を変えまくって何をやっているのかよくわからない系のアクションが中心となっています。
そんなイケメンヒーローが演じる役柄は実在の英雄っぽいけれども実は、人気の小説用に創作されたキャラクターである方世玉です。
一応、だいたいの共通の設定として、武術の達人である母親に幼少期からカンフーの英才教育を受けていた方世玉が、10歳のころに試合相手を死なせてしまい、
逃げるように少林寺に入山、そのまま修業を積み、下山後に民衆のために悪人たちと戦い、清朝政府の少林寺焼き討ち(を扱った作品、少林寺炎上はこちら)事件で亡くなってしまう、
というのが、大体共通の設定になっていて、色んな小説や映画などで、その基本ストーリーをアレンジしてカンフーヒーローものとして様々な物語が展開される人気ジャンルの一つとなっています。
これまでにも多くの作品が製作され、古くは薄命の貴公子アレクサンダー・フーシュン、チェン・カンタイ主演で日本でも劇場公開もされた(嵐を呼ぶドラゴン)や、
その続編で今度はチー・クワンチュンが抜擢された(続・嵐を呼ぶドラゴン)、
日本から倉田保昭が悪役で出演、イケメン枠主演でリー・フォアマンが主演し、日本でも劇場公開された(武道大連合復讐のドラゴン)と、
その続編で日本ではテレビ放映と字幕無し、というトンデモナイ仕様でVHSソフト化された(少林寺必殺舞扇拳)、
ジェット・リーが自身の制作会社で製作し、母親のトンデモない強さと、多少マザコンコメディ的な印象が強く残り、
ラスボス役で後の(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ)シリーズで主役のウォン・フェイホン役をジェット・リーから受け継ぐことになるチウ・マンチェクが出演している
(レジェンド・オブ・フラッシュファイター格闘飛龍)とその続編、
日本でも劇場公開されカンフー映画が下火の時期だったにも関わらず好評だったので、続編も制作され、日本でもシリーズ両方ともDVD化された(最後の少林寺)とその続編(続・最後の少林寺)、
など日本に紹介された作品だけでも方世玉を主人公にした作品は多く存在します。
中国や香港では、流行りの時期は関係なく常に最新作が製作されている状況ですので、今後も何作かは日本でもリリースされるのではないでしょうか。
というように人気のキャラクター方世玉をイケメンキャストが演じた本作ですが、木人シーンはおまけ程度で、本題は町を牛じる悪官僚退治の物語になります。
公的資金で私腹を肥やしていた悪代官がその悪事を記した台帳をめぐって、自警団と戦う物語で、その戦いに正義の英雄方世玉が巻き込まれていくというのが大筋となっています。
で、広場での試合シーンや、超絶強い母親とのマザコンシーンなどの方世玉お約束シーン(多分ジェット・リー版の影響が一番大きいような気がします)などを描きつつ、
敵の悪代官に雇われた半獣人のような敵キャラクターとバトルを繰り広げていきます。
詳細が描かれていないので、その半獣人がなぜそのような姿になったのかは、わかりませんでしたが、悪代官はその半獣人に症状を抑える薬を定期的に与えているようで、
その薬を与える代わりに自分の元で働かせている、というちょっと悲しみを背負った敵役となっています。
その割には、設定を活かし切れずに終わってしまいますが、宿敵としては十分インパクトのあるキャラクターでした。
そんな訳ありライバルとも激闘を繰り広げつつ、物語は後半になって主要登場人物が次々と犠牲になり、
急展開を交えながら、悪代官に捉えられていた母親と友人の父親の救出作戦へとなだれ込みます。
犠牲者は沢山でますが、方世玉の強さだけは揺るがないので、ラスボスである悪代官も自身がまとっている(精神的に?)黄金(っぽい)甲冑によって、
ダメージは最小限にとどめて、最終的に悪代官を打倒します。
勿論、方世玉が悪人をやっつける、という事が主題の作品なので、絶対敵を倒すことは最初から決まっていますが、どうも主演のワン・チャオのきゃしゃぶりが、
なぜ敵を倒せているのかわからなくなるぐらいに体の線が細い(ブルース・リーのような細マッチョとかではなく、根本的に肉が付いてなさすぎる)ので、
どうも勧善懲悪の物語にしっくりこないのが最大の難点ではないかと思われます。
という事で、武侠作品が多い中のカンフー作品という事で、期待しましたが、そこまでカンフー映画としての温度の高い作品という事でもありませんでしたので、
カンフー映画好きの方や、イケメン好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、そろそろワイヤーを極力使わないカンフー作品が観たいですね。
作品情報
2020年製作 中国製作 カンフーアクション
監督 グオ・ユーロン、リウ・グオチン
出演 ワン・チャオ、ポン・ボー、シー・シェンルー
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