カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
雇い主の謀略によって妻殺しの罪を着せられ、妖術師の呪いまでかけられたサモ・ハンが、カンフーと妖術で応戦する(霊幻道士)のルーツともなったサモ・ハンホラー三部作の第一弾!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、後の(霊幻道士)へと繋がる妖術合戦が描かれるサモ・ハン主演のカンフーホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
【大肝】を自称するジェン・ダイタンは、今日も仲間達と肝試し勝負等をしながら雇い主である街の有力者ダンに仕えていたが、
実は、ダンはジェンの妻と関係を持っていて、ジェンに気付かれそうになったダンは、スキャンダルを恐れて悪の妖術師にジェンの暗殺を依頼するのだった!?
監督・脚本・武術指導・主演と大活躍しているのは、同年の1980年に(斗え!デブゴン)(詳しくはこちら)や(燃えよデブゴン正義への招待拳)(詳しくはこちら)、
(燃えよデブゴン!お助け拳)(詳しくはこちら)等、傑作カンフー映画を多数製作していた時期のサモ・ハンキンポーで、
本作では、その後の(霊幻道士)(詳しくはこちら)に繋がるような本格的なキョンシーバトルを取り入れて、他の作品とは違うホラーカンフー路線を創り出しています。
因みに、本作を含めた後の(霊幻師弟人嚇人)や(霊幻百鬼)と合わせて【霊幻道士元祖シリーズ、サモ・ハンホラー三部作】と言われていたりします。
で、サモ・ハンを悪道士から守ってくれる妖術師役で、(燃えよデブゴン7)(詳しくはこちら)や(霊幻道士2)等、
多くのサモ・ハン作品や、他の作品の悪役として有名なチョン・ファが登場し、珍しく頼れる助っ人としてサモ・ハンを導いていきます。
で、そのチョン・ファの兄弟子で、サモ・ハンに妖術の呪いをかける悪の妖術師役で、(燃えよデブゴンカエル拳対カニ拳)(詳しくはこちら)や、
(ユンピョウinドラ息子カンフー)(詳しくはこちら)等のサモ・ハン作品で活躍しているチャン・ロンが登場し、敵役で凄腕、といういつもとは少し違うイメージの役柄を好演しています。
で、サモ・ハンの雇人でありながらも命を狙う有力者役で、(鬼喰う鬼)(詳しくはこちら)や(燃えよデブゴン豚だカップル拳)等、
こちらもサモ・ハン作品や他の多くのカンフー作品で活躍しているウォン・ハーが登場し、悪役とクライマックスではカンフーアクションも披露して作品の世界観を掘り下げています。
で、ゲスト出演的な登場ですが、警察隊隊長役で、(霊幻道士)シリーズや(密宗威龍)(詳しくはこちら)等のサモ・ハン作品で活躍しているラム・チェンインや、
ウォン・ハーの部下役で、(ファーストミッション)等のサモ・ハン作品で活躍しているタイ・ポー、
サモ・ハンに肝試し賭け勝負を挑む友人役で、(上海エクスプレス)等のサモ・ハン作品や多くの作品の脇役、監督として活躍しているウー・マ、
サモ・ハンを罠に嵌める極悪妻役で、(燃えよデブゴンお助け拳)や(霊幻師弟人嚇人)等のサモ・ハン作品や、
アラン・タン主演の(無毒不丈夫)等に出演しているリョン・シューメイ等が登場し、サモ・ハン作品の常連俳優、常連スタントマンチームが集結した作品となっています。
そんな、サモ・ハンチームの精鋭が製作した本作の物語は、サモ・ハンが友人達と、怪談話に花を咲かせ、
どんな事にも動じない「大肝」を自負するサモ・ハンが、友人たちの口車にのって、幽霊が出ると噂されるある小屋で、
りんごの皮むきを途切れずにできれば勝利、というちょっと子供の肝試しのような勝負に真剣に挑むシーンから始まります。
で、勿論、友人たちは、騙して賭けに勝つ気満々で、自分達が幽霊に扮して、色々と驚かす仕掛けを作ります。
で、それに気付かずサモ・ハンは(偽)幽霊の登場に、慌てふためきながらも、からくりを見破り、賭けには大勝利、という感じですが、
実は、本物の幽霊も、、、という感じで肝の座った男、サモ・ハンは今日も雇い主である村の有力者ダンに呼ばれて御使い等をこなしていきます。
そんなある日、ふいに自宅に早く帰宅してみると、妻の浮気現場に遭遇、しかし、あと少しの所で浮気相手を取り逃がしてしまいます。
実は、この浮気相手が雇い主のダンで、スキャンダルを恐れたダンは、まさかのサモ・ハンの口を封じる、という極端な方法を選択します。
で、その抹殺の方法が、実力派の妖術師を使って呪い殺す、という特殊な方法で、肝試し勝負を挑まれたら、何故か拒めないという、
「大肝」な性質をついて、肝試しチャレンジ中にキョンシーを使って呪い殺す、というかなり特殊な方法で命を狙う事になります。
で、そんな暗殺術に雇われたチャン・ロン演じる妖術師は、元々は悪の流派というわけではなく、正義のために存在する流派で、
その師匠の教えを守るチョン・ファ演じる弟弟子は、兄弟子の悪行を止めるために、サモ・ハンに接触、そして同じく妖術を使って兄弟子の呪いに対抗していきます。
で、一度は撃退するものの、本腰を入れてきた妖術師と実力者ダンは、サモ・ハンについに妻殺しの濡れ衣まで着せ、
あらゆる方法を使ってサモ・ハンを追い詰めていきます。
で、その後あっさりと脱獄したサモ・ハンは、その本格的な暗殺妖術に対抗するため、チョン・ファに弟子入りし、妖術大合戦へと突入していく、というのが本筋となっています。
物語展開的には、妻殺しや、呪いの妖術等の暗めのトーンの物語で、この時期の他のサモ・ハン作品のような明るいカンフー作品とは明らかに異なる世界観な上に、
中盤までは、サモ・ハン的には肝試しがメイン(暗殺されそうになるという要素はありますが)という事で、
しっかりとした太い軸となるストーリーが存在しないままに進んで行きますが、後半、完全に濡れ衣を着せられて、
自身が命を狙われている事を自覚してからのストーリーは、緊迫感がありチョン・ファとの名コンビぶりも伴って非常に引き込まれるストーリー展開となっていきます。
クライマックスで描かれる妖術合戦も、お互いの側に付く立場の人々に、次々に英雄の霊が乗り移って憑依し、
カンフー対決を繰り広げる、という面白アイデアバトルが非常に娯楽性に溢れていて、
それまで、キョンシーとのカンフー対決や、ラム・チェンインのちょっとしたアクション、ゾンビキョンシーの追いかけっこ、チャン・ロンとチョン・ファの喧嘩アクション等、
アクションシーン自体が要所のみに抑えられていた分、全てがクライマックスに集約されているような激しい憑依カンフー対決が繰り広げられます。
憑依する霊が変わる度に、アクションのスタイルも変わるサモ・ハンのアクションは素晴らしく、
合間に妖術合戦を踏まえてのアクションですので、ただのカンフー対決ではなく、しっかりと妖術合戦中のカンフーバトル、となっている点が、
この時期の他のサモ・ハン作品には無かった見せ場で、その後の多くのキョンシー映画へと影響を及ぼすような見所満点のラストバトルとなっています。
実際に、本作が製作されなければ、その後のキョンシーブームも無かったとも言える記念碑的な作品となっていますので、
(霊幻道士)好きの方や、キョンシー映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
キョンシーの描き方等、まだまだ設定が固まっていない試行錯誤の時期の作品ですので、そういう意味でも見所がありますよ。
作品情報
1980年製作 香港製作 カンフーホラー
監督・脚本・武術指導 サモ・ハンキンポー 製作 レイモンド・チョウ 武術指導 ユン・ピョウ、ラムチェンイン
出演 サモ・ハンキンポー、チョン・ファ、チャン・ロン、ウォン・ハー、タイ・ポー、ウー・マ、ラム・チェンイン、リョン・シューメイ、リッキー・リュウ、カ・リー
↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓
映画評論・レビューランキング
にほんブログ村