カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
詠春拳のルーツを、南少林寺の僧至善を中心に描いた少林寺カンフーアクション作品、、、、と思いきや、その至善を想い続ける幼馴染の婚約者の、一方的な言い分が炸裂し続ける女性メインの少林寺映画!!でも、カンフーシーン自体はしっかり目!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、詠春拳のルーツを描いたカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
清朝時代、名家の令嬢五枚は、囚われた将軍である父を救出するため、南少林寺に助けを求めに来た。
しかし、南少林寺は俗世の争い事には関与する事ができずに、協力を断られてしまう。
そこで、単身、父を救出に向かおうとする五枚に対し、幼馴染だった僧、至善は、女性でも学ぶことができる拳法、詠春拳を編み出し伝授するのだった!?
ブルース・リーや(イップマン)で有名になった詠春拳の誕生秘話を描いたカンフーアクション作品です。
ルーツは諸説色々とあるようですが、ミシェル・ヨーが(レディファイター詠春拳伝説)(詳しくはこちら)で演じていたように厳詠春が、
編み出した、とされたり、本作の様に南少林寺の僧侶、至善が編み出したとされたり、と色々あるようで、
その実在の英雄たちの実話に、色んな物語が付け加えられていった、という事のようですが、源流に関しては、本作に登場する南少林寺の少林寺拳法を基に派生していったようです。
で、そんな伝説の誕生秘話が描かれる本作は、(南少林永春拳)三部作となっていて、2作目となる(南少林永春拳之坚贞永护)、
3作目となる(南少林永春拳之突破重围)へと続いていきます。
間を空けて製作された続編シリーズではなく、当初から通して製作されている作品ですので、3作目まで通して鑑賞してみないとなんとも言えませんが、
まず出だしとなる本作はあまりに意外な展開から物語がスタートします。
その意外な展開部分は、今後のシリーズ展開に、もしかすると関係してきそうですので、割愛させて頂きますが、まずは主人公、至善が登場するのではなく、
その至善の幼馴染であり、許嫁でもある名家の令嬢、五枚が囚われた父親である将軍を救出するために、南少林寺に助けを求めに来るところから本題が始まります。
で、幼き頃に両親が許嫁として結婚の約束を交わした五枚と至善だったものの、至善の方は出家してしまい、
俗世からは離れてしまったので、勿論結婚もできず、南少林寺としても、俗世の事に関われないので、将軍救出に手を貸すことができない、
という事で、全ての申し出を断られるものの、戦いで受けた傷を癒すという名目で、南少林寺に匿ってもらう事はできる、
という状況で、朝廷からの使者に身柄要求をされるものの、それに関しては断固従わない、という強い態度も南少林寺としては示していきます。
で、いくら頼んでも助けてくれない南少林寺に業を煮やして、自身で戦いを挑もうとする五枚に対して、戦いに参加できない至善は、それなら、という感じで、
武術のできない(少しはできるのかもしれませんが)五枚に少林拳を伝授しようとします。
ただ、少林拳は男性の強靭な身体を前提としている拳法なので、女性のしなやかな体では、傷つきすぎて体得する事ができない、、、、
というところで、至善は、ある存在をヒントに、女性でも最大限に力を発揮できる、相手の力を受け流す拳法を編み出す事になります。
本作は、この詠春拳(永春拳)の誕生に関するエピソードが史実に基づいていて(多分ですが)面白く、加えて、何故そういう動きをしているのか?
という説明も編み出したとされる本人(本作では)が解説してくれるので、この部分がかなりの盛り上がりを見せるシーンとなっています。
ただ、本作、まだ3部作の出だしという事で、かなり思い切った物語構成で、例によって近年の中国映画お得意の、
まずはちょっとだけ現在の時間軸の物語を描き、少し進むと、過去の物語を断続的に挿入していく、という間の物語を省略する方式ですので、
冒頭から、まさかの展開から始まり、過去編で至善の物語が深掘りされていくのかと思いきや、
どちらかというとメインで映るのは許嫁の五枚の方で、しかも、南少林寺の都合も考えることなく、自身の言い分を、
ずっとキレながら貫き通すばかりのキャラクターで、
五『助けてよ!』
南少林『俗世に関われません、、』
五『慈悲を説いている寺が何故助けを求めている者を拒絶するの!!』
南少林寺『俗世の争いには関われないのです、、』
五『このままだと父が処刑されてしまうわ!何故そんな事ができるのっ!!』
南少林『俗世には関われないのです、、、』
という感じで、無理問答を延々と続けていきます。
要するに本題とも言える過去編では、とにかく、ずっと五枚が助けてくれない南少林寺を責め続けます。
自身は匿ってもらって、傷の手当や、食事の世話までしてくれてるのに、、。
結局この状況に、至善は、色々と学びますが、五枚は、何かと学ぶこともなく、にただただ、ずっと腹を立てているだけで終わってしまいます。
勿論、詠春拳は学ぶので、身体的には成長を遂げますが、精神的な成長は描かれません(この時点では)ので、
印象に残るのは、ただただ自分の言い分が聞き入れらえないお嬢様の、イライラぶりと、キレっぷり、それに耐え続ける南少林寺、という感じで、
気性の荒い女子に振り回され続ける草食系(本当の意味で)男子の物語がメインとなっています。
これから色々な展開があるのかもしれませんが、本作に関しては、この本来の主人公であるはずの至善が、
メインで詠春拳を習得して戦いに参加していく物語ではなく、編み出した詠春拳を教える師匠役としての登場で、
なんとなく主役の位置に居てしまっている五枚は、詠春拳は学ぶものの、人間的な成長がほとんど描かれない、
という、なかなか感情移入しにくいキャラクターとなっています。
という事で、DVDジャケットのような力強い少林拳の激突、というイメージからはちょっと離れた作品となっています。
というか、一番メインで作中に登場する、ほとんど主役レベルのキャラクターがジャケットに掲載されていない、
という若干のミスリードとも取れるイメージになっています。
勿論、男性キャラクターも活躍するので、嘘ではないのですが、、、。
で、そんな影の薄い(1作目である本作では、ですが)、一応の主人公至善役を演じているのは、実際に動けるアクションスターとして、
(黄飞鸿之王者无敌)や、(终极保镖)等に出演しているシュー・チアンタオが、イケメン+動けるという利点を活かして、
俗世から離れ、かつての許嫁のために伝説的な格闘術を生み出していく偉人役を好演しています。
で、南少林寺で一緒に育った弟弟子、至愚役で、実際に少林寺拳法を学び、映画作品では(霊幻道士XII)(詳しくはこちら)や、
(スレイヤー・オブ・ディザスター)(詳しくはこちら)等に出演しているファン・ウェイペンが登場し、
そのアクションスキルの高さで、本作のアクションとドラマ部分両方を盛り上げています。
で、とにかく最初から最後まで、南少林寺を責め続ける、気性の荒い令嬢役を、映画作品の出演は少な目ですが、
テレビシリーズ(光阴里的故)が人気のチェン・イーリンが演じ、本来の主役以上に印象を残していきます。
という感じで、物語展開的には3部構成なので、全作鑑賞しないと何とも言えない部分はありますが、興味深い詠春拳の誕生秘話と、
外見重視で動かないキャストが主人公を演じるカンフーアクションが存在する今の中国映画界で、
実際に動けるキャストが主要な登場人物を演じている、というアクション的な見所もあるカンフー作品となっていますので、
カンフー映画好き、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
続編は気になりますが、リリースされるのでしょうか、、。
作品情報
2022年製作 中国製作 カンフーアクション
監督 ファン・シウミン
出演 シュー・チアンタオ、チェン・イーリン、ファン・ウェイぺン
↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓
映画レビューランキング
にほんブログ村