カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
ツイ・ハーク版シリーズの4作目と5作目に主演したチウ・マンチェクが、再びウォン・フェイフォン役を演じ、澤田拳也、ムチミヤと激闘を繰り広げる新シリーズ第二弾!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、ツイ・ハーク監督の(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ)シリーズ4作目と5作目に主演したチウ・マンチェクが再びウォン・フェイフォンを演じたカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
日本軍の侵略が始まろうとしている動乱の中国で、怪しい邪教集団の襲撃から将軍を救ったウォン・フェイフォンだったが、その後将軍は誘拐されてしまう。
権力争いの陰謀が進む中、ウォン・フェイフォン一派が独自に将軍の捜索を開始するが、そこに白蓮教と、それを利用する日本軍が立ちはだかるのだった!?
少林拳の達人でありながら高名な医師でもあるウォン・フェイフォンの活躍を描いた人気カンフーシリーズの4作目(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ IV/天地覇王)と
5作目(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ V/天地撃攘)で主演していたチウ・マンチェクが再びウォン・フェイフォンを演じたカンフーアクション作品です。
監督はサモ・ハン、アンディ・オン、ジェニファー・ツェーが出演している(ネイキッドソルジャー亜州大捜査線)や、
ツイ・ハーク製作の(散打王)、アンソニー・ウォン、ジョーダン・チャン、レイモンド・ウォンが共演した(ブラックシティ)、
スー・チー、カレン・モク、スティーブン・フォンが共演した(ドミノ)、ダニエル・ウーとエリック・ツァンが共演した(潜入黒社会)等、
多くの有名香港作品を監督してきたマルコ・マック(マク・チーシン)で、本作のエンドロール時に流れるメイキング映像で、そのパワフルな演出風景が確認できます。
主演のチウ・マンチェクは、時期的には2017年にサモ・ハン、倉田保昭と共演した(戦神 ゴッド・オブ・ウォー)が製作され、
2018年には本作の前作である久々のウォン・フェイフォン復帰作(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ南北英雄)、
カンフーヒーローが時空を越えて夢の競演を果たす(カンフーリーグ)(詳しくはこちら)、そして本作と、
立て続けに時代物のカンフーアクション作品への出演が続いていた時期で、その後暫く空けて初監督作兼主演作(カウンターアタック反撃)(詳しくはこちら)の製作へと続いていきます。
で、本作のラスボスではないものの、結構重要なライバルでもあり、第二のヒロインでもある日本人芸者兼白蓮教の教祖でもある役柄で、
ジャッキー・チェンの(カンフーヨガ)や(プロジェクトV)(詳しくはこちら)、主演作(ゴースト強化超能力者)(詳しくはこちら)等、活躍の場を広げているムチミヤが、
妖艶な魅力+柔軟で華麗なアクションを披露してします。
で、そこまで登場シーンが多くはないものの、完全なラスボス役で、ジャッキー・チェンの(デッドヒート)や、(新宿インシデント)、
主演作(カラー・オブ・ペイン野狼)や(ホークB計画)、(イップマン誕生)等、長年多くの香港作品で活躍している日本人、澤田拳也が登場し、クライマックスで名勝負を繰り広げています。
で、そんな敵役達を相手に、ウォン・フェイフォンの恋人役で、本作製作以降に(ブレイド・オブ・ウィンド斬風刀)(詳しくはこちら)の主演し、
華麗な魅力で大活躍していく事になるウェイ・ニーが登場し、ちょっとしたアクションも披露しています。
さらに、ウォン・フェイフォンの弟子役の俳優が非アクション派でキャスティングされている中、唯一動けるレディドラゴン弟子役で、
エディ・ポン主演のしっかりしたウォン・フェイフォン映画(ライズ・オブ・ザ・レジェンド炎虎乱舞)や、
ホワン・ボー、スー・チーが出演している(鬼吹灯)映画(ロストレジェンド失われた棺の謎)、主演作(絶色特特攻)等に出演しているウェイ・シャオファンが登場し、
実際に動けるレディドラゴンとして、華麗な武術アクションを披露しています。
そんな話題のスタッフ・キャストが結集した今回のウォン・フェイフォン物語は、日本の侵略が進む中国で、
同時に怪しい邪教集団、白蓮教の布教活動が進み、デモ活動も活発になる動乱の中、白蓮教を一掃したウォン・フェイフォンだったが、
その裏に日本軍と結託した宮廷内の裏切り者の陰謀も見え隠れする、という盛沢山な内容を凝縮したようなストーリーとなっています。
ただ、95分という決して長くはない上映時間に、日本軍と戦うウォン・フェイフォンという異色な本筋をベースに、
インチキ妖術で信者を騙し、金品を奪い取っていた白蓮教との戦いや、その白蓮教を信じ、その神通力によって幼い娘の病を治そうとした父親の物語、
そして白蓮教の教祖かと思いきや、実は日本人の芸者で、日本軍のボス澤田拳也の右腕であるムチミヤの活躍と後半のウォン・フェンフォンへの片思いや、
ウォン・フェイフォンの武術の腕と漢気に惚れて、どうしても兵を率いて欲しいと願う将軍と、敵対する家臣とのいがみ合いと、さらにその家臣の裏切り、
そこに弟子達のちょっとしたストーリーとウォン・フェイフォンのラブラブ生活、という感じで、かなり濃いめの物語が目いっぱい詰め込まれています。
ですので、それぞれの面白くなりそうな要素が、割と中途半端に終了していき、最終的に悪者である侵略者日本軍が諸悪の根源で、
中国の領土を守ろう!
というプロパガンダ的なメッセージで終幕を迎える、というある意味、中国映画らしいと言えばらしい締めくくりの作品となっています。
この辺は、ツイ・ハーク版にあった、押し寄せる便利な西洋文化と、伝統的な中国文化の間で戸惑いながら、
『銃には勝てないっ!武術では食えないんだっ!』
と悪の道に進まざるを得なかった(ワンチャイ)1作目のヤム・サイクンの切なさの爆発するロマンチズムとは、真逆の世界観となっています。
詰め込まれる出来事もフェイフォンに片手間で習ったカンフー技を小悪党相手に披露するイー・サンイエや、白蓮教のインチキを見破るシーン等、
過去作で見かけたようなシーンが多く、印象が薄い上に、デジャブ感を覚えるような出来事が詰め込まれています。
特に白蓮教と日本軍との戦いはそれぞれにあまり関連性が無いので、無関係の出来事を二回連続で解決していっているような感覚で、
その二つの事件を繋げるムチミアも、日本人役の割にはほとんど日本語を話すシーンも無く、澤田拳也が登場したときだけ日本人設定になっているような印象で、
散々ウォン・フェイフォンと敵対して戦っていたのに、後半になって急に惚れてしまう、というなんとなく一貫したイメージの定まらないキャラクターとなっています。
ただ、アクションに関しては、中盤あたりまではチウ・マンチェクの加齢を実感せざるを得ないようなワイヤーメイン、スタントも結構登場するようなアクションが多いものの、
中盤以降、特にクライマックス近辺のチウ・マンチェクVS澤田拳也とムチミアVSウェイ・シャオファンの激突が同時に繰り広げられるラストバトルでは、
スタントへの切り替えもほとんど見られず、本当に動けるアクションスター同士の大激突が、それまでの詰め込み過ぎて薄まってしまった物語の最後を締めくくる見せ場として作品世界を盛り上げています。
惜しいのは、合間に動けない弟子達の喧嘩バトルが挿入されるのと、ムチミアが片思いを寄せながら散っていく悲しい散り際が、
観ている側も、今さっき想いを寄せていると知ったばかり(3分前ぐらい)なので、グッとくるところまではいけず、
そういう面でも、詰め込み過ぎの薄味感が残念な結果として出てしまっています。
極端に言うと、このラストバトルを繰り広げるメインの4人だけが活躍する日本と中国の物語だけに絞ってもで良かったと思うのですが、どうでしょうか。
とは言っても、四大弟子が登場しないウォン・フェイフォンものというのも、それはそれでイメージしにくいですね、、、。
という事で、物語的には、今までどこかの作品で見た事のあるような内容を詰め込んで薄めたような内容ですが、
後半のカンフーバトルは、なかなか見所となっている作品ですので、カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2018年製作 中国製作 カンフーアクション
監督 マルコ・マック(マク・チーシン)
出演 チュウ・マンチェク、ムチミヤ、ウェイ・ニー、澤田拳也、ウェイ・シャオファン
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