カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
若きツイ・ハーク監督が、(食人族)等のカニバルホラー要素をベースに、本格カンフーとズッコケコメディ要素を加えた独特の世界観が光る、グロ度は低めのホラーカンフーアクション!!


作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、ツイ・ハークが監督、ウー・スーユエンが製作したホラーカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
行方不明者が続出するある島の寒村に、大泥棒ローレックスを追って特別捜査官999がやって来た。
村人の怪しい目線が集中するその村の保安隊を訪ねる999だったが、隊長がローレックスを目撃したという現場に向かうと、謎の仮面をかぶった集団に襲われるのだった!!

監督・脚本は、数年後に(天空の剣)や(皇帝密使)等の娯楽大作でブレイクして行く事になるツイ・ハークで、
監督デビュー2作目となる本作で、本格的なカンフーとグロホラーを融合させる、という一味違う世界観を構築しています。


主人公となる捜査官999役で、(中華道士)(詳しくはこちら)や(激突!蟷螂拳)(詳しくはこちら)等の
チョイ・シウキョンが登場し、地獄のような村で激闘を繰り広げます。



で、村への道中出会うお調子者盗人役で、(醉馬拳クレージーホース)(詳しくはこちら)や(帰って来たドラゴン)(詳しくはこちら)等の
ハン・クォチョイが登場し、相変わらずの大騒ぎを繰り広げます。



で、村を実質的に取り仕切る隊長役で、(妖怪道士)(詳しくはこちら)や(ミラクルファイター)(詳しくはこちら)等の
エディ・コーが登場し、鬼気迫る演技で主人公達を追い詰めます。



で、保安隊の副隊長役で、(老鼠街)(詳しくはこちら)や(香港・東京特捜刑事)(詳しくはこちら)等の
メルヴィン・ウォンが登場し、999に近づきます。



で、主人公を助けるヒロイン、リン役で、(三十六迷形拳)や(ドラゴンファイター)等のミシェール・イムが登場し、騒動に巻き込まれていきます。



その他にも、村人役で、タイ・ポーやサン・カイ、トー・シウミン等、この時期のカンフー作品で見かけるキャストが大勢登場する、しっかりとしたキャスティングが魅力の作品となっています。



そんな、スタッフ・キャストが製作した本作の物語は、不気味な雰囲気漂うある島に、2人の行商が上陸するシーンから始まります。

村へと向かう山道を進む二人ですが、ある森の暗がりで、蹲っている人物を発見し声を掛けると、、、、、、
、、、、、、いきなり襲い掛かられ、木陰に隠れていた仲間達も加勢し、あっという間に行商の一人は殺害され、もう一人も、、、、残酷な方法で殺害されてしまいます。

で、そんな事件が起こった近隣の村では、村人に集合の合図が鳴らされ、広場へと全員集められます。
一応取り仕切っているのは村長で、食料が調達できた、という事で皆ざわついていますが、そこに本当の村の支配者である保安隊隊長(エディ・コー)が現れると、
ざわついていた村人たちは恐怖で静まり帰り、保安隊に食料を多めに配分する事で、また村人たちはざわつき始めます。


という事で、冒頭から割と分かり易い雰囲気ですが、その村は〇肉食村で、野菜や鶏肉等もありますが、とにかく〇肉がないと飢えが治まらない、
という、まるで吸血鬼の肉版のような生粋の〇肉喰いが集まる村であることが分かります。

で、そんな村に、特別捜査官999(チョイ・シウキョン)がやって来ます。
しかし、999の目的は、村人や隊長ではなく、村に隠れているとされる大泥棒ローレックスを逮捕する事で、
何も知らない999は、ローレックスを探して、途中船頭の船で一緒に揺られてきた小悪党(ハン・クォチョイ)と共に島に上陸してきます。


で、着いて早々に村人が化けた仮面軍団に襲われ、危うく残酷な方法でやられそうになりますが、999はカンフーの達人だったため、
なんとか難を逃れて、そのまま保安隊の本部へと向かいます。


そこに鎮座していたのは、勿論怪し過ぎる風貌の隊長で、ローレックスの事を訪ねると、ある場所で見かけたという怪し過ぎる情報を聞き出せたので、その現場へと向かう事になります。

そうすると、やはり、あの仮面軍団が、今度はかなり大勢現れたので、応戦するも、今度は多勢に無勢という事で、
負傷してしまった999は、なんとかギリギリ逃げ切ったものの、逃げる途中で力尽きて気絶してしまいます。


そんな無防備な状況を救ってくれたのが、村人の中でもまともな思考を持った女性リン(ミシェール・イム)で、
なんとなく気持ちが通じた二人は、距離を縮めていきます。

その後身体が回復した999は、もう一度保安隊を訪ね、隊長に謎の仮面軍団に襲われた事を告げるも話をはぐらかされたりして、どうも怪しい雰囲気が漂っていきます。

そんな中、保安隊の副隊長(メルヴィン・ウォン)が、999に近づき、ある衝撃の事実を告白します。
副隊長『ここの村人は〇肉を食っている!!』

、、、、、、、という流れが、大体の大筋となっています。
その後、大監督としてブレイクして行く事になるツイ・ハークの監督2作目となるホラーカンフーアクション作品です。

世界的に大ヒットしたカニバルホラー(食人族)に多大な影響を受けた内容をベースにしていると思われますが、
そこに本格的なカンフー要素(味付け程度ではなく、かなりじっくり目です)を加えつつ、さらにまさかの香港風味のドタバタコメディ要素までしっかりと盛り込む、
という、普通の感覚では創り出せないような独特の世界観を持った作品となっています。



カニバルグロホラーと本格娯楽カンフーという相容れ無さそうな二つの要素の融合も正直微妙ですが、そこにお笑い要素が加わってしまうと、恐怖要素は完全に薄まってしまいますので、
一番お茶らけているハン・クォチョイが後半ローラースケートを履いて爆竹鳴らして逃げ回るシーンに至っては、
もう絶対に生き残る、という事が分かってしまいます。

本来ホラー映画でメインキャストが、どんな危機に陥っても生き残ると分かってしまう事はかなりマイナスですので、そう思わせてしまう演出は避けると思われますが、
そこで、恐怖要素を完全に放り投げてまでも、ドタバタアクションと娯楽カンフー対決でラストを締めくくってしまうのが、
香港映画であり、売り出し中のツイ・ハーク独特のセンスといった感じでしょうか。



さらに、その後、ホラー映画らしい極端なバッドエンドを予感させる演出+香港映画特有のブツ切りエンディングで、
なんとなくいやぁーな感じで終わらせる、というのも、また独特の余韻の残る作品となっています。

残酷描写に関しては、ショッキングな題材の割にコメディ要素が強いという事で、グロ度は控えめで、
肉、肉と言っている割には、スーパーの精肉売り場に並んでいるようなお肉ばっかりが登場し、吹き出る血も、
かき氷に欠けるいちごシロップのような透明感の強い血の表現なので、割と不快感を感じることなく鑑賞できるようになっています。

カンフーアクションに関しては、流石に製作がウー・スーユエンで、コーリー・ユエンとチン・ユッサーンが武術指導、
主演がチョイ・シウキョンにラスボスがエディ・コー、脇役でハン・クォチョイとメルヴィン・ウォンという
カンフー映画のレジェンドが大挙して参加している作品ですので、どのシーンも素晴らしく、特に一騎打ちとなるラストバトルは、

関羽の青龍刀をお互いに奪い合って武器としながら激闘を繰り広げるという、非常に娯楽要素の高い見せ場が楽しめます。
勿論、そういう要素が前面に出れば出る程、恐怖要素は薄まって行くのですが、、、、。

という事で、色んな要素が融合し過ぎて、それぞれの要素が薄味になってしまっている部分もありますが、
それでも、絶妙なバランスで最後まで興味を持って鑑賞できる作品となっていますので、香港映画好きの方や、ホラー好き、カンフー映画好きに方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。





作品情報
1980年製作 香港製作 ホラーカンフーアクション
監督・脚本 ツイ・ハーク 製作 ウー・スーユエン 武術指導 コーリー・ユエン、チン・ユッサーン
出演 チョイ・シウキョン、エディ・コー、ハン・クォチョイ、メルヴィン・ウォン、ミシェール・イム、タイ・ポー、トー・シウミン、サン・カイ


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