アンテベラム (ANTEBELLUM)106分

投稿者: | 2021年11月6日

おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆

アメリカ南北戦争時代に奴隷として生きる黒人女性と現代でカリスマ社会学者として成功して全てを手に入れている黒人女性の二人が織りなす運命を描いたパラドックスミステリー!!

https://youtu.be/lAEct6aGC28

作品紹介

2021年11月5日公開

今回ご紹介するのは、アメリカ南北戦争時代と現代という二つの時代に生きる黒人女性の運命を描いたミステリー作品です。

それでは、まずはあらすじから、

現代に生きる社会学者でベストセラー作家でもあるヴェロニカ(ジャネール・モネイ)は、ある日、謎めいた女性記者の取材を受けるが、

どこか奇妙な違和感に何かの予感を感じていた。

一方、南北戦争時代のアメリカ南部のプランテーションで、黒人女性エデン(ジャネール・モネイ)は、奴隷として労働を強いられていた。

別々の時代に生きる二人の女性の運命は、ある方向に向かって突き進んでいく、、。

ヴェロニカは成功し、全てを手に入れた主人公

ゲットアウト)、(アス)などのプロデューサー、ショーン・マッキトリックが製作した、パラドックススリラー作品です。

物語展開がそのまま作品の面白さに直結する作品ですので、肝心な部分は割愛させていただきますが、それ以外の部分のみ書かせて頂きます。

とは、いってもその要となる部分が一番の面白みと言えますので、なかなか難しいのですが、、。

別々の時代の主人公が同時進行で描かれていき、やがて二つの物語がどのように関係していくのか?

という部分が重要な作品であり、そのまま魅力となっています。

虐げられる人々。(脱走計画進行中)

似たような作品(とはいっても本当に似ている作品と挙げてしまうと、それだけでネタバレになってしまいますので、そうではなくて単純に別々の関係ないと思われた物語が一つになっていく物語)では、

別々のパートの主人公が、物語が進むうちににお互い絡み合うクエンティン・タランティーノ監督の(パルプフィクション)や、

SAWソウ)シリーズでしばらく間を置いて製作され、その間の期間をも物語の重要な要素として取り入れ、空白の時間と現在の時間を同時進行で描く(ソウ:レガシー)等、

物語が一つに繋がったときのパズルを解いたような爽快感が、重要な魅力の一つになっていました。

ホテルに現れた少女の正体とは、、、

本作もそういった作品のジャンルに入りますが、本作の場合特にその要素が強く、物語がつながった時点で、それまで感じていたちょっとした違和感が瞬時に氷解していくような作品となっています。

そんな特徴的な要素を持った本作ですが、二つの物語の両方ともアメリカにおける黒人差別問題を中心に添えた物語となっています。

二つの物語に共通する黒人差別問題

一つは南北戦争時代のプランテーション(大規模農園)で奴隷として強制労働させられている女性エリンの物語で、

完全に奴隷として扱われ、奴隷として扱われている者同士が話すことさえ、禁じられています。

さんざんな扱いをされた上に、脱走しようとする者は、即射殺する、という非道な扱いを受けています。

そういうテーマの作品ですので、個人的には正直、こちらのパートの非道ぶりに不快感を(割と長い間)感じてしまうぐらいに真に迫った非道ぶりでした。

そんな状況で、虐待を受けながら、仲間と密かに脱走計画を企てている女性の物語。

奴隷として扱われながら脱走計画を企てるエリン

で、一方現代では、黒人差別排斥を声高く訴え、各地での公演も満席、著書もベストセラーになり、富を得て、愛する夫と娘も手に入れている、

典型的な勝ち組であるヴェロニカの物語で、幸せな家庭が描かれつつ、豪華なホテルで開催される自身の公演に向かい大好評の演説を終えて、

友人たちと豪華なレストランで、夕食ととりながら、勝ち組ライフを楽しむ女性の物語。

完全に勝ち組のヴェロニカ

この二つの異なる時代に生きる別々の女性が、黒人差別問題という共通する要素を中心に描かれていき、

やがて現代パートの方に謎の女性記者が現れた事で物語は思はぬ方向へ向かっていくことになります。

謎の記者登場

この二つの物語のつなげ方が非常に巧で、別々の時代の主人公を同じジャネール・モネイが演じている事で、パッと見た瞬間は、別々な物語の切り替わりが分からないように演出されています。

そうこうしているうちに、初め分かりにくかった物語のつながりが、段々と違和感の存在感が大きくなっていって、謎の女性記者の正体とともに、しだいにつながりが明らかになっていく

といった構成になっています。

流石に一度鑑賞すると二回目は同じ気持ちでの鑑賞は厳しい作品ですが、事前情報をできるだけ得ずに、初見で楽しむ、という映画本来の楽しみ方には一番ぴったり合う作品ではないかと思われます。

という事で、人種差別問題を取り扱った作品ですので、容赦のない表現もある作品ですが、ミステリー作品的には楽しめる作品となっていますので、

ミステリー好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

謎の記者の正体に驚愕するヴェロニカ
南北戦争時代は悲劇の連続

作品情報

2020年製作 アメリカ製作 ミステリーホラー

監督・製作・脚本 ジェラルド・ブッシュ、クリストファー・レンツ

出演 ジャネール・モネイ、エリック・ラング、ジェナ・マローン、ジャック・フューストン、カーシー・クレモンズ、リリー・カウルズ、マルク・リチャードソン、トンガイ・キリサ

現代では豪華なホテルで催される公演が満席になるほどの活況ぶり

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