お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
（インファナルアフェア）のアンドリュー・ラウ監督が、絶妙な間の笑いと、しっかりしたキャラクターで描く、武侠アクションコメディ！！
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、（インファナルアフェア）シリーズのアンドリュー・ラウ監督のSF武侠アクションコメディです。
それでは、まずはあらすじから、
明朝末期、督主である孫（アレックス・フォン）は、皇帝暗殺のために錦衣衡である封四海（ルイス・クー）を呼び出し、
ブルネイ王国から贈られた怪物を調教する事を命じる。
しかし、怪物に愛着の沸いた封四海は、そのまま怪物を連れて逃亡する。
追われる身となった封四海は、逃亡生活のはてについに囚われてしまう。
そして、その封四海を取り戻すために、名うてのメンバーが集まるのだった！？
（インファナルアフェア）シリーズのアンドリュー・ラウ監督の武侠アクション作品です。
予告編を見るかぎりでは、CGで描かれたモンスターも登場する真面目系の武侠ファンタジーかと思いきや、
完全にコメディ寄りのSFファンタジーとなっています。
ですので、リアルでカッコ良い武侠作品と期待した方は、肩透かしをくらってしまうぐらいにコメディ要素の濃い作品となっています。
ただ、予想外な内容であるものの、笑いのテンポが非常に良く、ボケに対する突っ込みが絶妙で、しっかり笑える内容となっています。
これは、良い意味で予想外でした。
アンドリュー・ラウ監督といえば、古くはイーキン・チェンをブレイクさせた（欲望の街）ジリーズや、
日本の人気コミックの映画化である（イニシャルD）、香港の人気コミックの映像化である（ストームライダース）、
そして（インファナルアフェア）シリーズと、どちらかというと男のロマン漂うような作品の多い監督ですので、
本作のような笑いのセンスがあるとは思ってもいませんでした。
この感じでしたら、もっと香港映画の本流のコメディアクション作品などもどんどん製作していって欲しいですね。
それぐらいに『ぷっ』と声を出して笑ってしまうシーンの多い秀作コメディとなっています。
この笑いの要素に加えて、その笑いを盛り上げるキャラクターの描き分けが際立っています。
ルイス・クーは実際は主演ではなく、ルイス・クーを助けるために集まった個性的なメンバーのドタバタがメインとなっています。
この展開も予想外で、実際この作品の魅力となっているのは、この脇役的位置になるメンバーが担っています。
このメンバーたちがなんだかんだとしながら、悪者のアレックス・フォンと対決する事になり、
そこで、最終的にいよいよカンフーモンスターが絡んできて、ラストバトルへと突入する、という展開です。
このカンフーモンスターは、普段はカワイイ容姿だけれど、武器を観ると戦闘モードになって巨大化し、襲い掛かる、という特殊設定で、
イメージ的にはハリウッド作の（グレムリン）や、日本の人気コミック（ドラゴンボール）の孫悟空、といったとろこでしょうか。
正直言うと、もう少し、このカンフーモンスターが物語に絡んできて欲しかったところですが、
ちゃんと要所では活躍していましたので、ファンタジー色は十分高まっていました。
ただ、一つだけ残念だったのは、（ストームライダース）もそうですが、アンドリュー・ラウ監督の武侠アクションは、
基本的にワイヤーワークやCGなどのスタッフの技術面で見せるアクションが多く、
武術やカンフー的な生身のアクションが極めて少ない、という事でしょうか。
ですので、登場人物はそれなりに武術のできる人たち、という設定ですが、全く強そうには見えません。
ここに（チャイニーズゴーストストーリー）などで有名なチン・シウトン監督が武術指導などで加わっていたら、
アクション面でも文句ない傑作になったと思われるのですが、少し残念です。
タイトルにカンフーと原題にも入っているので、そこはもう少し、武術映画っぽくして欲しかったところです。
という事で、本作の魅力は間違いなく、笑いと、その笑いを生み出す生き生きとしたキャラクターにありますので、
香港映画の笑いを堪能したい、といった方でしたら結構ハマれる作品となっていますので、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、ゲスト出演者もサム・リー、ロー・ワイコン、フィオナ・シッ、ピーター・ホー等出演していて豪華ですよ。
作品情報
2018年製作 香港・中国製作 SFアクション
監督・製作 アンドリュー・ラウ
出演 ルイス・クー、チーニー・チェン、バオ・ベイアル、ワン・タイリー、アレックス・フォン、サム・リー、ロー・ワイコン
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