カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
（カンフーゾンビ）（魔界天書）のビリー・チョン主演、韓国出身ハイキッカー、ウォン・インシク共演のバトルカンフーアクション！！
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、ビリー・チョン主演のカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
清朝復興を目指すナイ・サン（ウォン・インシク）一派は、決起寸前まで計画を進めていたが、離反したティン（パイ・イン）に重要な書類を持ち出されている事に気付く。
急ぎティンを捕らえるための捜索隊を組織し、追っ手を差し向けるナイ・サンであったが、ティンの逃げ足は速く、行方をくらましてしまっていた。
そんな頃、ティンは、ある宿屋の息子イ・ミン（ビリー・チョン）と出会い、縁があって自身の武術の全てを伝授する事になる。
激しい修行の日々だったが、そこへついにナイ・サン自らティンを捕らえるために姿を現すのだった！？
（カンフーゾンビ）や（魔界天書）、（カンフー エグゼキューショナー）、（ドラゴンカンフー水晶拳）等のカンフースター、ビリー・チョン主演のカンフーアクション作品です。
イメージ的にはJAC等に在籍してそうなイケメンの青春アクションスター、といった感じの風貌で、元々はインドネシア出身で、
香港でアクションスターとして有名になった後、数本の主演作を残して本国インドネシアに戻って、また活躍しているようです。
そんなカンフー・スター、ビリー・チョン主演の本作の一番の売りは、勿論主演俳優のキレのあるアクションで間違いないのですが、
本作はもう一人、カンフー映画では、あまりに魅力的な大物スターがキャスティングされています。
あのジャッキー・チェンの（ドラゴンロード）や（ヤングマスター師弟出馬）等で、
ラスボスとして激闘を演じた韓国人ハイキッカー、ウォン・インシクです。
ジャッキー作品ほどの痛快な悪漢ぶりはありませんが、それでも、あの打点の高いハイキックとビリー・チョンのキレのあるカンフーの激突が堪能できる作品となっています。
さらに、本作には、カンフー映画ファンには見逃せないカンフースターがもう一人出演しています。
途中、ビリー・チョンが立ち寄った村で出会う鷲使いのお転婆娘役で出演している（女少林寺）（詳しくはこちら）や（妖怪奇兵）（詳しくはこちら）等のリュウ・ハオイです。
このリュウ・ハオイとビリー・チョンが共闘して繰り広げられるウォン・インシクとのラストバトルは、
リュウ・ハオイの飼っている鷲も攻撃に使う（というより最終的に鷲だのみになりますが、、）という他の作品では見た事のないような技での対決となっていて、
カンフー映画ファンには見逃せない展開の内容となっています。
通常のラストバトルでは、正義側２人に対してラスボス1人、という構図は敵の強さを表すために良く見かけますが、
本作ではラスボス1人に対して、正義側2人＋鷲1羽、しかも、決定的なダメージを与えるのは鷲、というジャケットイラストに採用される程の活躍を見せる、特徴的なキャラクターとなっています。
ただ、他の作品ではレディドラゴンとしてカンフー技を披露しているリュウ・ハオイは、本作では鷲使いとしてのみの参戦ですので、
期待の痛快カンフーアクションが見れないのは残念ですが、、、。
さらにもう一人ビリー・チョンが師と仰ぐ、本作の物語上の、実は本当の主役とも言える人物として登場するのが、
（忠烈図）や、（残酷ドラゴン決斗龍門の宿）等の世界的な巨匠キン・フー作品や、（妖術大変化）（詳しくはこちら）等の、
武侠作品で知られるパイ・インで、カンフーシーンも盛沢山にビリー・チョンを指導していきます。
押しかけ弟子であるビリー・チョンに本作のタイトルにもなっている（風林火山）の教えを説きながら伝授する修行シーンは、
涅槃像に無数の蝋燭を立てる、という良く分からないけれども、ありがたく達成感のある独特の修行法と相まってちょっとした幻想的なシーンとなっています。
物語としては、清朝復興を目論むウォン・インシク一派の仲間であったパイ・インが、離脱し、裏切り者として追われる者となり、
たまたま宿泊した宿屋の息子がビリー・チョンで、その狭義心に感銘を受けて、旅だったパイ・インを追うように同じく旅立つ、
という大筋で、その旅の途中で、ある保安隊長と出会い、その娘に求婚されながらもパイ・インを追い、
パイ・インの基で修業を積み、カンフーの技も、人間的にも成長を遂げていく、という革命物語を軸にしながらも、若者の成長物語へと繋がる作品となっています。
大筋自体は革命がらみの命のやり取りを繰り広げる暗めの物語なのですが、ビリー・チョンの青春真っただ中のような突き抜けた陽性の明るさが、
本作を明るいイメージへと押し上げて、青春カンフーストーリーとして盛り上げています。
ですので、観終わってみると、他のコメディカンフー映画とはさほど印象の変わらないカンフー作品となっています。
という事で、ビリー・チョン作品はB級作品も少なくないですが、本作は青年の旅立ちと挫折と成長、という王道の物語がしっかりと描かれた
秀作カンフー作品となっていますので、カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1982年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 サン・チャン
出演 ビリー・チョン、ウォン・インシク、リュウ・ハオイ、パイ・イン、ティエン・ファン、チャン・タオ
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