ザ・ボーイ 人形少年の館 (THE BOY) 97分
お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
作品紹介
2016年7月17日公開
今回ご紹介するのは、少年の形をした人形の世話をするために雇われた女性の恐怖を描いたホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
過去と決別するために新天地を求めてやって来たグレタ(ローレン・コーハン)は、そこで老夫婦と暮らす8歳の息子の世話をする仕事を得る。
しかし、屋敷を訪れたグレタは、その少年が実は人形で、夫婦はその人形をまるで生きている人間のように扱っている事に驚愕する。
夫婦はその人形をブラームスと名付けていて、グレタが到着後すぐに、旅行に出かけてしまうのだった。
屋敷に一人になったグレタは、自由な時間を過ごしだすが、やがてブラームスに何か異様な気配を感じるようになっていく、、。
(ウォーキングデッド)シリーズのローレン・コーハン主演によるサスペンスホラー作品です。
夫のDVなどが原因で、身体的にも精神的にも追い込まれた主人公が、逃れるように田舎町のある屋敷に足を踏み入れるところから物語は始まります。
その目的は、その屋敷に住む老夫婦の8歳の息子の世話をする、というベビーシッターとしての仕事をするためでした。
ですが、夫婦と面会して主人公は驚愕します。
その少年は、人間の少年ではなく、陶器製の人形だったのです。
いきなりオチのような展開ではありますが、古めかしい屋敷が舞台になっていて、さらに人間サイズの人形も登場する、という事で、
人形を扱った傑作ホラー(チャイルドプレイ)シリーズや、(死霊館)シリーズのスピンオフ(アナベル)などを想起させ、雰囲気は上場に物語は始まります。
で、着いて早々に人形を世話するための10か条ぐらいのルールを言い残して、老夫婦はさっさと泊まり込みの用事で出かけてしまいます。
という事で、いきなり主人公と少年人形の二人暮らし、というか一人と一体暮らしが始まります。
勿論、自分以外の人間が誰もいないので、主人公も10か条はほとんど守りませんが、そんな生活が始まるや否や、予想通り人の気配を感じ始め、
人形がいつの間にか違う位置にあったり、扉が突然閉まったり、などの不可思議な出来事が続出し出します。
主人公も最初は気のせいと思っていましたが、段々とその異変を受け入れるしかないような出来事が頻繁に起き始めて、ついに、自分以外の何かの存在を確信します。
その人形が直接動いて襲い掛かってくる、という描写まではいきませんが、雨漏りの雫が人形に落ちて泣いているように見えたり、
突然音楽が鳴りだしたり、などが頻繁に起こり、元々精神的に追い込まれている状態だった主人公が、さらに追い込まれる状態に落ちてしまいます。
果たして霊はいるのか?少年人形の正体は?
という大筋となっています。
ここから先は、物語を楽しむための大きな展開がありますので、内容は割愛しますが、なかなか意外といえば意外な展開となっています。
ただ、ホラー作品を多く鑑賞済みの方は、割とそういう展開の作品もありましたので、正直予想の範囲内かもしれません。
そうはいっても、そこに至るまでのジリジリと迫ってくるような恐怖感は、非常に丁寧に段階を踏んで描かれていますので、
もし、仮にその売りとなっているびっくりオチが無かったとしても、ホラー作品として十分楽しめる作品となっています。
ですが、このオチの作品で、まさかの続編、という事で、続編への期待と不安は高まりますね、、。
作品情報
2015年製作 アメリカ製作 ホラー
監督 ウィリアム・ブレント・ベル 制作 ゲイリー・ルチェッシ、トム・ローゼンバーグ、マット・ベレンソン
出演 ローレン・コーハン、ルパート・エバンス、ダイアナ・ハードキャッスル、ジム・ノートン
ザ・ボーイ 残虐人形遊戯 (BRAHMS:THE BOY 2) 86分
お薦め度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
作品紹介
日本劇場未公開
というわけで、前作のその後を描いた続編の登場です。
それでは、まずはあらすじから、
ロンドンで暮らすライザ(ケイティ・ホームズ)は、ある夜、自宅に押し入った強盗に襲われて負傷した。
その時の出来事が原因で、息子のジュードは心に傷を負い、自発的に声を発する事ができなくなってしまう。
息子の療養も兼ねて田舎の屋敷に移り住んだ一家だったが、ある日森を散歩中に陶器製の人形を見つける。
その人形をブラームスと名付けたジュードは、その日以来、だんだんと心を開くようになっていったが、やがて奇怪な出来事が起こり始める、、、。
前作のラストでは、DVDジャケットの宣伝文句で半分ぐらいネタバレしてしまうぐらいに、後半にビックリ展開のある捻りの効いたホラー作品でしたが、
その後の物語を引き継いでいる続編では、その辺の前作の落ちにあたる部分の扱いをどのように継承していっているのか?
が、一番の注目のポイントとなっています。
で、本作で取られた選択肢は、まさかの捻りの効いた前作のラスト以前の状態に戻し、シンプルな心霊ホラーとして軌道修正する、
という前作のオチは、いったい、何だったのか?と思われるような展開の作品となっています。
今回の特徴としては、ケイティ・ホームズというまさかのスターが出演していますので、キャスト面では、前作よりもさらにパワーアップしています。
さらに今回は、対人形だけでなく、その人形に惑わされる息子がだんだんと少年人形のようになっていく、という心霊ホラー展開がメインで展開される物語ですので、
主人公一人ではなく、息子の命も危ない、という危険度の増加と、さらに息子自体が危険な存在になっていく、
という子供が邪悪な存在になって大人に襲い掛かるスティーヴン・キング原作の(チルドレン・オブ・ザ・コーン)や(光る眼)、(ザ・ターニング)(詳しくはこちら)のようなホラー作品の王道ともいえるような展開となる作品となっています。
ですので、基本となっている物語自体は全て前作よりパワーアップしています。
ただ、前作では、そんな王道の心霊物語と見せかけて実は、、という捻りこそが作品の売りでした。
前作では、人が観ている場面では絶対に動かなかったブラームス人形でしたが、今回のブラームス人形は予想外に前半から首が簡単に自発的に動いたりします。
あまりに当然のように心霊現象が起こり始めますので、そう見せておいて、実は、、という展開を期待してしまいます。
ですが、あまりに説明が不可能な心霊現象が重なり過ぎますので、まさか、まさかという不安の方がだんだんと大きくなっていきます。
で、結局、そんな心霊現象の連続に、はっきりした説明やオチもつける事ができるはずもなく、あまりにストレートな心霊ホラー作品として、ストレートに終わってしまいます。
ホラーシリーズは回を重ねる事に、担当した監督や製作会社の意向で、軌道修正が入る事が多いですが、同じ製作会社の同じ監督の作品で、
ここまで前作の特徴を継承せずに軌道修正してしまう作品も珍しいのではないでしょうか。
同じ題材、同じ場所が舞台となっていて、しかもキャスト面ではより予算が増えているようにも感じられる作品で、この路線変更はやはり珍しいです。
という事で、1作目は少年人形に取り憑いた怪異事件と見せかけて実は、、、というジャンルを捻ったホラーサスペンスで、
2作目は、そんな捻ったびっくりオチがあったけれども、やっぱり心霊ホラーでした、という軌道修正の入る、ちょっとブレのあるシリーズとなっていますので、
1作目の捻りの効いたオチが楽しめた人にとっては、おそらく2作目の路線を元に戻したストレートな心霊ホラー展開は、いまいち乗り切れない内容となっているかもしれません。
これが、2作目でも、何らかのびっくりオチが待っていたら、それはそれで、どんなオチであっても、後半にそういうオチ展開が毎回待っているシリーズとして一貫性のあるものになっていたとも思われますので、残念ですね。
という事で、1作目にあまりに特徴的で捻りのあるオチのある続編製作は、やはり相当な物語でないとちょっと内容的に無理がでてしまう、という事を証明したようなシリーズとなっています。
(シックスセンス)の続編とかも誰も観たくないですからね、、。
というか、同じ監督の作品なので、もう少し一貫した物語にできなかったんでしょうか、、。
作品情報
2020年製作 アメリカ・カナダ製作 ホラー
監督 ウィリアム・ブレント・ベル
出演 ケイティ・ホームズ、クリストファー・コンベリー、オウェイン、イオマン、ラルフ・アイネソン
その他の屋敷を舞台にしたホラー作品
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