【カンフー映画】ドランクマスター酒仙拳 (酒仙十八跌THE DRUNK MASTER)88分

投稿者: | 2021年6月12日

カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★☆☆☆☆☆

(ドランクモンキー酔拳)に登場した蘇化子の若き日の修行時代の物語を、(少林寺への道)のジョセフ・クオ監督、ユエン・チュンヤン武術指導で描いた、酔拳一色のコンビカンフー作品!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介するのは、(少林寺への道)のジョセフ・クオ監督と(ドランクモンキー酔拳)などで有名なユエンブラザースユエン・チュンヤンアクション監督が、コラボしたカンフー作品です。

それでは、まずはあらすじから、

伝説の酔拳の名手、ファン・ダーペイ(ジャック・ロン)と蘇化子(サイモン・リー)はある人物の手紙を受け取り、30年ぶりに再会を果たしていた。

再会の場に用意された銘酒、【夜香一品仙】の香りが香り、若き日の修行時代に二人が出会い、同じ師匠に弟子入りし、やがて酔拳の名手として名を成していく日々を思い出すのだった。

そんな二人を招待したのは、30年前に亡くなったと思っていた、ある意外な人物だった、、、!?

酔拳といえばこの構え!
酔拳といえばこの構え!

ジャッキー・チェンの(ドランクモンキー酔拳)でジャッキー演じるウォン・フェイホンに酔拳を伝授する厳しい師匠として登場した蘇化子の若き日々を描いたカンフーアクション作品です。

一応、冒頭少しだけですが、本家(ドランクモンキー酔拳)で蘇化子を演じていたユエン・シャオティエン本人が同じ役柄で、ちょこっと酔拳の型を見せるシーンが挿入されますので、

一応、本家のスピンオフとしては、それなりに正統に近いシリーズ作品となっています。

ユエン・シャオティエンの雄姿
一瞬ではありますが、本家登場は嬉しいですね。

さらに本家で製作を行っていたユエンブラザーズの中から(妖怪道士)の酔道士役でお馴染みのユエン・チュンヤンが武術指導を担当していますので、

酔拳アクションとしては、本家の迫力に迫るアクションシーンの連続となっています。

その正統に極めて近いスピンオフ物語を演出したのは、ご存じ(少林寺への道)や、(少林寺への道十八銅人の逆襲)(詳しくはこちら)、(少林寺炎上)(詳しくはこちら)などカンフー作品を多く監督し、

中でも少林寺ものに定評のあるジョセフ・クオ監督が務めています。

このジョセフ・クオ監督とユエンブラザースのコラボは他にも未ソフト化でテレビ放映のみされた(ドラゴン太極拳)や、衛星放送で放送された同じく未ソフト化の(7グランドマスター)など傑作が多く存在します。

そんな息の合った製作体制で製作された本作は、出演しているキャストも他のジョセフ・クオ作品に多く登場している実力派のキャスト陣となっています。

まずは、蘇化子と共に修行時代を過ごしたファン・ダーベイ役のジャック・ロン

若き日のファンを演じるジャック・ロン実力派のカンフースターです。
こちらは酔拳の名手になっている時代のファンを演じるジャック・ロン。カンフー作品ではこちらの方がしっくりきます。

ドラゴン太極拳)や、(7グランドマスター)、輸入盤のみリリースされている(36deadIy styles)など、ジョセフ・クオ監督作品の顔といっても過言ではないぐらいに毎回登場します。

その足腰のしっかりしたアクションは常にハイレベルで、しかも身軽なので、多くの作品で師匠役(達人役)を演じていますが、

どんなスタイルの作品でも見栄えがして、説得力がありますので、まさに達人役にはピッタリです。

足腰のしっかりしたアクションが売り。ユン・ピョウ並みですね。

他の作品では師匠役などが多いですが、本作では、いつものような達人になってからと、若き修業時代を同時に演じていますので、なかなか珍しい展開となっています。

正直、役柄丄同年代的に登場するサイモン・リーとのコンビ間に結構な年齢差も感じてしまう違和感はありますが、そこはこの際スルーして、色んな面を見る事ができるジャック・ロンの活躍のみに集中しましょう。

そんな事よりも、本作には、もっとややこしい配役がありますので、、。

で、そんなジャック・ロン演じるファン・ダーベイの相方役で登場の、我らが蘇化子の若き日々を演じるのは、こちらもジョセフ・クオ作品には常連となっているサイモン・リーです。

ジャッキーっぽい雰囲気も少し感じるサイモン・リー

復讐!!少林胡蝶拳)などのカンフー作品や、ジョセフ・クオ監督作品では(7グランドマスター)などにも主演している少しジャッキー・チェンっぽい雰囲気も持ったカンフースターです。

ジャック・ロンほどの均整の取れたアクションではないものの、しっかりと魅せるアクションで毎回存在感を残してしますので、ジャック・ロンとのコンビも息の合ったところを見せてくれます。

そんな伝説の酔拳の名手となった二人が、冒頭で何者かの手紙に呼び出されて30年ぶりに再会する場面から、若き日の出会いのシーンに繋がって、回想形式で物語は進んでいきます。

ここで、まず謎のキャスティングがあります。

冒頭で30年ぶりに再会する酔拳の名手二人、、。ん?

ジャック・ロン演じるファン・ダーペイは、歳をとって酔拳の名手となっている現在と、若き日の修行時代を、鬘と髭と若干の老けメイクで、

同じジャック・ロンが演じています。

少々不自然ではありますが、カンフー映画の世界では、これは当然のあるあるですので、それは全く問題ありません。

しかし、蘇化子を演じるキャストが若き日を演じているサイモン・リーと、歳をとって達人となっている現在では別のキャストが演じているんです。

誰?

これは、さすがに分かりにく過ぎる、というか、ミスキャスト、というか、判断ミス、というか、、、なんとも、、。

まるで似ても似つかないキャストが服装だけ蘇化子の恰好で登場しますので、

同じ人物か、家族か、たまたま同じような衣装を着ているだけの別人物なのか、最初は理解できません。

ジャック・ロン側も他のキャストが演じていれば問題ないのですが。

観ている内に、当然のように同じ人物として物語が進行していくので、観ている側が、理解を寄せていく、という感じになります。

さらに、冒頭一瞬だけ、同じような衣装を着た、本家ユエン・シャオティエンが登場しますので、

同じ役柄を何の説明もなく3人の俳優が演じている、という世にも珍しい描かれ方をした作品となっています。

サイモン・リー、忙しかったのでしょうか、、。それとも老けメイクが嫌だった?

という事で、奇妙な配役で本題に入っていく本作ですが、その奇妙ぶりは置いておいて、アクションは流石にユエンブラザースというぐらいにハイレベルなアクションとなっています。

なにせ本家の酔拳アクションを生み出したチームが創造しているアクションですので、各アクションがそれぞれ見せ場の連続となっています。

ただ、物語の構成上、修行して強くなるまでの過程を描くことに全体の半分以上が費やされていますので、お目当てのジャック・ロンサイモン・リーのアクションは武術を学ぶ前の喧嘩アクションメインのシーンが多く、

いよいよ酔拳を身に着けていく辺りからは、若干速足になってしまい、免許皆伝的な、ここぞという修行を経ての奥義習得は、

師匠から直々に教わるのではなく、敵であるルン・フェイから傷ついた師匠と一緒に逃げる過程で行き着いた洞窟の壁画に書かれている奥義を見ながら自習で速攻習得する

というまさかの展開になってしまいます。

その強くなっていく過程が一番見たいんですが、、。

しかも、ルン・フェイが命を狙って今まさに、追いかけてきている、という緊急事態中に、です。

壁画を見て、奥義を習得できるなら、世の中、酔拳の達人で溢れてしまいそうですね、、。

で、結局、奥義を習得した若者二人と、物語の中盤まで一切登場していなかったルン・フェイが急にラスボス的に戦う事になります。

戦う理由も、二人の師匠が酔拳の達人のようなので、やっつけておこう、という良くわからない理由で、命がけの戦いに発展していきます。

急な登板で大急ぎでラスボスに降格となるルン・フェイ。戦う理由は『あいつは酔拳ができるから、やっつけるしかない』はないぞ。

かなり強引ではありますが、蛇拳使いの準ボスとの戦いの後、結局二人の酔拳使いとルン・フェイがいつものように2対1、という卑怯な状況でラストバトルを展開していきます。

蛇拳使いの準ボスとの戦い。昇華試合ですね。
ラストバトルは2対1!!

この途中参加のくせに、ラスボスとなるルン・フェイも(ドランゴン太極拳)などジョセフ・クオ監督作品の多くに出演していて、

それ以外のカンフー作品ではジミー・ウォング主演(ドラゴン修行房)のラスボス役や、(ドラゴンカンフー龍虎八拳)での主人公の父親役で、強く印象を残しています。

そんな途中参加のくせにラスボスとなるルン・フェイとのラストバトルは、ジョセフ・クオ監督、ユエン・チュンヤンアクション監督、ジャック・ロンサイモン・リーと、

全ての実力を出し切っているかのように全力のバトルとなっています。

戦いの前に師匠が致命傷を負わされ、それに憤慨した二人が怒りの酔拳を喰らわす、という展開ですが、その傷は、ルン・フェイに負わされたのではなく、草むらに隠れていた雑魚敵の弓矢に射られての傷です。勘違いでキレる若者二人。冷静に見れば分かるはず、、。

この戦いでは、さっき壁画をカンニングして習得したばかりの奥義を繰り出しながらの交戦となっていて、本作最大の見どころといえます。

羅漢は虎のごとく伏し、

鳳凰は翼を広げ、

武松が丘をまたぐ

虎に3点の急所あり

とさっき壁画に書いてあった酔拳の奥義を叫びながら(心の中で大きな声で叫んでいるようにも取れます)ルン・フェイを追い詰めていきます。

どうも酔拳の発祥は水滸伝に登場した武松が編み出した技のようで、その武松による有名な虎退治のエピソードがそのまま、酔拳の奥義に込められているようです。

近年映像化された(タイガーハンター水滸外伝)(詳しくはこちら)のエピソードは実は酔拳誕生の物語にもつながっていたようですね。

諸説いろいろありそうですが、、。

という事で、やっとの事でラスボス、ルン・フェイを倒し、回想シーンは終了、現在の老齢な達人になっているシーンに戻ってきます。

で、二人を呼び出したのは、実は若き日のルン・フェイ戦で崖から落ちて命を失ったと思っていた、ヒロイン、玉露が、実は生きていて、

その戦いで命を落とした父親の墓前を参って欲しくて、手紙を出した、という事がわかります。

若き日の玉露
そして、年齢を重ねた玉露。

で、若き日を一緒に過ごした3人が再び再会して、ルン・フェイ戦で亡くなった玉露の父親のお墓詣りをしながら涙を流します、、。

ん?玉露は何故30年間なんの音沙汰もなかったのに、急に二人を呼び出して、父親のお墓参りを提案したんでしょうか。?

あと、良く考えたら、30年後の現在の姿が実際の年齢とかけ離れているような気がします。

若い時代の外見はおそらく20代前半から、ちょっと年齢のいっていそうなジャック・ロンでも20代後半ぐらいに見えます。

そこに30歳プラスすると50歳台前半から中盤ぐらいです。

それにしては、作品に登場するキャラクターたちの老け方が尋常ではないように見えるのですが、、。

見方を変えると、(ドランクモンキー酔拳)でジャッキーに酔拳を伝授していた師匠はああ見えて、実は50歳!という驚愕の事実が判明してしまいました。

これは、深酒はやめた方が良さそうですね、、。

こう見えて、二人は50歳過ぎ、、。

あと、30年前に亡くなった父親のお墓で泣き崩れるおじいさん二人とおばあさん一人というのも、、、。

まぁ、悲しみは癒える事はない、という事でしょうか。

父親の墓前で泣き崩れる三人。

というような流れで、通常の作品でしたら、終幕となりますが、本作はここでは終わりません。

その墓参り中にあろうことか、些細な事でおじいさん二人が喧嘩を始めてしまいます。

また、喧嘩を始める二人、

相変わらずの二人に、ヒロイン玉露はあきれ顔ですが、そこへ突然、挑戦者が現れます。

高名な酔拳の名手となった、ファン・ダーペイは、その名声とともに、色んな挑戦者からの試合の申し込みを受けるようになりました。

今回の挑戦者は、かねてからファン・ダーペイの命を狙っていると警告を受けていた仇連斬という悪人寄りの武道家のようです。

笑いながら挑戦者登場。何故笑う?

しかたがないので、ファン・ダーペイ蘇化子との戦いを中断して、場所を少し移動して、仇連斬と対決しに行きます。

ファン・ダーペイ『お前が俺を狙っていた、仇連斬か?』

挑戦者『いや、違う、俺は仇天覇だ!』

人違い!

仇連斬と思っていた仇天覇とのバトル

ですが、もう挑戦を受けてしまったので、そのまま戦いになだれ込みます。

で、さっきラストバトルと思っていたバトルは、ラストバトルではなく、今登場したばかりのラスボスと、本当のラストバトルが始まります。

で、今回は蘇化子は関係のない戦いで、場所も変えているので1対1の戦いとなります。

一応ラスボスですので、相手も強いですが、やはりジャック・ロンの酔拳の方が若干優勢かと思われた、その時、、、。

やはりジャック・ロンの方が優勢か、、

突然現れた人相の悪い男に、仇天覇が物凄い攻撃を受けて一瞬で倒されてしまします!

男『俺が仇連斬だ!』

しつこい!

ついに終幕10分前に登場のラスボス仇連斬。遅すぎます。というか、それをラスボスと呼んで良いのかどうか、、。

早よ出て来いよ、というツッコミの声が聞こえてきそうですが、勿論、今初めて登場したばかりのラスボス仇連斬も必殺の酔拳であっさり倒します。

本当に、本当に、本当に最後のバトル。

ラスボスバトルに勝利したファン・ダーペイが、玉露蘇化子が待っている場所に戻ると、既に二人の姿はなく、先に帰ってしまっているのでした、、。

寂しいですね、、。

という事で、メインキャラクターを3人のキャストが演じ、ラスボスも何故か3人いる、という世にも奇妙な酔拳物語となっていますが、

カンフーアクション自体は十分楽しめる作品とはなっていますので、カンフー映画好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

酔拳といば、このようなトリッキーなお酒の飲み方をしますが、ほとんどこぼれています。
若き二人。

作品情報

1979年製作 香港製作 カンフーアクション

監督・製作 ジョセフ・クー アクション監督 ユエン・チュンヤン

出演 ジャック・ロン、サイモン・リー、ユエン・シャオティエン、ルン・フェイ、ジャニー・チャン、フェイ・ラン

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