お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
緊急通報オペレーターにかかってきた1本の電話、それは今まさに誘拐されている女性からの助けを求める電話だった、、!?
作品紹介
2019年2月22日公開
今回ご紹介するのは、オペレーターにかかってきた電話によって展開する、シチュエーションサスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
過去の事件で警察官として一線を退いているアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)は現在は緊急通報オペレーターとして勤務していた。
そんなある日、1本の緊急通報電話がかかってくる。
女性は、今まさに誘拐されて車に乗せられている、というのだった。
車の発信音、女性の声、犯人の息遣いなど、周りから聞こえてくる微かな音の情報だけを頼りにアスガーは対処していくのだった!?
上映時間85分とタイトな分数ですが、その間非常に濃密で、緊迫感に溢れる展開となています。
ですので、これ以上に長くなってしまうと、緊張の連続も持続しにくいと思いますので、調度良い、内容にあった上映時間だと思われます。
似たような作品にハル・ベリー主演(ザ・コール緊急通報指令室)という秀作サスペンス作品がありましたが、
そちらは、シチュエーションサスペンスというより、過去に挫折を経験したオペレーターが同じような状況になり、挫折を乗り越えるというちょっと変わった設定の、普通のサスペンス作品でした。
本作も同じように過去に挫折を経験した主人公の物語で、オペレーター、同じように女性からの緊急通報から展開する物語ですが、本作はなんといっても
事件の発覚から終幕まで、ほとんど一つの部屋(とガラス張りの隣の部屋、と廊下)のみで本当に展開される、と言う大胆な手法が、非常に緊迫感を増幅させていました。
電話口の相手に対して、実際に自分では手を貸すことができない主人公が、あの手この手を使って、なんとか、誘拐された女性を救おうとします。
通常のこういったタイプのサスペンスでは、主人公は現場にいなくても、現場側で奮闘する被害者のシーンや、助けに向かう警察官の描写は必ず入ります。
しかし、本作では、オペレーター側の主人公しかカメラに映りません。
この大胆な設定によって、観ている側も、情報は音だけとなり、主人公と同じように音だけで、現場の状況を想像するしかないわけです。
まさに主人公が体験している条件と全く同じ条件でその事件に接している、という事になります。
その状況からくる緊迫感は、なかなか他の作品では体験する事のないようなリアルさがあります。
また、今現在起こっている事件と並行して、主人公の過去の過ちについても徐々に明らかになっていきます。
主人公は過去に一体何をしでかしたのか?
過去の話が明らかになるにつれ、だんだんと主人公の人となりも分かってきます。
偶発的に起こった過去の過ち、というよりももっと、主人公の人間性によって引き起こされた過ちなのでは?と予想されるような事実が少しづつ明らかになっていきます。
そういった主人公のパーソナルな設定も本筋の事件と絡めつつ、その事件に戸惑いながらも、結果的に実直に対応していく主人公、
その行動の先に、後半には、主人公の内面ににある変化がもたらされます。
そして、ラスト、ついにこの部屋を出ていく主人公の後ろ姿は、何か清々しい雰囲気さえ漂っていたりします。
もう、まるでおじさんヒーローとして生まれ変わったような、そんな感じにさえ見えたりします。
というように、本作は短い上映時間ながらも、上手くまとまった、一人の男性の成長物語にもなっています。
秀逸の物語展開は、サスペンス好きの方だけでなく、エンターテイメント作品好きの方でしたら十分楽しめる内容となっていますので、機会がありましたら一度ご鑑賞ください。
作品情報
2018年製作 デンマーク製作 サスペンス
監督・脚本 グスタフ・モーラー
出演 ヤコブ・セーダーグレン、イェシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセン、オマール・ジャガウィー
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