Mr.ノーバディ(NOBODY)92分

投稿者: | 2021年6月19日

お薦め度 ★★★★★★☆☆☆☆

(ジョンウィック)製作スタッフと(ハードコア)の監督がタッグを組んだ、舐めてた相手が実は強かった路線の決定版的痛快アクション!!ラストの銃撃戦は香港映画風!

作品紹介

2021年6月11日公開

今回ご紹介するのは、(ハードコア)の監督と(ジョンウィック)の製作・脚本家が製作した痛快アクション作品です。

それでは、まずはあらすじから、

平凡な男ハッチ・マンセル(ボブ・オデンカーク)は、毎日同じルーティンを繰り返し、今日も妻の家族が経営する工場でデスクワークに従事していた。

そんな毎日の繰り返しに、いつしか妻や息子からの愛も感じられなくなっていた。

しかし、幼い娘だけは、そんなハッチを慕い、頼ってくれていた。

そんなある夜の深夜遅く、自宅に男女二人組の強盗が侵入する。

しかし、それ以上事態を悪化させることを避けるために、ハッチは強盗に反撃することなく、見逃してしまう。

その件で、さらに家族から冷たい目で見られるハッチだったが、その強盗に娘が大事にしている猫のブレスレットを盗まれたと知ったとき、

ハッチの怒りは頂点に達し、獣性は目覚めて、銃を握りしめるのだった!?

無軌道な若者をぶちのめすスゴ悪おやじ

キアヌー・リーブスの大ヒットシリーズ(ジョン・ウィック)の脚本家、製作者コンビと、一人称視点のアクションが斬新だった(ハードコア)の監督がガッツリ組んだ、

舐めてた相手が実は強かった系の痛快アクション作品です。

同じような流れの作品はリーアム・ニーソン主演の(96時間)シリーズや、舐めてたスーパーの警備員が実はアフリカの英雄だった、という(ガーディアン24)(詳しくはこちら)、舐めてた旅行者が実は休業中の殺し屋だった、という(メッセージマン)(詳しくはこちら)など、

今では、アクション作品の中でも、一つの人気ジャンルとして定着しています。

本作は、そんな流れをくむ作品の決定版のような作品となっています。

今回の舐められる相手は、普通のおじさんです。

奥さんからは、なんとなくウザがられ、息子からも割とウザがられながら、毎日少しづつストレスを溜めていっている普通のおじさんです。

そんなおじさんが、ある夜の深夜遅くに、自宅に強盗に入ってきた男女二人組を、それ以上事態を悪化させないために、わざと取り逃がしてしまう事で、全てが変わっていきます。

その後の警察の事情聴取では警察官に『あなたは正しい事をした。しかし、私の対処法とは違うけれど。』と言われ、果たして強盗を取り逃がした事が本当に正しいことだったのか?

と自問自答するようになっていきます。

そんな時に、幼い愛する娘が大事にしている猫のブレスレットが強盗犯に盗まれている事実が発覚。

この些細な事がらを発端にして、主人公ハッチの何かが目覚めてぶちキレます。

銃を取り強盗犯を独自に探し出します。

で、強盗犯の家を探しあてて、乗り込んでみると、そこには、強盗犯にも色々と事情が、、、

という事で、ハッチの怒りの矛先はいきなり向かう先がなくなってしまいます。

で、帰りのバスの中で、偶然無軌道に暴れようとしている若者たちに、その底先が向けられます。

そこで、数名の屈強な若者相手に大喧嘩が始まります。

ここにきて、初めてハッチがどういう人間か?がはっきりとわかる展開になっています。

ハッチは今は普通のおじさんとして暮らしていますが、その昔、政府の記録にも載っていないような特殊な機関の中の、さらに特殊な部隊の中の、さらに特殊な人員だったようです。

そこでの喧嘩は、ハッチからすれば、怒りをぶつけたいだけなので、完全に喧嘩の体制で、銃は投げ捨てます。

で、格闘開始、ですが、これがセガールのような無敵格闘や、他の舐めてた相手が系列の圧倒的な強さの主人公とは違い、意外に負傷します。

というか、強いのは強いけれども、たまたま他人より怒りの度合いが強かったから勝ったけれども、結構危ない瞬間が何度もあった、ような勝ち方です。

それでも、体格の良い若者5.6人相手に勝っているので、強い事は変わりないのですが。

事情聴取に『ノーバデイ』と答える極ワルおやじ

本作の主人公ハッチは、そういう強いけれども、他の無敵系の主人公よりかなり等身大、というのが特徴的なキャラクターとなっています。

一番近いのはブルース・ウィリスが演じていた(ダイハード)シリーズのジョン・マクレーン刑事といった感じでしょうか。

最終的に絶対勝つし、強いけれども、そこに至るまでは、結構、傷つく、常にボロボロのおやじ。

そんなハッチの父親も、一癖も二癖もある父親です。

穏やかな余生を送ってはいるものの、実は息子以上に凄腕で、どうしようもない相手にはバイオレンスもいとまないようなタイプの父親です。

演じるのは意外にも(バック・トゥ・ザ・フューチャー)のドク博士役が有名なクリストファー・ロイドです。

もう、よぼよぼで、あまり感情を見せずに、ドクもそういう役柄を演じるようになったか、と思いきや、、

という感じで、ラストにかけて非常にカッコ良く活躍していきます。

ラストバトルは完全に香港映画なスゴ悪おやじと、そのまたスゴ悪おやじとお助けマン

で、そのラストバトルのお助けマンとして、ほとんどお助けマン専門俳優と化しているヒップホップグループ、ウータンクランを率いるRZAが登場します。

自身のレーベルで昔のカンフー映画をDVDで続々とリリースするぐらいのカンフーアクションマニアで、あまりに好き過ぎて自身で監督・主演したハリウッド製カンフー映画(アイアンフィスト)シリーズも製作するほどで、

本作のようなタイプの作品に多数関わっています。

お助けマンとしては、この上ないキャスティングですね。

このラストのガンバトルは、個人的にはチョウ・ユンファ主演の(男たちの挽歌)、(男たちの挽歌2)、(狼男たちの挽歌最終章)を彷彿とさせるアクションとなっていて、

かなりアドレナリン全開で鑑賞できました。

監督のインタヴュー曰く、本作は韓国映画に強く影響され、イ・ビョンホン主演の(甘い生活)を参考にしている、との事ですが、

韓国映画自体が香港映画の影響を強く受けていますので、本作の、特にラストのガンバトルに関しては、一昔前の香港映画の雰囲気を強く感じる事ができます。

という事で、娘の猫のブレスレットがなくなった事を発端として、バスでの格闘に発展、その相手の兄がロシアンマフィアだった事で、さらに大ごとになっていく、という、

ジョン・ウィック)の脚本家らしい展開の舐めてた相手が実は強かった系のアクションを、韓国映画香港映画のイメージで描いた痛快アクション作品となっていますので、

ストレス発散目的にご鑑賞などされてみてはいかがでしょうか。

ただ、(96時間)や、(ジョン・ウィック)の主人公が、巻き込まれて、しょうがなく対処していくのに対して、本作のハッチのバトルは結局、自身の八つ当たりが招いた種とも言えますので、

結構自業自得なところもあったりしますが、そういう人間味のあるところが、本作の主人公ハッチの魅力なのかもしれませんね。

ロシアマフィア相手に戦いを挑むスゴ悪おやじ

作品情報

2021年製作 アメリカ製作 アクション

監督 イリヤ・ナイシュラー 制作 デビッド・リーチ、ケリー・マコーミック、ブレイデン・アフターグッド、ボブ・オデンカーク、マーク・プロヴィシエロ

脚本 デレク・コルスタッド 制作総指揮 デレク・クルスタッド、トビー・マグワイヤ

出演 ボブ・オデンカーク、アレクセイ・セレブ・リャコフ、コニー・ニールセン、クリストファー・ロイド、マイケル・アイアンサイド、RZA

ロシアンマフィアの裏金を痛快に焼き払うスゴ悪おやじ

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