おすすめ度 ★★★★★★★☆☆
カーク・ウォン監督、ダニー・リー、アンソニー・ウォン、セシリア・イップ主演による警察隊と強盗団の戦いを描いた傑作アクション!!
作品紹介
1995年2月17日公開
今回ご紹介する作品は、カーク・ウォンが監督した警察隊と強盗団の戦いを描いたポリスアクションです。
それでは、まずはあらすじから、
香港の警察特捜隊を率いるリー警部は、トン率いる凶悪な強盗団を追い詰めていた。
しかし、警察内部のスパイによって情報が洩れ、寸前のところで取り逃がしてしまう。
警察の情報網で、トン達の潜伏先を特定した特捜隊は、決死の捜査でなんとかトン逮捕に成功するが、恋人のシンディの襲撃によって銃撃戦となるのだった!?
警察隊と強盗団の戦いを真っ向から描いた骨太ポリスアクションです。
監督は、俳優としても(カジノレイダース)(詳しくはこちら)や(シティー・オブ・フューリー)(詳しくはこちら)等に出演し、
監督としてはジャッキー・チェンの(新ポリスストーリー)(途中降板)やマーク・ウォルバーグ主演のハリウッド作品(ビッグヒット)等を監督しているカーク・ウォンで、
警察隊と強盗団の息詰まる攻防戦をスリリングに演出しています。
主演と製作を兼任しているのは、チョウ・ユンファと共演した名作(狼/男たちの挽歌最終章)や(友は風の彼方に)、(愛と復讐の挽歌)等の、
香港ノワールものや警察もの、(妖刀秘伝)(詳しくはこちら)のような武侠カンフーもの、そして(八仙飯店之人肉饅頭)等グロ系ホラー、
さらに(インフラマン)や(北京原人の逆襲)(詳しくはこちら)等の特撮ものまで、様々なジャンルで活躍しているダニー・リーで、
本作は、得意の警察官役の決定版のような役柄を演じています。
で、そのダニー・リーに追われる側の強盗団のリーダー役には、悪役一辺倒の時期から(八仙飯店之人肉饅頭)での強烈な役柄、
そして、(タクシーハンター)や(マッドモンク魔界ドラゴファイター)(詳しくはこちら)等、色んな役柄を演じ始めていた時期のアンソニー・ウォンで、
強盗団でありながらも、冷血漢ではなく、仲間想いの人間味のある悪役を好演しています。
で、ヒロイン役でありながらも、決してお飾り的な存在ではなく、積極的に物語を引っ張っていくアンソニー・ウォンの恋人且つ強盗団員役で、
チョウ・ユンファ主演の(大陸英雄伝)や、スティーヴン・フォン主演の(拳神)、最近作の(淪落の人)(詳しくはこちら)では、アンソニー・ウォンと再共演しているセシリア・イップで、
命がけで恋人を守る強いヒロインを好演しています。
因みに最新作(我愛你!)では、クララ・ウェイやレオン・カーファイ等の懐かしいメンバーと共演しています。
で、警察のエリートとして登場しながら、最終的にアンソニー・ウォンと行動を共にするのはアンディ・ラウの(暗黒英雄伝)や、(ザ・ミッション非情の掟)、
日本香港合作の(妖獣都市 香港魔界篇)等、悪役の多いロイ・チョンで、今回も嫌な奴ながらも、実は兄貴分に対しては命がけの忠義を示す、
という意外に良い面も描かれるキャラクターを好演しています。
で、ダニー・リーに信頼を寄せる忠実な部下役兼本作の脚本も担当しているのは、(エミリー・チュウの吸血奇伝)(詳しくはこちら)や、
本作のダニー・リーも出演している(友は風の彼方に)や(狼/男たちの挽歌最終章)等のパークマン・ウォンで、頼れる部下役を好演しています。
で、ロイ・チョンとは別口の本作のメインのイヤミ役で、(狼/男たちの挽歌最終章)やダニー・リー監督のチャウ・シンチー主演作品(レジェンド・オブ・ドラゴン)等のリッキー・イーが登場し、
イヤミ節全開で、特捜隊を逆に内部から追い詰めていきます。
そして、特捜隊の若手メンバーで、途中少しだけ格闘的なアクションもある役柄で、日本のコミックの映画化(力王)や、
(イップマン)シリーズ(詳しくはこちら)、(エッジ・オブ・トゥモロー)(詳しくはこちら)等で大アクションスターとなっていくルイス・ファンが登場し、
そのキレのあるアクションで、アクションシーンを盛り上げていきます。
で、同じく特捜隊の紅一点で、ルイス・ファンと同じようにアクションを決めるのは、(チャイニーズゴーストストーリー2)や、
チャウ・シンチー主演の(ロイヤルトランプ)シリーズ、ドニー・イェン主演の(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝アイアンモンキー)、
そして近作のドキュメンタリー(カンフースタントマン)(詳しくはこちら)等に出演しているレディドラゴン、リー・ファイで、
活発なキャラクターで、特捜隊の雰囲気を盛り上げています。
で、ダニー・リーの元カノ役で、ロイ・チョンの現在の彼女役を演じているのは、シンシア・ラスロック主演の(香港レディレポーター)や、
ダニー・リーと共演している(妖刀秘伝)等に出演しているエリザベス・リーで、出番は少な目ですが、物語を展開させる重要な役柄を演じています。
で、あまりの現在との外見の違いに同一人物と判別するのも難しいですが、強盗団のメンバー役で、デビュー間もない(ホワイトストーム)等のルイス・クーが少しですが登場し、少しだけ印象を残しています。
そんな、当時の人気と実力を伴ったスタッフ・キャストが結集した本作は、既に強盗事件が発生し、そのアンソニー・ウォン率いる強盗団グループをダニー・リー率いる特捜隊が追っているシーンから始まります。
冒頭で、既に事件が発生した後(と言っても丁寧に描かれます)で、特捜隊の乗り込みに強盗団各自が逃走し、
最終的にアンソニー・ウォンとセシリア・イップのカップルとダニー・リーのチェイスになり、草の生えた急斜面を銃を撃ちながら滑り落ちる、
という、盛り上がるシーンから、そのまま逃走劇がスタートしていきます。
非常に緊迫感とスピード感を伴った出だしですが、この物語の発端を描かない、という描き方は、最近の上映時間の極端に短い配信専用中国作品でも良く見かけますが、
本作は、端折って上映時間を短くする目的ではなく、犯罪を犯す物語の発端を描かずに、まずは追う者と追われる者を同等に描く事で、
犯罪者であるはずの追われる強盗団側にも感情移入できるように物語が展開していきます。
しかも、追う側のダニー・リーも、犯人を追うために、証拠品となる現金をプールしておいて、小さな漁港の村を現金をばら撒いて村ごと買収して、
犯人をあぶり出そうとする、という正義を貫くためにはダーティな事も辞さず、途中逮捕した強盗団メンバーも、平気で拷問責めにしていきます。
それでも、特捜隊は、やはり正義を貫くために命を懸け、内部調査部からも睨まれながら、それでも悪人を逮捕するために命を懸けています。
一方、アンソニー・ウォンも、途中病院に逃げ込んだ際に、手術中の少年の姿を見て、その少年の命を救うために抵抗を止めたり、
恋人のセシリア・イップも荒々しい事をしながらも、基本はアンソニー・ウォンへの一途な想いを貫くためであったり、
嫌みなロイ・チョンも、正体を現してアンソニー・ウォン側に着いた途端に
兄貴分想いの忠義に熱い男に変身したり、
という感じで、本来善と悪という単純な二つの勢力を、どちらにも平等に感情移入できるように、前半で描かれるはずの物語の発端(強盗シーン)を描かずに、
中盤でしっかりと両方に感情移入した段階になって初めて、少しづつ強盗シーンを描く、という感じで非常に物語にも、登場人物にも、アクションにも、
感情移入できるような描き方となっています。
本作の前年には、監督のカーク・ウォンは、ジャッキー作品(新ポリスストーリー)での降板騒動があり、
その翌年にそのうっぷんを晴らすような、本来自身が製作したかった内容の作品として本作を製作し、
主演三人も何が何でも犯人逮捕を最優先する一本気な警察官ダニー・リーと、荒々しい面がありながらも、兄弟分や恋人のためには命を懸けることもいとまないアンソニー・ウォン、
そして、恋人のためなら、おそらく地獄の果てまで一緒に走っていきそうな覚悟が見えるセシリア・イップ、
という、それぞれの持ち味を最大引き出したような名演を披露する、というこの時期のこのタイミングでしか製作できないような名編となっています。
という事で、その後沢山製作される(ビーストストーカー)や(密告者)、(コンシェンス裏切りの炎)等のダンテ・ラム作品等の、
警察隊の登場する作品の原型とも言えるような緊迫感のある雰囲気を感じる事ができるポリスアクションの傑作となっていますので、
香港アクション好き、ポリスアクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
物語はシンプルですが、面白いですよ。
作品情報
1994年製作 香港製作 アクション
監督・製作 カーク・ウォン 制作・製作総指揮 ダニー・リー 脚本 パークマン・ウォン
出演 ダニー・リー、アンソニー・ウォン、セシリア・イップ、ルイス・ファン、ロイ・チョン、パークマン・ウォン、エリザベス・リー、ルイス・クー
↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓
映画レビューランキング
にほんブログ村