おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
(人生の運転手)のパトリック・コン監督による、後出しジャンケン的にどんでん返しを繰り返す火曜サスペンス風愛憎ドラマ!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、(人生の運転手)のパトリック・コン監督による愛憎サスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
自動車事故によって失明してしまった主婦のバオは、医師である夫ヤオファが出張している数日間、一人で自宅で暮らす事になったが、
そのタイミングを見計らったように、謎の男の侵入者がやってくるのだった!?
まるで火曜サスペンス劇場の深夜版のような愛憎渦巻く監禁サスペンス作品です。
監督は、日本で劇場公開されながらも未だにソフト化されない現代の香港を舞台にした女性ドライバーのドラマ映画(人生の運転手 明るい未来に進む路)や、
金城武主演、エリック・コット監督の(初恋)の脚本家としても知られるパトリック・コンで、
得意とする男女関係の恋愛ドラマ要素の、どろどろとした部分のみを抽出して描いたような愛憎ドラマを下敷きとしたサスペンス物語を描いています。
主人公の主婦役を演じるのは、ドニー・イェン主演の(レイジングファイア)(詳しくはこちら)や、ジャッキー・チェン主演の(新宿インシデント)、
チョウ・ユンファ出演の(コールドウォー墜ちた正義)等に出演しているキャシー・ユエンで、監禁される盲目の主婦、という難しい役柄を好演しています。
で、その夫役を演じているのは、アンディ・ラウ主演の(ショックウェイブ爆弾処理班)やその続編、(バーニングダウン)(詳しくはこちら)等に出演している
ロン・ンで、裕福な医者で美しい妻がありながらも、、、、という裏の顔のある医師を怪しさたっぷりに好演しています。
で、その間に入るように侵入してくる狂気の男役で、香港の演劇団、【香港话剧团(Hong Kong Repertory Theatre)】に所属し、
映画作品では(南海十三郎)や、(人間有情)等のクリフトン・コウ作品に出演しているチャン・レオンで、
狂気に走る男を重みのある演技で演じています。
で、その狂気に走る男が、その狂気の原因となった妻役で、美女大集合の武侠作品(暗殺)(詳しくはこちら)や、(レイジングファイア)にも出演している
ジーナ・ホーが前半と後半で別人のような役柄を演じ、物語に深みを与えています。
という、今現在の香港映画界で活躍しているスタッフ・キャストが揃った本作の物語は、自動車事故によって視力を失ってしまった主人公の主婦が、
医師で優しい性格の夫が出張に出かける、というシーンから始まります。
で、愛犬の助けも借りながら、出前の食事をとり、なんだかんだと家事を行いながら、プールの傍(豪邸です)を通ると、
近くに放置されていた網に足を引っかけてしまって、そのまま【ドボン】とプールに落ちてしまい、しかも足が網に絡まっているので、生命の危機、、、、
というところで、正体不明の男が現れ、助け出してくれる、というところで急展開を迎えていきます。
で、気を失っていたキャシー・ユエンが目を覚ますと、そこに知人ではない謎の、男が、、、!
という流れで侵入スリラーへと突入していきます。
本作は、基本的に大どんでん返し的な新事実の発覚の繰り返しで、意外な物語展開=作品の見所となっている作品ですので、
詳細な物語内容については割愛させて頂きますが、その今現在起きている、謎の男による主人公の盲目の主婦監禁事件をベースに、
数年前にまでさかのぼって、主人公の過去の出来事、その夫である医師の過去の出来事、謎の男の過去の出来事、その妻の過去の出来事、
という感じで、頻繁に【一年前、、、】【半年前、、、】という感じで、過去の出来事が語られます。
過去の物語に戻る度に新事実が発覚し、その度にその出来事に関わった人物のキャラクターが更新されてしまい、さらに、大概はどろっとした黒い部分が発覚するパターンが多いので、
過去に振り返れば振り返る程に、それぞれのキャラクターの厭な部分が見えて来て、最終的にはどんよりとした雰囲気でクライマックスを迎える、というどろどろ系の愛憎ドラマとなっています。
そのどんでん返しも、(変な言い方ですが)テンポが良く、後半になってくるとペースに慣れてくるので、
その状況にちょっと飽きかけたところで、過去に戻っての情報更新で、新展開に突入する、という感じで、
後半ぐらいには、次のどんでん返しを待ってしまうぐらいにテンポ良く変化が加えられます。
ですので、それほど飽きを感じることなく物語展開に浸る事はできますが、反面どんでん返しを繰り返されると、
それぞれの物語が、非常に軽く感じられ、後半になってくると、『今観ているこの状況、どうせその先に違う展開になる。』
という
物語自体のどんでん返しは予測不能ながらも、どんでん返しが待っている事だけは観ている人、全員が予測できる
という、なかなかに特殊な(良く言うと貴重な)作品となっています。
監禁・拘束の表現方法も、ハードな監禁サスペンスっぽいイメージながらも、結局きわどいシーンは少な目で、
そういう意味では、安心して鑑賞できる内容ではありますが、
盲目の主人公や病気の人が、平手打ちをバシバシ喰らう、という厭な(物凄いダメージではありませんが)シーンも存在したりしますので、
色んない意味で、観る人を選ぶ作品だとは思われますが、しっかりとした今現在の人気の香港監督が製作し、
香港を舞台に広東語で話す現代劇、という、それだけで貴重になってしまった、生粋の香港映画となっていますので、
香港映画ファンの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
日本版のDVDジャケットイメージからは、ちょっとハードルが高そうな作品に見えますが、結構娯楽サスペンス映画として楽しめますよ。
作品情報
2022年製作 香港製作 サスペンス
監督・製作・脚本 パトリック・コン(イップ・リムサム)
出演 キャシー・ユエン、ロン・ン、チャン・レオン、ジャスティン・チャン、ジーナ・ホー
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