おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(ゴッドギャンブラー)(追龍)のバリー・ウォン監督による1970年代の香港を舞台にした、マイケル・ツェー主演、シュー・トントン共演の香港には見えない香港ノワール作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、バリー・ウォンが監督しシュー・トントンが出演した香港ノワール作品です。
それでは、まずはあらすじから、
1970年代の香港。警察の汚職が蔓延し、黒社会との癒着が深刻化していた。
そんな中、麻薬取締局は汚職の証拠を掴むため、黒社会組織に凄腕の潜入捜査官メイクイを送り込む。
しかし、その潜入先の黒社会のボス、ハオの過去を知ることで、メイクイの心は揺らぐのだった!?
中国で大人気の(Missデンジャラス)(詳しくはこちら)や(Missリベンジ)(詳しくはこちら)(Missアサシン)(詳しくはこちら)、等のシュー・トントンが出演している香港ノワール作品です。
中国映画なのに香港ノワール?という感じですが、広東語などは一切聞こえず、香港には見えない風景ばかりで、
香港ノワール感は極めて薄いですが、一応舞台となっているのが1970年代の香港ですので、ジャンルとしては香港ノワール作品となっています。
原題が(老坂娘2 天間潜行)という事で、続編作品的なタイトルがついていますが、これは2021年に本作と同じシュー・トントン出演で、監督がバリー・ウォンという
本作と同スタッフ・キャストコンビによる(老坂娘)という同じく1970年代の香港を舞台にした作品が存在しているためで、
その第二弾ではありますが、基本的には無関係の物語なので、特に前作を鑑賞していなくても、本作から楽しめるようになっています。
ただ、(老坂娘)とは女主人、女将、女ボス、的な意味合いで、前作のシュー・トントンは、ホテルのオーナーという役柄のようですので、タイトルと内容が一致していますが、
本作で演じている役柄は、香港のマフィア組織に潜入する女性捜査官、という役柄で、女ボスとは全く関係ない役柄のすので、
前作の存在を知っていないと、本作のタイトルの意味まで分からない、という実に香港・中国映画らしいシリーズの二作目となっています。
ですので、実際の内容は(無限潜行)のサブタイトルの方が内容に合ったタイトルとなっています。
で、そんな本作を監督しているのは、チョウ・ユンファ主演の(ゴッドギャンブラー)や、ジャッキー・チェンの(シティーハンター)、
ジェット・リーの(新少林寺伝説)、ドニー・イェン、アンディ・ラウの(追龍)(詳しくはこちら)とその続編(追龍2)等、
常に香港映画界の第一線で活躍し続けているバリー・ウォンで、本作主演のシュー・トントンとは2015年製作の(ゴッドギャンブラーレジェンド)シリーズの3作目からあたりから
コラボレーションが始まり、アンディ・ラウ主演の(王牌逗王牌)や、(追龍)、そして本作の一作目や本作という感じで、
バリー・ウォンらしい美女の魅力を引き立てた作品作りが展開されています。
今後も(追龍)シリーズの番外編(追龙番外篇之龙争虎斗)等で、またバリー・ウォン監督とシュー・トントンのコンビ作品は続くようです。
で、バリー・ウォンと共同監督としてクレジットされているのは、撮影監督としてジェット・リーの(ブラックマスク)や、
ユン・ピョウ主演の(ロマンシングドラゴン)、レスリー・チャン主演の(もういちど逢いたくて)、ドニー・イェン出演の(セブンソード)等、
有名な香港映画で撮影監督として活躍していきたヴィーナス・キョンで、近年はバリー・ウォンと共同監督している作品が多く、
本作の一作目や、本作、そして(追龙番外篇之龙争虎斗)でも、共同監督として参加しています。
そんな香港映画のレジェンド級の監督コンビが演出する作品を彩るキャストですが、これが、実際はシュー・トントンは主演というわけではなく、
物語を引っ張っていくのは、暗黒街4大勢力のボス役のマイケル・ツェーで、主役として活躍し、ノワールドラマを盛り上げていきます。
マイケル・ツェーも香港出身で、イーキン・チェン主演で大ヒットした(欲望の街)シリーズの中心メンバーの一人で、
その後も、イーキン・チェン主演の(ストームライダーズ)や、スー・チー主演の(トラブルセブン)、
アンディ・オンのデビュー作(ブラックマスク2)、(ゴールデンジョブ)等、多くの香港映画で活躍してきたスターで、
脇役での活躍が多かったですが、本作では主演として心優しき黒社会のボスを好演しています。
シュー・トントンは、このマイケル・ツェーを逮捕する証拠を掴むために組織に潜入する女性捜査官、という形で物語に関わっていきます。
で、そのマイケルのライバルである4大組織のボスの一人に、こちらも香港出身で、サモ・ハン主演の(イースタンコンドル)や、
アンディ・ラウ、トニー・レオンと【五虎将】と呼ばれていたメンバーが共演した(蒼き獣たち)、そして(追龍)等、長年香港映画界で活躍し続けているケン・ウォンが扮して、
分かり易い悪党役で、作品のノワール要素を高めています。
で、ケン・トンの彼女役で、都合よく扱われる気の毒ながらも、実にバリー・ウォン作品らしい妖艶な魅力を振りまいている役柄で、
本作の1作目や(追龍2)、ベニー・チャン主演の(极品芝麻官)等、かなりバリー・ウォン作品への参加の多いジェニー・グイが物語上特に必要の無さそうな役柄を、
監督パワーが全面的に出たような起用で、バリー・ウォン作品らしさを高めています。
昔のバリー・ウォン作品で例えるとチン・ミーヤウといった感じでしょうか。
そんな香港のレジェンドが多数参加、、、でありながらも香港映画の匂いの全くしない香港ノワールである本作の物語は、
1970年代の香港で、黒社会を牛耳るグループ内の4つの勢力の微妙な均衡の関係が続く中で、香港の汚職捜査機関ICACが、
香港警察と黒社会が通じる麻薬ルートと汚職の実態を解明し、組織もろとも壊滅させるべく、潜入捜査官シュー・トントンを送り込む、
という香港映画の王道的な設定で、物語が始まります。
あらすじだけを聞くと(インファナルアフェア)や(友は風の彼方に)等の香港映画の大ヒット作のシュー・トントン版を期待しますが、
そういうスリリングな正体がバレる、バレないのサスペンスや、任務と友情の間で揺れる男泣きアクションというような、熱い展開がある作品ではなく、
さらに、シュー・トントンの存在感も極めて薄まっていきますので、潜入捜査自体ががメインでもなく、
ただただ黒社会のボスマイケル・ツェーとケン・トンのしのぎ合いのドラマがメインとなっていきます。
それも、基本は出し抜こうとするケン・トンを、マイケル・ツエーが一歩先を行って軽くいなす、というようなやり取りばかりなので、
たいして緊迫感もなく、そこにシュー・トントンの過去の個人的な物語も挿入されてきますので、潜入捜査ものや、香港ノワールとしての面白味は、どんどんと薄まっていく事になります。
アクションシーンも極めて少な目で、始まると数秒で終わる、という感じの味付け的なアクションですので、
邦題タイトルからイメージされる、(ザ・スパイ)感も、(エージェントウルトラ)感もほとんど感じられません。
ですので、これまでの(Missデンジャラス)(Missリベンジ)(MIssアサシン)等のシュー・トントン出演(主演)作品の中では、
随一といっても良いぐらいに非アクション系の作品ですので、がっかりする方も多いかもしれません。
ただ、一応、最近の主演作品の中では、群を抜いて著名なスタッフとキャストが参加している作品という事は言えますので、
古くからの香港映画ファンの方や、シュー・トントンファンの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
1作目にはシェー・ミャオが出演しているようで、もしかするとアクション性が濃いかもしれませんので、そちらもリリースしてもらいたいですね。
作品情報
2022年製作 中国製作 ノワールアクション
監督 ヴィーナス・キョン、バリー・ウォン 脚本 バリー・ウォン
出演 マイケル・ツェー、ケン・トン、シュー・トントン
↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓
映画レビューランキング
にほんブログ村