おすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
天才的な頭脳を持ち、母親に過剰な愛情を持つ青年殺人犯と、腕利き熟練刑事の息詰まる心理戦を描いたアラン・タム、トン・ピョウ共演の本格サスペンス!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、シネマシティ社がアラン・タムを主演に製作した本格サスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
母親に対する過剰な愛情と、麻薬に対する異常な嫌悪感を持つ知能指数の高い青年アランは、ある日訪れたバーで、
母親を虐待する息子を見かけ、後を付けて、衝動的に暴行を加えて殺害してしまう。
事件発覚後、犯人を検挙できない老刑事ビルは、犯人像を分析し、プライドの高さを利用し、陽動作戦を開始するのだった!?
都会派現代劇を中心に製作していた製作会社シネマシティ社が製作を手掛け、ロニー・ユーが監督した本格サスペンス作品です。
ロニー・ユーは、マイケル・ホイ製作の(霊幻追鬼)や、チョウ・ユンファ主演の(悪霊退治デビルバスターズ)、
本作以降もブランドン・リーがブレイクしていくきっかけになった(ファイアードラゴン)、ジョン・ローン主演の(チャイナシャドー)、
レスリー・チャン主演の(キラーウルフ白髪魔女伝)等日本でリリースされるような有名香港作品を多く監督し、
その後ハリウッドに渡って(チャイルドプレイ チャッキーの花嫁)や(フレディVSジェイソン)、サミュエル・L・ジャクソン主演の(ケミカル51)、
そしてジェット・リー主演の(SPRITスピリット)等、ハリウッドと香港を股にかけて活躍する大監督へとブレイクしていきます。
主演は、邦題にも入っている通り、(魔界天使)(詳しくはこちら)や、(アラン・タムの特撮異星人大騒動)(詳しくはこちら)、
ジャッキー・チェンと共演した(サンダーアーム龍兄虎弟)等のアラン・タムが演じ、初めての汚れ役を演じ新しい魅力を披露しています。
で、そんな天才犯罪者を相手に捜査を挑む老刑事役を、ジャッキー・チェンの(ポリスストーリー)シリーズの上司役や、
(逆噴射おもしろ家族)(詳しくはこちら)、(幽霊道士)(詳しくはこちら)等、愛嬌のあるとぼけたお笑いで、登場するだけで作品が和むトン・ピョウが演じ、
作品のお笑いの部分を盛り上げていきます。
ただ、(ポリスストーリー)もそうでしたが、シリアスなパートでは、それまでの雰囲気との対比で、物凄く緊迫感を醸し出していきますので、
クライマックス近辺では、非常に作品を盛り上げる名演で作品を盛り上げています。
そして、そのトン・ピョウ刑事の部下で、ほとんど前半のみですが、アラン・タムに翻弄される刑事役で、
(香港ばちあたりコップ)(詳しくはこちら)等のベネット・パンが登場し、アランを捕まえる事ができない刑事役を好演しています。
因みに、アラン・タムとベネット・パンは、絶大な人気を誇ったロックバンド(ザ・ウィナーズ)のメンバーですので、
本作で貴重な共演が実現しています。
で、こちらも前半のみの登場ですが、冒頭の殺人事件の重要な容疑者として誤認逮捕されてしまう調子ノリ役で、
(プロジェクトA)や(ファーストミッション)等のジャッキーやサモ・ハン作品でお馴染みのタイ・ポーが登場し、期待通りの役柄を演じています。
で、そんなに活躍はしませんが、アラン・タムの彼女役で、(デビル・キャット)(詳しくはこちら)にも出演していたジョアン・タンが登場し、
アラン・タムのちょっとした異常性を見せつけられるシーンを盛り上げています。
そんな当時の実力派のスタッフ・キャストが結集した本作は、まずは冒頭からアラン・タムが歌う
完全にタイアップな主題歌が長めに流れて、合間にイメージカットも入りますので、
ほとんどアラン・タムのPVを観ているような映像からはじまります。
この辺は、映画でも歌手としても、人気・実力共に絶大な人気を誇っていた当時の様子が伺える演出で、
ちょっとサイコっぽいところのある天才犯罪者の片鱗を魅せる出だしと合わせていきなりの見せ場となっています。
それまで気の優しいお兄さん的な役柄の多かったアラン・タムが犯罪者役を演じる、という事で当時としては結構な話題になったのではないでしょうか。
ハリウッド作品で言うと、デンゼル・ワシントンの(トレーニングデイ)や、トム・クルーズの(コラテラル)という感じでしょうか。
ただ、当時の香港映画、しかもアラン・タム主演で、完全な異常犯罪者役はまずいと判断したのか、扱っている題材は連続殺人事件ではありますが、
全く陰湿な雰囲気ではなく、何度も何度も笑いを混ぜながら物語が進行していきますし、結局アラン・タムは父親からの自分自身と母親への虐待が原因で、
極度の母親への愛情と麻薬への嫌悪があって、さらに狂暴な異常者ではなく、知性と若干の異常性を合わせ持つサイコパス、
という十分感情移入できる余地の存在する犯人役ですので、汚れ役ではあるけれども、善人のイメージからは、そんなにはみ出ないような役柄となっています。
天才犯罪者としての描き方も、1985年という時代性もありますが、次から次へと犯罪を重ねるわけではありませんので、
そこまで天才的な犯罪を犯したり、あの手この手で捜査の手を逃れる、、、、
という展開には、一応物語上はなってはいますが、基本的には割と偶然逃げ切っているようなイメージですので、見方を変えると、
アラン・タムの天才感よりも、警察側のズッコケ捜査ぶりが際立つ描かれ方となっています。
ですので、サイコパスが犯罪を犯す物語、という鑑賞する人を選びそうな、暗くなりがちな題材ではありますが、
香港映画らしい行き当たりバッタリ感(誉め言葉です)も含めて、VHSのジャケットイメージ以上に香港映画らしい娯楽要素に満ちた作品となっていますので、
安心して鑑賞できるアラン・タムの新しい魅力(当時)を引き出した作品、となっています。
特に後半のシリアスな展開は、それまでのお笑い要素が嘘のようにアラン・タムとトン・ピョウの緊迫感のある心理戦が展開されていきますので、見逃せない展開となっていきます。
という事で、作品的には前半の緩めの展開と後半のシリアス展開の対比が見所で、アラン・タム要素としては、全編魅力全開の作品となっていますので、
香港映画好き、サスペンス映画好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
結構楽しめますよ。
因みに原題の(四眼仔)とは眼鏡男子、という意味で、眼鏡をかけている天才風のアラン・タムの容姿を現しています。
作品情報
1985年製作 香港製作 サスペンス
監督 ロニー・ユー 製作 カール・マッカ、ディーン・セキ、レイモンド・ウォン
出演 アラン・タム、トン・ピョウ、タイ・ポー、ベネット・パン、
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