おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
生配信のインチキ除霊番組の人気イケメン神父が、番組放送中に本物の悪魔をと対決する事になる、ありそうで無かった設定が秀逸なSNSエクソシズムホラー!!
作品紹介
2020年2月21日公開
今回ご紹介する作品は、エクソシストものにSNS要素を融合させた斬新な設定の心霊ホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
神学校で育った幼馴染のマックスとドリューは、生配信で悪魔祓いの除霊を行う生配信番組(除霊の時間)の出演者と製作者として人気を博していた。
しかし、実際は、その除霊は全てやらせで、儀式自体が作り込まれた演出だった。
そんなある夜、取り憑かれた被害者役の女優が来なくなり、急遽ドリューの恋人でもあるスタッフのレーンが代役を行う事になるが、
番組開始早々に、レーンの様子がおかしくなり始めるのだった!?
悪魔祓いを描いたエクソシストものに、SNS要素を付け加えた斬新な設定のホラー作品です。
元々は、本作の監督ダミアン・レヴェックが2016年に監督した19分の同名短編ホラーを、劇映画として作成し直した作品で、
設定の面白さと物語展開の上手さ等は、既に本作のプロットを練りに練った結果、娯楽要素もありながら、
凄まじい悪魔祓いの恐怖映像も見せていく、という本作のバランスの良い面白さに繋がっていると思われます。
出演者の中に、悪魔祓い放送を視聴する警察官役で、何故か韓国の有名俳優である(シルミド)や(モガディシュ)等のホ・ジュノがゲスト的に登場しますが、
オリジナルの短編にも出演していたようで、本作では唯一続投キャストとなっています。
主演のイケメンインチキ神父役には、スタローン出演の(バックトレース)や、ジェニファー・ロペス主演の(戦慄の誘惑)、
ダンス映画(ステップアップ)シリーズの4と5に出演しているライアン・グスマンで、前半の調子ノリ全開から後半の怒涛の展開まで、翻弄される主人公を好演しています。
幼馴染であり、動画制作の相方役は、2022年製作の(スクリーム)(詳しくはこちら)や(SMILEスマイル)、(ディナー・イン・アメリカ)等、
本作以降に出演した作品で大活躍中のカイル・ガルナーで、幼い頃からの親友である主人公をサポートする役柄を好演しています。
で、本作を秀作たらしめていると言っても過言ではない名演を披露しているヒロイン役で、オールスターウエスタン(マグ二フィセントセブン)や、
ヒラリー・ダフ主演のテレビ映画(美人ライターレーンの恋愛記事)等に出演しているアリックス・アンジェリスが登場し、
前半の普通の控えめな女性スタッフから、悪魔に取り憑かれた物凄い形相演技まで、かなりの高低差のある名演を披露しています。
そんな今後が期待されるスタッフ・キャストが結集した本作は、冒頭から(エクソシスト)感全開の緊迫感のある除霊シーンから始まります。
結構全開なので、悪魔の存在を信じる信じない、というサスペンスはいきなり飛ばしてしまって、超常現象的なポルターガイストで修羅場と化している、
という感じの娯楽風味の効いた除霊シーンで、その模様をSNSで生配信しています。
本日も除霊が成功し、フォロワーがうなぎ上り、という感じで放送を終えると、いたるところから裏方のスタッフが登場して、
その番組自体が、全て作り上げられたやらせのインチキ除霊番組だという事が分かります。
さらに、ホストの神父役のライアン・グスマンは、かなりのナルシストぶりで、番組をひっぱり、視聴者に受けているのは全て自分のおかげ、
と思っているタイプの自己中心的な性格で、周りは、そんなボスに気を遣って話を合わせている、という人間関係となっています。
で、そんなボスで番組のホストでもあるグスマンを支えているのは、演出家でもあり、製作者でもあり、編集者でもあり、
除霊の際の文言等も調べて台詞等に書き起こす、という裏方のかなりの大部分を取り仕切っている親友のカイル・ガルナーで、
グスマンとは幼い頃から神学校で共に育った、という過去があり、親友として主人公のグスマンをしっかりとサポートしていきます。
で、そんな二人の間に入るように、スタッフの一人でもあり、ガルナーの婚約者でもあるアリックス・アンジェリスが、
女の第六感で、グスマンは親友であるガルナーをお金儲けのために利用しているだけ、という鋭い意見を恋人のガルナーに耳打ちします。
で、そんなちょっと微妙な関係が見え隠れしつつ、また新た生配信を行う、というその当日、悪魔に取り憑かれる役柄でキャスティングしていた女優が来れなくなってしまい、
生放送の時刻が迫っているという事で、仕方なく、学生時代に演技経験のあるアリックス・アンジェリスが代役として悪魔に憑かれる役柄をしぶしぶ演じます。
で、椅子に両手を縛られ、放送がスタート、早速イケメンインチキ神父の悪魔祓い(の真似)が始まり、、、、、
というところで、アンジェリスの様子がおかしくなり、、、、、
という感じで、生配信をしながら、嘘の悪魔祓いを行っていたら、本当に悪魔が降臨してしまう、というメイン展開に突入していきます。
正直、ツッコミ所は満載ではありますが、設定を活かした物語展開の面白さと、主演3人の好演も伴って、
次の展開が常に気になる、ぐいぐい引き込まれていく吸引力があり、だいたいの予想通りになる展開ながらもしっかりとハラハラドキドキと感情移入できる物語となっています。
ライアン・グスマン演じるイケメンインチキ神父は、インチキという設定ですので、登場当初はかなりの調子乗りで、
目線に入る女性は、片っ端から声をかけていく、という感じの空気を読まない自己中野郎的なキャラクターとなっていますが、
本作のようなホラー作品では、調子に乗れば乗る程、後で手痛いしっぺ返しを倍返しされる、というのが常ですが、
本作の自己中偽神父は、最近の中国作品のように、嫌なやつがとことん外道を進んで、観ている側が、早くしっぺ返しを食らって欲しい、と思ってしまうような不快感を伴う自己中ではなく、
調子に乗れば乗る程、『いや、それ以上は、調子に乗らない方が良いのになぁ、、』と、ある意味心配になってしまうような、不快感をそれ程には感じない絶妙な調子乗り具合ですので、
後半の倍返しされる展開からの、大反撃にも非常に感情移入できる主人公と物語展開となっています。
この絶妙なキャラクター描写と物語展開に、アリックス・エンジェリスの普通の目立たない女性スタッフから、
魔界の覇王降臨までの、同一人物とは思えないぐらいの高低差のある圧倒的な表現力が物語の緊迫感を盛り上げています。
勿論、メイク等の効果もありますが、(エクソシスト)のリンダ・ブレアや(エミリー・ローズ)のジェニファー・カーペンター、
(ラストエクソシズム)(詳しくはこちら)のアシュリー・ベル等も、名演技でしたが、
本作のアリックス・アンジェリスは、主人公達を引き立たせるだけの普通の脇役的な雰囲気で登場しながら、突然凄まじい形相の魔王が降臨し、
さらに、ちょくちょく元に戻る、という温度差が凄く、アシュリー・ベルやジェニファー・カーペンターは普段の演技に戻っても、悪魔を演じきれそうな表現力を常に宿していましたが、
本作のアリックス・アンジェリスは、普段の演技の方が、あまりに普通の女性すぎて、魔王を演じそうには見えない、という点も、本作の特徴的な大きな魅力となっています。
恐らく、メイクなしで、魔王演技を突然されると、近くにいると背筋がゾクっとしてしまうのではないでしょうか。
それぐらいに迫真の演技となっています。
という感じで、地獄の修羅場となっていく悪魔祓い映画ですが、クライマックスは、非常にホラー映画のお約束的な展開もあり、
そういう点も併せて、見所の多い秀作ホラー作品となっています。
監督にその後の新作はまだ無いようですが、今後の活躍には十分期待できそうですので、ホラー好きの方や、サスペンス好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2019年製作 アメリカ製作 ホラー
監督・製作・脚本・編集 ダミアン・レヴェック
出演 ライアン・グズマン、カイル・ガルナー、アリックス・アンジェリス、エマ・ホルツァー、ダニエル・ホフマン・ギル、ホ・ジュノ
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