カンフー映画としてのおすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
少林キョンシーの続編で、前作に至る二人の道士の対立を描いた前章ながらも、後半30分は、前作のクライマックス映像をそのまま収録する、というかなりの乱暴ぶりが残念なマックス・チャンとルイス・ファンのアクションだけは魅力の武術アクション!!
作品紹介
今回ご紹介する作品は、日本を含めて世界60か国で公開されたたキョンシー映画、(少林キョンシー)(詳しくはこちら)の続編です。
それでは、まずはあらすじから、
森林に囲まれた平和な村を凶暴な盗賊団が襲撃した。知らせを聞いた正義の武術流派、龍虎派は、早速凄腕の剣士チウロンとフォンを派遣する。
盗賊団の予想外の強敵ぶりに負傷しながらも撃退した二人だったが、その時の毒による負傷で、フォンはチウロンとの間に授かった子供モウチェを遺してこの世を去ってしまう。
毒の呪いの影響で、生まれながらにして邪悪な心を内に秘めたモウチェは、成長するにつれて、その邪悪さは増大し、ついに龍虎派の奥義書を奪い取り、逃走してしまう。
そこで、奥義書を取り戻し、チウロンの暴走を止めるため、正義の剣士チャウヤウが派遣されるのだった!?
(少林キョンシー)の続編で、前作に至るまでを描いたエピソード0的な物語です。
ただ、直前の物語を描く、という事では無く、前作の主人公の世代の一つ上の世代まで遡って物語は始まります。
で、その頃、村では盗賊団の襲撃による被害が深刻になり、正義の龍虎派の剣士チウ・ロンとその妹弟子のフォンが派遣されます。
なんとか、盗賊団は退治するものの、頭目の毒剣で負傷した二人は、龍虎山に戻っても、毒の病によってどんどんと体調を崩していきます。
で、その病を中和させる薬を他の寺から送ってもらい、その使者として小坊主チャウ・ヤウが遣わされます。
薬は無事届いたものの、既にフォンの毒素は全身に回り、取り返しのつかないところまで来てしまっていますが、
実はフォンには、お腹の中に、チウ・ロンとの子供を宿していて、なんとか、自分の寿命を短くしてでも、
子供を優先させたい、という事で、子供の命と引き換えに毒の病に倒れてしまいます。
で、無事子供の命は助かりますが、毒の影響で、悪意を心に宿しながらこの世に生を受ける事になります。
その後、その小坊主チャウ・ヤウはそのままその寺の弟子になります。
という事で、前作(物語的には本作の後の時代の物語)で、誰がどう見ても、兄弟子のルイス・ファンと弟弟子のリュー・チャーフィーの年齢が釣り合わない、
という不可思議な現象がありましたが、続編である本作で、ルイス・ファンは生まれながらにして龍虎派の弟子に先になっているので、
その後に弟子入りが認められたリュー・チャーフィーはかなりの年上なのに弟弟子、という違和感を一応強引にですが、解決しています。
恐らく、後付けだと思われますが、、。
で、メインの展開は、この心の奥に邪悪さを秘めて生まれたモウ・チェ(黒道士)とチャウ・ヤウ(白道士)の確執がメインに描かれていきます。
で、キャスティングがちょっとややこしいのですが、まず前作でルイス・ファンが演じていた役柄の父親であるチウ・ロンをルイス・ファン自身が演じています。
2004年製作の前作の2年後に製作された作品ですので、2008に製作され大ブレイクする(イップマン)(詳しくはこちら)にはまだまだ2年ほどあるという時期の作品となります。
で、ルイス・ファンの青年時代を演じているのが(イップマン継承)でブレイクし、その後
(イップマン外伝 マスターZ)(詳しくはこちら)や(大脱出3)、(無敵のドラゴン)、(狂獣)と有名アクションスターへと昇りつめていく事になるマックス・チャンで、
このマックス・チャンの華麗な(役柄は邪悪ですが)アクションが、本作のかなりの魅力となっています。
で、父親役のチウ・ロン役はルイス・ファンがそのまま演じているので、同じ画面にマックス・チャンと登場し、暴走し始めるマックス・チャンとルイス・ファンが激突するシーンまで描かれます。
一方、前作でリュー・チャーフィーが演じていた役柄の青年時代は、アレックス・フォン主演の(カンフーサイボーグ)や
ジョシー・ホー主演の(蝴蝶 羽化する官能)等に出演しているシー・ホアフォンが演じています。
で、さらに出番は少な目ですが、後のルイス・ファンの母親であり、現ルイス・ファンの奥さんでもある(ややこしいですね、、、)毒に犯されてしまうフォン役で、
(大醉侠)の伝説的な主演女優チャン・ペイペイを母に持ち、本作と同じ製作戯社、同じ監督のダグラス・クン監督、本作のマックス・チャン共演による(テラコッタソルジャー)や、
同じくマックス・チャン主演の(無敵のドラゴン)等に出演しているマーシャ・ユエンが登場し、前半のみですが、アクションも披露し、印象を残しています。
で、この青年時代に、マックス・チャンはだんだんとその邪悪な心が暴走し始め、龍虎派に伝わる地の剣と天の剣を手に入れれば、武術界を支配できる、
という話を耳にし、自身が次期頭目に選ばれず、チャウ・ヤウ(後の白道士)にその座を奪われてしまった事をきっかけに、取り返しのつかない行動に出てしまいます。
で、結局マックス・チャンは、幼き日に両親を殺され、身よりもなく龍虎派の弟子になっていた女の子シウ・グェンと共に龍虎派を離れる事になります。
という事で、前作で善人なのに、何故か邪悪なルイス・ファンの弟子なっていたシャノン・ヨーが、戸惑いながらも、
弟子として従っていた理由が、本来は両親を救ってもらった少女(両親は、その後殺害されてしまいましたが)が、
師匠と仰いだルイス・ファンの弟子になるはずが、師匠の指示で、とりあえず息子であるマックス・チャンの弟子につかせたために、
後の時代のルイス・ファンの意向に沿うように弟子として仕えていた、という裏事情が判明します。
要するに、実際には前作に登場したルイス・ファンに弟子入りしたのではなく、その父親の方のルイス・ファンに弟子入りしていた、という事が判明します。
これも後付けっぽいですね、、、。
で、龍虎派を飛び出したマックス・チャンは、そのまま天の剣が隠されていると伝えられる剣墳(剣のお墓)に出向き、
結構あっさりと天の剣を手に入れてしまいます。
で、龍虎派から持ち出した地の剣と天の剣を手に入れたマックス・チャンは
MAX『これからは、俺が武術界の支配者だ~~っ!』
と叫んで、各武術派に勝負を挑みまくり、勢いよく支配していきます。
と、ここぐらいまでは強引ながらもエピソード0的な面白さや、マックス・チャン、ルイス・ファン、マーシャ・ユエンの素晴らしいアクションとで、
結構見所もあるのですが、この各流派を襲いまくっている間に、結構時間が経過していたようで、マックス・チャンが、、、、
いつのまにか、成長してルイス・ファンになっています。
ややこしいっ!
勿論、このルイス・ファンは、本作の冒頭に登場していたチウ・ロンではなく、その息子の大人になった姿です。
似た様な衣装で、外見上は区別がつかないので混同しますが、中身は勿論別人で、しかも父親は善人だったのに息子は邪悪、というややこしさで、
この後の展開はどのように繋がっていって、前作のリュー・チャーフィーとルイス・ファンの物語に繋がっていくのか?期待は膨らみますが、
ここからが本作最大の、大問題展開に突入していきます。
勿論、ルイス・ファンが前作の姿になっていますので、リュー・チャーフィーも登場するはずですが、とりあえずは後ろ姿のみで登場、
というセガール作品的なスタントダブルの匂いを放ちつつ、登場したリュー・チャーフィーが前作の弟子役、
ジャッキー・ウー(他の俳優が演じていた子供時代も一応存在します)と共にルイス・ファンの毒の呪いを解くには5つの宝石が必要だという説明を聞いた後に、
いよいよ決戦展開に、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、、、
クライマックス映像が前作と同じ!!!
しかも、30分まるまる収録!!
要するに、後半30分は前作と全く同じ映像が流れる、というトンデモ展開となっています。
いくらなんでも、大胆過ぎるっ!!!
しかも、DVDの映像特典を見てみると、製作者の貫禄を増したパメラ・ヤンがインタビューで、
『(ロード・オブ・ザ・リング)のような壮大なアドベンチャー作品を、キョンシー映画の世界観で再現することを目指した』
という、言われるまで誰も分からないような製作意図のインタビュー映像+本作のメイキングでも、
前作のメイキングと同じ映像が半分ぐらいを占めている、
というある意味徹底した作品となっています。
という事で、監督が前作のダグラス・クンと前作で武術指導だったイップ・ウィンキョンが続編の本作で共同監督したように並列で表記されますが、
恐らく、本作の新規撮影部分を実際に監督したのはイップ・ウィンキョンで、本作後半の前作の映像がまるまる30分流れる部分を監督したのが、
勿論、前作のダグラス・クンだいう意味だと思われます。
まるでフィルマーク社のニコイチ映画を観ているような感じですが、後半の30分以外は、アクションも物語展開も結構興味を持って観れてしまいますので、
つくづく後半の酷いこじつけ展開が、悔やまれます。
前半と後半を繋ぐ5つの石の説明エピソードの辺りは前作には無かったシーンですが、前作の未公開シーンだと思われますので、
後半30分ぐらいリュー・チャーフィーは映りますが、恐らく新規撮影シーンは無いと思われます。
ルイス・ファンとシャノン・ヨーの前作にはないアクションシーンもワンシーンのみ登場しますが、前作の未使用シーンにも見えるし、
間をつなぐシーンとして、このシーンだけは、シャノン・ヨーが撮影に参加したようにも見えたりします。
それにしても、ハリウッド作品も含めて多くのシリーズ作品が存在して、前作の映像を過度に流用している(ヒドゥン2)(詳しくはこちら)のような作品もありますが、
その続編のクライマックスとなる後半30分(30分もあるので、クライマックスとも言えないかもしれませんが)を、
まるまる前作と同じシーンを流用し、しかも、前半部分は素晴らしいアクションが収められている、という作品も珍しいのではないでしょうか。
そんな前作と同じ映像の後半ですが、少しだけ、違う楽しみ方ができるのは、前作のクライマックスバトル中に、ルイス・ファンが善良な心を少しだけ取り戻すきっかけになった
師匠(つまりルイス・ファン演じる息子の、ルイス・ファンが演じる父、ややこしいですね、、)が、愛する息子への想いを綴った手紙兼護符を、
リュー・チャーフィーに託すエピソードが前半に挿入されていますので、
同じシーンではありますが、前作では師匠からの手紙という事で、それほど感動もありませんでしたが、
実は師匠からの手紙、というより父親からの愛情あふれる想いが伝わる手紙だった、というちょっとグッとくるシーンへと見え方が変わるようになっています。
これも、後付けだとは思われますが、、。
という事で、後半の展開は暴挙に近いですが、前半のアクションシーンに関しては見逃すのは勿体ない素晴らしいアクションが収録されている作品とはなっていますので、
香港映画好き、アクション映画好きの方等、また、前作を鑑賞された方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
ただ、新撮シーンは、賞味60分ぐらいの作品です、、。
途中で製作費が底をついたのでしょうか、、。
作品情報
2006年製作 香港製作 キョンシーアクション
監督 ダグラス・クン、イップ・ウィンキョン 製作 パメラ・ヤン
出演 ルイス・ファン、マックス・チャン、ラウ・シウミン、マーシャ・ユエン、リュー・チャーフィー、シー・ホアフォン、ジャッキー・ウー、シャノン・ヨー
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