おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
(コクソン)のナ・ホンジンの企画をタイを舞台に置き換えて製作した色んな要素を取り入れた傑作POV心霊ホラー!!
作品紹介
2022年7月2日公開
今回ご紹介する作品は、(コクソン)のナ・ホンジンが製作した、タイを舞台にしたPOVホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
タイ北部の奥地にある村で代々継承されている女神ヤバンの祈祷師のドキュメンタリーを撮影するため、現在の継承者ニムへの密着取材が始まった。
最近、親族の間で不審死を迎えてしまう者が続出し、不穏な空気が漂っている中、新たにニムの姉の娘ミンの奇行が目立ちだす。
自身の過去の経験から、女神継承の代替わりが始まるのか?と思われたが、事態は思わぬ方向へと進んでしまうのだった!?
(コクソン)のナ・ホンジン監督が、自身の企画をタイに置き換えて、タイ製作の大ヒットホラー(心霊写真)の監督、バンジョン・ピサンタナクーンに監督を任せて、
自身は原案・製作として参加したPOVホラー作品です。
(コクソン)に登場するキャラクターを掘り下げる形でスピンオフを企画していたそうですが、それをタイを舞台に置き換えて、
完全に独立した作品として描き直したのが本作となります。
タイに舞台を変更したことで、特有のおどろおどろしさと、土着の民間伝承等を取り入れ、それをストーリーと設定に上手く取り入れ、
さらにそれをPOV特有の怖いもの見たさや、見てはいけない物を見てしまった感と合わせる事で、本作特融の恐怖を演出する事に成功しています。
物語はタイの奥地に代々伝わる女神ヤバンの巫女のドキュメンタリー制作スタッフが行う、現在の巫女である祈祷師の女性ニムへのインタビューから始まります。
話を聞いていると、近寄りがたい雰囲気の女性ではなく、普通のおばちゃん風の女性で、きさくにインタビューに答えています。
自分には女神が憑いているので、色んな人が訪れてくるが、自身が治療できるのは精神的な事が原因の病だけで、
癌にかかっているなら医者に行かないと治らない、と笑いながらはっきり言い切る、割と親しみの沸くタイプの女性です。
ニムには、姉と兄がいて、実は、先代の巫女である祖母から代替わりする際に本来は姉が継承するはずだったのに、
姉が頑なに継承を拒み、同時に自身も原因不明の病を患っていたので、姉の代わりに巫女になることを受け入れたら、瞬く間に病が回復した、
という出来事を経て、正式な女神バヤンの巫女となった、という過去があります。
で、順風満帆な日常生活を送るものの、親族に不審死を遂げてしまう者が数多く出始めて、不穏な空気が漂っている、という状況になっています。
で、そんなニムに撮影班も寄り添って、密着ドキュメンタリーのように日々の生活を追いかけていきます。
で、また親族の一人が亡くなったので、葬儀に集まってみると、そこに出席していた姉の娘であるミンが、
突然キレ出したり、暗い所で盲目の女性と何やら話をしていたり、という感じで様子がおかしくなっている事が発覚します。
で、どうも最近時々奇行が目立つ、という事で、ニム自身が経験した過去の出来事と照らし合わせて、女神の巫女の代替わりか?
という事で、取材クルーは、企画を一歩踏み込んで、巫女の代替わりを撮影するために、今度はミンの方に密着取材を慣行します。
この辺の展開が非常に上手く、祈祷師、つまりハリウッド作品で言う所のエクソシストの物語から、エクソシストで悪霊に取り憑かれた少女リーガンのように、
奇行を繰り返す若い女性が、段々と近寄りがたい存在になっていく過程を、取り憑かれた側をメインに密着スタイルで、映し出していく流れへと方向性を変えていきます。
で、身の毛もよだつような奇行を繰り返すうちに、女神継承の儀式を早急にしなければならない、という二ムの思惑と、
娘には巫女を継承させずに、自分のための幸せな人生を送ってもらいたい、という母親の想い、そして自由に生きたいミン自身の苦悩とか入り交ざっていきます。
ただ、段々と奇行もエスカレートしだし、もうこのまま拒み続けると命の危険にまで及ぶ、という段階になってしまい、もう、受け入れるしかない、という結論に至ります。
※↓ここからは物語展開に少し触れていますのでご注意下さい↓※
で、儀式を早く、、、、という所で、壮絶な状態のミンを前に、こわばった表情のニムが言います、
『これは女神バヤンではないっ!』
という事で、ミンに取り憑いている何者か、とニム達が対峙していく事になりますが、その何者かの存在があまりに強大すぎるため、
ニムの力だけでは対処できない、という事で、ニムの師匠(?)的な大祈祷師に助けを求め、そこから大祈祷儀式のための1週間が描かれていきます。
その間、ミンの奇行はさらに激しくなっていきますので、撮影クルーは、相談して家屋に固定の監視カメラを設置する事にします。
この、切り替えも非常に上手く、その監視映像は、(パラノーマルアクティビティ)そのもので、固定カメラに映った、恐ろしい映像が映し出されていきます。
で、そんな緊迫感のある1週間の果てに、いよいよ大祈祷式当日を迎え、事態は思わぬ方向へと進んで行く、、、
というのが大筋となっています。
このクライマックスは、暗い中での撮影という事で、暗視カメラを多用していますので、POVホラーの傑作(REC)を思わせるような戦いが、
暗闇に浮かび上がる壮絶な地獄絵図のように描かれていきます。
という事で、普通のドキュメンタリー風の撮影で始まった物語は、
密着ドキュメント→エクソシスト→ブレアウィッチプロジェクト→REC
という感じで、POV作品やホラー作品の美味しい所を上手く取り入れながら、最終的には、ファウンドフッテージホラーとして終幕を迎える、
という非常に秀逸な物語構成のPOVホラー作品となっています。
撮影クルーは、本編中はインタビュー時の声など少しは聞こえたり、時々その存在を感じはしますが、基本的には他のPOV作品のように撮影者自身が主人公という立ち位置ではありませんが、
クライマックスでは完全な出演者として恐怖演出を思いっきり盛り上げていく、という最後の最後まで、非常に描き方の切り替えが上手く、
観ている側も、その地獄の現場に居合わせてしまったような、恐怖感を直に感じる事ができるようになっています。
という事で、同じような内容の作品が乱立するPOV作品の中でも、際立つ存在感を誇る秀作となっていますので、
POVホラー好きの方や、アジアンホラー作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
怖いですよ!
作品情報
2021年製作 タイ・韓国製作 POVホラー
監督 バンジョン・ピサンタナクーン 製作 ナ・ホンジン
出演 ナリルヤ・グルモンコルべチ、サワニー・ウトーンマ、シラニ・ヤンキッテカン
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