ペーパー・タイガース(THE PAPER TIGERS)110分

投稿者: | 2023年1月11日

おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆

お世話になった師匠の死の謎を探るため、若い時期にカンフートリオで名を馳せた中年おじさん3人が奮闘するアメリカ製カンフー映画リスペクト作!!

作品紹介

2022年7月18日公開

今回ご紹介するのは、アメリカで製作されたカンフー映画愛溢れるアクションドラマです。

それでは、まずはあらすじから、

かつて(スリータイガース)として名を馳せたダニー、ヒン、ジムの三人は、今では平凡な中年となり、お互いに連絡を取り合う事もなくなっていた。

しかし、お世話になった師匠の死の知らせをきっかけに、再会を果たすが、その師匠の死は、何者かによって殺害された事実が判明し、

三人は協力して、師匠の死の謎を解明していく事になるのだった!?

アメリカで製作されたカンフー映画愛に溢れるアクションドラマ作品です。

主人公となる3人は、若かりし日に(スリータイガース)と名を馳せた格闘家3人で、喧嘩や道場破り等で暴れまわり、

向かう所敵なし、といった感じの存在となっていました。

そこまでに腕が上達したのも、カンフーの達人である師匠にガレージで、日々無償で稽古をつけてもらっていたおかげで、

武術だけではなく、精神面でもしっかりとした教えを享受され、一人前の大人になっていきます。

ただ、大人になるにつれ、色々と問題も生じ、なんとなく気まずくなってお互い顔を合わせなくなってしまいます。

で、数十年が経過し、おじさん世代となった(スリータイガース)に師匠が亡くなったという知らせが届き、

数十年ぶりに顔を合わせる事になります。

で、なんとなく、ぎくしゃくしながら師匠のお葬式に参列してみると、無茶苦茶調子ノリのザ・無軌道な若者3人衆が葬儀に現れて、

師匠の遺影と記念撮影をかます、というお騒がせ有名人が起こしそうな行為を繰り返し、当然、

スリー『あいつらは、何なんだ!

という事になっていきます。

さらに、、、

スリー『怪しすぎる!あいつらが師匠を殺したのでは?

というまさかの殺人事件捜査ものへと急展開していきます。

で、とりあえず、当たり前ですが、手がかりは無軌道な若者しかないので、若者の正体を探りにいきます。

で、若者たちに師匠との関係について詳しく訪ねてみると、、、

3悪党『話を聞きたかったら、俺たち3人と勝負しろ!

という事で、まさかの格闘技勝負展開へと突入していきます。

という流れで、リタイヤし、今は全く運動もせず(一人は現役ですが)、カンフーのカの字も無くなった中年男性3人が、

お世話になった師匠の死の謎を解明するために、要所でカンフー対決を繰り広げる、というメインのアクションドラマ展開へと突入していく事になります。

ですので、本作は、アメリカ製作のカンフー映画に憧れる想いだけで製作したような、ドラマの無いなアクションだけの作品ではなく、

中年世代になり、若かった時の純粋な心も、武道の精神も無くしてしまい、息子と接するにも大人の嫌な部分を出してしまう、

という、かつての自分とは全く違う自分になってしまっている今の日々を悔い改めて、戦いの中で輝いていた時期の精神を取り戻していく、

という、ドラマ面でもしっかりとした内容の作品となっています。

ただ、大筋としては盛り上がりそうなドラマが存在し、後半に繋がるような前振り(要するにダメっぷり)を散々煽っていた主人公が、

後半かつての精神を取り戻して武術家として大覚醒し、大アクション展開になるのかと思いきや、

コメディ要素が結構な割合で入っているために、結局それほどは覚醒せず、へっぴり腰で、なんだかんだとごちゃごちゃやってる間になんとなくラスボスを倒してしまう

という丁寧にドラマを積み重ねている割には、それほど爽快感を感じることなく終了してしまう、というちょっと残念な作品となっています。

中年男子の復活ドラマと格闘アクションを、お笑い要素を交えて描く、という面白くなりそうな要素が、

それぞれなんとなく上手くかみ合いそうで、逆に薄め合っている、という非常にもったいない作品となっています。

師匠の死の謎の要素も、犯人は伝説の毒手拳のような技を使ったという事実が判明するので、どういう表現になるのかと思えば、

特に死に至らしめた方法を詳しく解明したり、その毒手拳に対抗するような必殺技を編み出したり、訓練したり等も描かれず、

結局最終的に師匠の事件が解決したのかどうかも良く分からない、

という感じで、師匠の死の謎を追うというメインの流れがあって、その中でかつての(スリータイガース)が再会し、

熱いドラマへと発展していく、という重要な物語の根幹とも言える要素ですので、そこだけは最後までしっかりと描いて欲しかったところです。

という感じで、それぞれのしっかりしたドラマを活かした物語展開にはなっていかないために、熱い感じはするのに、何故か薄い、という消化不良感の残る作品となっています。

キャストが結構良い味を出して存在感を発揮しているので、余計に残念です。

因みに、主人公補佐的な位置のロン・ユアンは、俳優としても(ムーラン)や(バース・オブ・ドラゴン)で活躍していますが、

まさかの(47RONIN)の続編(47RONINザ・ブレイド)では監督として活躍するようですので、

意外に今後のアメリカ製格闘系作品で重要人物になっていくかもしれませんので、今から注目しておいいた方が良いかもしれません。

ナタを振るっているのがロン・ユアン

という事で、アメリカで製作された武術系作品の中では、しっかりとしたドラマが描かれる、ある意味珍しい作品となっていますので、

カンフー映画好きの方や、格闘系作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

作品情報

2020年製作 アメリカ製作 アクション

監督・脚本 クォック・バオ・トラン

出演 アラン・ウィ、ロン・ユアン、マイケル・シャノン・ジェンキンス、ユウジ・オクモト

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