修行度 🔥🔥🔥●●●●●●●
台湾製のファミリー向けキョンシー作品ながらも、主人公周りの登場キャラクターのあまりの不遇な設定に、どんよりと暗いムードが立ち込める、とても家族で楽しくは鑑賞できそうにないキョンシーアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、現代を舞台に製作された台湾製のキョンシーアクション作品です。
それでは、まずは、あらすじから、
台湾の繁華街にある地下の工事現場で、作業員が宝と間違ってキョンシーの入った棺を掘り出してしまった。
復活したキョンシーの父親と息子は、そのまま夜の街に飛び出してしまう。
離ればなれになってしまった親子は、息子は町でガムを売って暮らす少女ランランと出会い、父親の方は心優しき女性メイリと出会い、それぞれの生活を始めていく。
しかし、そんな二人を捕らえようとルー博士は新型のキョンシー探知機を開発し、大捜索を開始するのだった!?
台湾製のファミリーキョンシー作品です。
大筋としては、キョンシー親子が登場するという事と、舞台が現代で、基本的な主役は子供達、という事で、
完全に本家の二作目(霊幻道士2キョンシーの息子たち)をベースにして、台湾風味を加えて作り直した作品ですが、
これが、台湾のお国柄なのか、時代性なのか、はたまた製作者の独自の完成が暴走しているのか、分かりませんが、
大人が鑑賞しても、一気に暗い気持ちになってしまいそうな、暖かい気持ちには絶対なれそうにない作品となっています。
地下に眠っていたキョンシー親子が現代に蘇る、という出だしまでは定番ですので、安心して鑑賞出来る上に、
完全に街中での撮影(恐らくゲリラ撮影が多そうです)なので、当時の台湾の文化も垣間見えるようで、色んな意味で楽しめるのですが、
キョンシー親子二人が、別行動になってしまい、それぞれが人間達と出会ってしばらく生活することになる辺りから、急激に雲行きが怪しくなっていきます。
このそれぞれの人間模様が、何故にその設定?とツッコミを入れたくなるぐらいに、ハードな、ファミリー映画では絶対に選択しないようなキャラクター設定となっているのです。
まず、子供キョンシーが出会う方の少女ランランです。
本作の一番主役か、準主役に近い位置に居る少女ですが、このランランの生活環境がまさかの設定で、
足の不自由な兄(化粧とピエロの衣装を着用しています)と共に、路上でガムを道行く人に売りながら生計をたてています。
道行く人に『ガム要りませんか?』『ガム勝ってくださぁい。』と健気に声をかけていきます。
しかも、このガム売り設定は、後に子供キョンシーとお友達になって魔法の力で大金持ちになる、等の後の幸せを描くための対比としてハードな状況が描かれているのではなく、
最後までガムは売り続けますので、特に主人公兄弟の状況が改善される事はありません。
しかも、この兄弟、特に足の不自由な兄の方は、とにかく街征く人に絡まれて、『ガムをよこせ』と命令された挙句に、
代金を支払われずに、殴る蹴るの暴行を加えられます。
しかも、慢性的にそういう状況が繰り返されます。
この兄弟の描かれ方が、ファミリー映画としてはあまりにハードで、しかも少女が健気に愛らしい表情で演技を披露しているために、
余計に観ていて辛い思いでいっぱいになってしまいます。
この時点で、ファミリー映画としては、不向きではありますが、本作はさらにそこから踏み込んでいきます。
父親の方です。
父親が出会う事になる女性メイリは、明朗快活なキャラクターで、良い雰囲気で登場するのですが、最初の父キョンシーとのファーストコンタクトの場所が、
まさかの間違って入ってしまった風俗店で、メイリはそこの従業員で、成り行きで、サービスをしてもらう、というファミリー映画では絶対にありえないような出会いが描かれます。
で、そこでは一旦分かれて、メイリはある会社の面接に行くのですが、その会社の若き社長が、いやらしい視線を投げかけ、
メイリの方もしょうがない、、、という雰囲気になってしまい、あっという間にベッドイン、となります。
そこまでは、まだ良い(ファミリー映画では良くないですが)のですが、本作は、ここからまだ一歩余計な一歩を踏み出します。
ベッドイン後、眠りから覚めると、、、、枕元には使用済みの注射器が、、、、
若社長『女は、ものにしなきゃ安心できん。』
『お前は、もう俺のものだ。』
『明日らか、〇〇を売りさばくんだ。』
展開が18禁!!
恐らく不幸な境遇を描こうとして、完全に間違った方向に掘り下げてしまって、しょっぱなから、後にどれだけ良い事があっても、
出だしの不幸さを越えなさそうな設定ばかりですが、
そんな不幸なメイリは、ついに人生に絶望してしまい、途方に暮れて、遮断機が下りている踏切の方へ、フラフラと向かってしまいます。
トンデモない、ファミリー向けキョンシー映画最大のピンチです。
そんな、ピンチを救ってくれたのは、、、
父キョンシーでした。
偶然父キョンシーと再会し、ジッと見つられる事で、なんとか思いとどまり、キョンシー映画最大のピンチは何とか峠を越える事ができます。
で、父キョンシーが息子を探している、という事で、メイリが一肌脱ぎ、街を捜索(ほとんどデートですが、、)し始めます。
で、色々デート 探し回って、どこかの施設に入り、何かを楽しむためにチケット売り場で入場券を大人二人分購入して、
いよいよ施設をエンジョイしようと足を踏み出したら、、、
奇蹟的な再会!!!
何かの施設でデート中のパパと、鬼ごっこをしていた息子の!!
という事で、感動の再会を果たした親子を、まるで悪人のような道士が、急遽ラスボスとして参戦して、
父キョンシーに術をかけて、連れ去り(この辺の描写は、ワープするので良くわかりません)、凶暴な状態に戻してしまいます。
で、同じく急にワープした一行は、道士の祭壇を急に見つけて、戦いを挑む展開になっていきます。
これは、子供キョンシーが、魔法か何かで、最強道士とバトルを繰り広げる展開かと思いきや、、、
あっさり、敗退してしまい、、、
代わりに、、、
メイリの元カレの友達であり、務めていた風俗店の呼び込みとしても働いていた完全な脇役が、
急にしゃしゃり出てきて、さっき登場してきたばかりの道士と激闘を展開します。
他人が戦っている所を見ている主人公達を、さらに客観的に見るラストバトル、、、、。
それに続くラストシーンも、決して、めでたしめでたしではなく、何一つ解決しないままに、悲しいお別れで、強引にお涙頂戴展開で終幕となります。
1988年製作という事で、今と感覚が違うといえば違いますが、そういう時代性を差し引いても、あまりにもネガティブが過ぎるどんよりとしたファミリーキョンシー映画となっていますので、
かなりのキョンシー好きの方等、機会がありましたら、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに、ガムだけで生計を立てている兄弟ですが、意外と生活自体はちゃんと成り立っています。
それにしても何故、ガム売りなのでしょうか、、、。
因みに、ゲスト出演的にショウブラザース社作品、伝説の名優クー・フェンが出演していますが、ほとんど活躍しません、、。
作品情報
1988年製作 台湾製作 キョンシーアクション
監督 ユウ・チ・ウェイ 武術指導 ハン・クォッチョイ
出演 クー・フェン、クワンクワン、ユエン・チョウチウ、ホー・パックォン
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