お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
現実?妄想?遭難した男の唯一の親友は海岸に打ち上げられた死体だった!?
作品紹介
2017年9月17日公開
今回ご紹介するのは、話題の製作会社【A24】と話題のコンビ監督による異色設定の笑って泣けるコメディです。
それでは、まじはあらすじから、
遭難し、無人島に流れ着いたハンク(ポール・ダノ)は、生きる事に絶望し、自死しようとしていた。
そんな時、ふと見ると海岸に打ち上げられた若い男の死体(ダニエル・ラドクリフ)を発見する。
人工呼吸を試みるが、上手くいかず、あきらめかけていたが、その死体にはガスがたまっていて、水に浮いていた。
しかも、そのまま沖合に出ようとしていた。
咄嗟の判断で死体に飛び乗ったハンクと死体はジェットスキーのように沖合へと進み、名もなき別の島へとたどり着くのだった。
そして、奇妙なコンビの冒険の旅が始まる!?
その奇抜すぎる設定から賛否両論ある作品だと思います。
タイトルの(スイス・アーミー・マン)は万能ナイフのスイス・アーミー・ナイフからつけられたもので、死体であるメニー(ダニエル・ラドクリフの役名)がまるで万能ナイフのように色んな機能を持っていることに由来してつけられています。
実際、メニーからは喉が渇いているときに口から水が出てきたり、熊に襲われれば放屁で撃退したり、とスイス・アーミーナイフのように万能サバイバルナイフ的な活躍を見せてくれます。
そもそも、死体が喋ったり、万能ぶりを発揮するような物語なので、そういう世界を受け入れられるかどうか、というところと、割と下ネタが満載なので、そっちの面でも受け入れられるかどうかが、本作の好みにそのままなると思います。
個人的には、正直中盤あたりまでは、下ネタ満載なうえに死体とずっと話している男の妄想話、という感じ方で、独特なセンスを持っている人だけが楽しめる作品だと思っていました。
しかし、中盤以降、妄想が最高潮に盛り上がって、その後、後半になって現実世界への垣根が見えてくる辺りから、実は自分がいつの間にか、この物語にどっぷりハマっていたことに気づかされました。
後半、色々な事実が分かって、いざ、現実の世界へ帰還、といった段階で予想外の方向に物語は進んでいくのですが、もう、この段階でじーんと感動が押し寄せてきました。
観始めたときは、正直、まさかこんな下品なコメディで感動してしまうとは思いもよりませんでした。
まさかの放屁でさえ、感動の鍵になります。
これは、監督のダニエルズ(コンビ監督で二人とも名前がダニエルなのでダニエルズというらしいです。)コンビの手腕によるところが大きく、お下劣で奇抜なコメディの形を借りて、生きる、という事自体をしっかりしたドラマで描いているからだと思います。
そんなダニエルズの術中にまんまとハマっていることにさえ気づきませんでした。
やるなッ!ダニエルズ!という感じです。
勿論、もう一人のダニエルである、ラドクリフの死体演技も素晴らしいです。
死体演技が素晴らしい、とは変な表現ですが、ただ、動かない死体ではなく、ほとんど動かないが、喋ったり、頑張れば、若干カクカクと動くことはできるので、なんともいえないような絶妙で、独特の死体演技です。
それと、主演のポール・ダノのおそらく現実社会では上手くいっていなかったであろう、日陰で生きてきた人物独特の人生が、にじみ出ているような存在感が相乗効果でラストの感動へと導いていってくれていると思います。
というわけで、本作は万人受け作品ではありませんが、見過ごすにはもったいない魅力を持っている作品となっていますので、機会がありましたら、是非ご鑑賞いただきたいと思います。
多分、ハマれるかどうか、は個人差があって、実際鑑賞してみないと分からない作品だと思います。
作品情報
2016年製作 アメリカ製作 コメディ
監督・脚本 ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン
出演 ポール・ダノ、ダニエル・ラドクリフ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド
その他の監督ダニエルズのコンビ作
監督コンビ、ダニエルズの第2弾(ディックロングはなぜ死んだのか?)はこちら
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