お薦め度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
スイス・アーミーマン監督とミッドナイトサマー製作会社製作のダークコメディドラマ?ジャンル分けしにくい一風変わった作品
作品紹介
2020年8月7日公開
今回ご紹介するのは、(スイス・アーミーマン)のダニエル・シャイナート監督のジャンル分けしにくい、おそらくコメディ寄りの作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ジーク、アール、ディックの3人は田舎町のバンド仲間。
今晩もバンドの練習で集まっていた。
いつものように、バカ騒ぎするため、酒を飲んでいたが、ある事が原因で、ディックが死んでしまう。
やがて警察の捜査が進み、二人の元にも捜査の手が及んでくるが、二人はディックの死因を頑なに隠し、隠ぺい工作を行う。
何故、二人はそこまで事件の隠ぺいにこだわったのか?
やがて、明らかになる真実に、田舎町の住民は驚愕する、、!?
ダニエル・シャイナート監督の前作(スイス・アーミーマン)は(ハリー・ポッター)シリーズのダニエル・ラドクリフの体当たり死体を演じる、という突飛なアイデアでありながら、笑いと風刺を織り交ぜたような絶妙な秀作コメディでした。
そこで、同監督の第ニ弾という事で、本作も前作のような風刺の効いたブラックコメディと期待に胸を膨らませて、公開初日の初回に張り切って鑑賞しました。
しかし、実際鑑賞してみると、今回は分かりやすいコメディではなく、はっきりとジャンル分けしにくいようなタイプの作品でした。
物語の大筋としては冒頭でバンド仲間のディック・ロングが死んでしまって、その隠蔽工作をしつつ、警察の捜査が迫る中、何故死ぬことになったのか?という事が徐々にあきらかになる、といった流れなのですが、
コメディにしては笑いが極端に少ないですし、ドラマにしては起伏がなさすぎるし、サスペンスにしてはやっている事が杜撰すぎて緊迫感がないですし、死を扱っていてもホラーではないですし、、。
どぎつい振り切れたブラックコメディになっていたら、死を扱っているような作品でも、それはそれで楽しめると思うのですが、本作に限っては、笑いの要素が少ないので、なんとなく、じめっとした感じで終幕までいってしまいます。
そのため、ディックの死因含めて、どう感じて、楽しんで良いのか分からない、といった感想を正直持ってしまいました。
監督自身がインタビューで語っていましたが、企画の発端として、人に言えないような類の事実が明らかになってしまって、その事実に対する周りの反応を表現したかった、とのことですが、周りの住民の反応自体はそれほど描かれていませんでしたので、これは、ほとんど奥さんの反応の事だと思います。
確かに、奥さん役の、夫に事実を告白されるシーンの表情の変わり方は一発撮影だったようで、何度も繰り返しできないような名演技でした。
その、受け入れがたい事実を聞かされる妻の悲劇が、なんともいえない表情となって表れていました。
おそらく、この反応を一番描きたかったのだとは思うのですが、物語自体があくまで主人公目線で展開されるので、周りの人の目線にはなりにくく、結果的にどの目線で鑑賞してよいのか分からないような印象を持ってしまいました。
あくまで、個人的な感想ですが、、。
そういえば本作を製作している【A24】は(ヘレディタリー継承)や(ミッドサマー)を製作している製作会社で、王道からちょっとはずした、ような作品を意欲的に製作していますので本作もそういったコンセプトで製作されたのかもしれません。
予告編を見る限り、分かりやすそうなブラックコメディ色を強調していて、アップテンポでどぎつい内容の、ちょっと笑える作品、と思っていましたので、これは日本の配給会社の予告編の作り方がめちゃくちゃ上手いのではないでしょうか。
はっきり言って、本編よりも上手いのでは?
とさえ思ってしまいます。
肝心のディックの死因については、楽しみ半減しますので控えますが、皆が皆、楽しめるようなものではないです。
本作は、そういった作品だと思います。
おそらく、嫌な気分になる人もいる事も想定して作成しているような作品で、そもそもタイトルがそういった意味合いを含んだタイトルになっています。
アメリカでは、タイトルを観た時点でそういう内容の作品だとすぐ分かり、理解したうえで、鑑賞すると思いますので、パッとタイトルと観てピンとこない日本では、前情報なしで鑑賞し、面食らってしまう人も多いと思います。
しかし、好みの問題かとも思いますので、ちょっと変わったダークな作品が好きで、キツめの内容も全く問題なし、という方は意外と楽しめる要素があるかもしれませんので、ご鑑賞されてはいかがでしょうか。
作品情報
監督 ダニエル・シャイナート
出演 マイケル・アボット・ジュニア、ヴァージニア・ニューコム、アンドレ・ハイランド、サラ・ベイカー
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(ヘレディタリー継承)のアリ・アスター監督の悪夢のようなホラー(ミッドサマー)はこちら
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