カンフー映画としてのおすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
フィルマーク社の系列会社IFDフィルムズが製作した、登場人物の極めて少ない低予算少林寺カンフー作品!!北少林寺、師匠、門弟合わせて総勢一人!!(声は聞こえます)
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、IFDフィルムズが製作した少林寺カンフー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
明朝の末期、政府の高官達一族は、『反清復明』を掲げる日月会を抹殺するために刺客を送り込んでいた。
日月会のメンバー達は、北少林寺に預けられていた総帥の息子に後を継がせるために、密かにカンフーの指導を進め、
やがて皇帝直属の将軍に戦いを挑む準備を進めるのだった!?
ニコイチ映画で有名なフィルマーク社の系列会社IFDフィルムズ製作のカンフー作品です。
ほとんど詐欺のような強引なフィルマーク社作品に対して、IFD製作の作品はまだまともな作品が多く、低予算ながらも、
それなりのグレードを保っているのが特徴となっています。
本作も、新政府を打倒しようとする革命派と政府高官の戦いを主軸に、やがて革命派のリーダーとなる青年の修行の日々と激闘がカンフーアクションたっぷりに描かれていく、
という内容的にはニコイチ要素の無い純粋なカンフーアクション作品となっています。
ただ、、、、。
やはり、フィルマーク社系列、普通のカンフー映画で終わるはずはなく、その予算を極限まで抑えたような作品作りが、
そこかしこに散見できてしまう、という、らしさを伴った作品となっています。
一応、少林寺が舞台の大部分を占めているとはいえ、新政府軍に戦いを挑む革命派の物語という事で、どう考えても兵士を演じるエキストラが大人数必要となりますが、
それを演じるエキストラが、かなりの低賃金か、スタッフ、知り合い、その辺に歩いていた人、としか思えないようなやる気の無さで、
全員、休み時間に遊んでいるようにしか見えません。
これは、他の中国ロケでエキストラが多数登場するような作品でも見受けられる光景ですが、本作のやる気の無さは群を抜いています。
しかも、その兵士が早めに歩くだけ、というシーン(兵士の数は少な目、というか定点で撮影されているので、全体は分からないようにしている)が、
気に入ったのか、全く迫力がないのに、開始早々と中盤に同じシーンが二回も登場します。
それだけなら、まだなんとかなりますが、本作の人員カットはさらに加速します。
後半になって、いよいよ新政府打倒のために、散らばっていた革命派のメンバーが、3日後にある場所に結集する、という大切な伝言を、
革命派のリーダーが、独りで各地の要所(3か所)に、その地区のメンバーを集めて直に伝えに行く、
という重要なシーンがあるのですが、その伝言シーンをまさかの足元だけを映して声だけでそれなりの人数がいるように見せかける、
という、まるでコントのようなシーンが、3回も繰り返されます。
恐らく、足しか映らないので、主要キャストは参加せずに、下手したら監督さえ参加せずに、スタッフ4名ぐらいで現地に向かって、足だけ撮影したのだと思われます。
要するにやる気のないエキストラさえ投入しない、という極限ぶりです。
正直、初見時は何をしているのかも、良く分かりませんでした。
2回目ぐらいで、徐々に理解しだして、3回目で無理矢理納得する、という感じです。
さらに、極めつけは、
主人公となるチョウ・ポウフーは、両親を幼い時に殺されてしまい、身寄りのない自分は少林寺に預けられ、
そのまま、食事係りとして働きながら世話になっている、という生い立ちで、少林寺の裏手のはずれで、
革命派のリーダー格と出会い、親睦を深めてその人物にカンフーの訓練を受ける、という流れが大筋となっていくのですが、
チョウ・ポウフー、普段の生活では食事を作らないといけない、という役目が当然ありますので、修行中でも、師匠たちに早く食事を作るように催促されたり、
おっちょこちょいな性格なので、色々と師匠たちに結構注意を受けたりします。
ですが、その注意、指導する大僧正や位の高い僧侶、もっと言うと同世代の修行僧等も一切画面に登場しません。
でも、コミュニケーションは成立して、一応エピソードは進んでいきます。
一体、どういう事なのか?
声だけ出演!!
声『ウーチン、廊下を掃除しろ!』
ウーチン『はい、師匠!』
声『ウーチン、薪を割れ!』
ウーチン『はい、師匠!』
コント!!
見様によってはサイコ!
この主人公の一人芝居は結局最後まで続きます。
で、広々とした少林寺の裏庭の少林寺っぽくない場所で、二人だけのカンフーの訓練は続きます。
途中、革命派の妹も登場し、悪漢に捕まる、というハプニング(しかも2回捕まります)もありますが、あっさり救出し、
物語は、後半の革命派の主人公一派と、策略家の新政府高官、そして実際に革命幅派抹殺命令を出していた新政府の将軍、という何故か同じ派閥に属するはずの悪漢が二組も登場する、
という謎の構図の果てに、三つ巴のラストバトルへと突入していきます。
ずっと嘘くさい雰囲気に満ちていますが、このラストバトルに関してだけは、それまで弱めの悪代官ぐらいのキャラクターだった将軍が、
まさかの強敵となって、マントとして羽織っていた布の裏地に無数の刃物を仕込んで、それを闘牛のようにヒラヒラさせながら相手に被せてダメージを与える、
という奇抜な攻撃方法で、急にカッコ良い強敵に昇格しますので、意外と楽しめるバトルとなっています。
お世辞にも、終わりよければ全て良し、とは言えない内容ではありますが、それなりにストーリーがあって、カンフーアクションもそれなりに楽しめる作品となっていますので、
香港映画好きの方や、カンフーアクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、恐らく物凄く寒い地域で撮影したのか、撮影に不向きな降雪の日にも撮影が続行されている点なども低予算がゆえなのかもしれません。
寒そうです、、。
作品情報
1979年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 ヘンリー・チャン
出演 チョウ・ポウフー、ミュン・タッホン、テン・シュウホウ
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