おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
父から受け継いだ剣を使いこなせない、そんなに強くない主人公が、後半覚醒するという王道物語を、監督の映像センスを炸裂させて描く、スロー過多な武侠アクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、1本の剣をめぐる少年のドラマを描いた武侠アクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
中国戦国時代、皇帝が武器作りを禁じた事により、ある剣豪が、所持する名剣含光剣を狙う者に暗殺されてしまう。
しかし、その剣は寸前で息子蒙陽に託されていたのだった。
その父の形見を身に付け成人した蒙陽だったが、今では裏社会で生きる身分となっていた。
そんなある日、蒙陽にある男から護衛の依頼を受けることになるが、その男は実は身分の高い者だった!?
中国の思想家の著書(列子)に登場する、含光(がんこう)、承影(しょうえい)、宵練(しょうれん)の3本の名剣のうち、
含光剣にスポットを当てて映像化した武侠作品です。
ただ、原作の映像化というよりは、原作の設定を基に自由な発想で描かれているようで、基本的には他の多くの武侠作品のような王道展開のアクション作品となっています。
主人公は幼少期に父親を殺され、その際に伝説の名剣、含光剣を託されますが、かなり大きめの剣なので、
大人になっても使いこなせず、それでも一応剣士として江湖の世界で(恐らく殺し屋として)生きているという設定になっています。
で、舎弟(男3人女1人)もいて、みんな仲良く生活(主人公だけは何故かずっとシリアスモード)しているのですが、
ある日、謎の青年の護衛の依頼があり、高額の報酬に目がくらみ、任務を受けるが、この人物が、まさかの皇太子で、
王位継承のため後宮へ向かうための護衛ながらも、権力争いによって、その王位継承を阻止しようとする一派の奇襲に合いまくる、
という王道展開になっていきます。
主人公が今は剣を使いこなせず、後半で覚醒して強くなる、という設定も王道ですし、後半は権力争いの厭な腹心の部下のドロドロ展開になっていく、というのも王道ですし、
ヒロインや楽しい仲間たちの活躍ぶりも王道、という感じで王道中の王道、言い換えると既視感満載ないつもの武侠作品となっています。
ただ、本作は恐らく邦画の(キングダム)等の影響も強く受けているような主人公の外見や映像表現を始めとして、
監督か撮影監督のビジュアルセンスが前面に出ている(出過ぎている)という点で、非常に特徴的な作品になっています。
ドラマ部分を描いている時はそうでもありませんが、アクションシーンでそのセンスが炸裂します。
まず、冒頭の父親が悪漢の犠牲になるシーンで、恐らく監督(か撮影監督)が大好きと思われる水を基調にした、雨が降る中での奇襲シーンで、その独特の映像センスが炸裂します。
と、、、とにかく、、、、スロー!
で、焦点をぼやかしたり、足のアップになったり、途中画面が横になってしまったり、という感じで、何かのミュージックビデオかイメージ映像のような独特のハイセンスな映像を、
とにかくスローを交えながら、なんとなく描き、なんとなく決着がついている、という感じでセンスの乱れ撃ちとなっています。
という感じで、王道ストーリーを展開しつつ、合間に少し挿入されるアクションシーンで、同じような独特のセンスがまた炸裂する、
という感じで王道とセンスの波状攻撃となっています。
しかも、この主人公が王道覚醒するのは終幕直前ですので、基本的には物語中ほとんどずっと弱い状態が続き、
まさかの守っているはずの皇太子の方が強い、という状況に何度も遭遇します。
それでも、主人公は何故かずっとシリアスで、誰に対しても何故か上から目線なので、ずっと他のキャラクターより弱いのに、
雰囲気と態度だけは一番強い人並、というどう思って良いのか分からないような主人公像となっています。
ただ、一点だけアクション面でも良い所は、カット割り多数で誤魔化さずに、それぞれのキャストがしっかりと自身でできるだけアクションをこなしている、という点です。
この表現に関しては、アクションへの感情移入度も増しますので、非常に効果的ですが、その分、アクション派でもあないキャストがそのまま演じているので、
正直そんなに超絶アクションが期待できることもなく、武術アクションという雰囲気ではないのが残念なところです。
ザクっというと軽めのチャンバラアクション、という感じでしょうか。
さらに、その超絶ではないアクションの迫力を増すため、プラス、監督のセンスによって、スロー表現を多発しますので、
戦い始めると、ほとんどスロー、というまるで(ジョジョの奇妙な冒険)のスタンドバトルのような表現の連続となっています。
ですので、アクション自体の手数は少なく、恐らく通常のスピードで表現するとあっという間に勝負がついてしまうような独特過ぎるアクション作品となっています。
言い方を変えると、淡白なアクションをスローで引き延ばしている、という感じでしょうか。
この表現、クライマックスのラストバトルの主人公覚醒時に、とにかく炸裂しまくります。
冒頭もそうですが、どれだけスローの水しぶき表現が好きなんだ!
というぐらいの水しぶきシーンの連続で、好きすぎて、まさかの屋内なのに、水辺のため池のような、プールのような場所が存在して、
その水を、、、
主人公がバシャバシャと水しぶきを上げながら、、、、
スローでゆっくりと覚醒しながら、、、、、、
スローでゆっくりと怒りを増幅させ、、、、
スローでゆっくりと無双ぶりを見せていきます。
という感じで、クライマックスは監督の独特のハイセンスが爆発するラストバトルとなっています。
そんなゆっくり覚醒するヒーローを演じているのは、(ゴッドスレイヤー神殺しの剣)(詳しくはこちら)等でも活躍しているエリック・シャオ、
守られる皇太子を演じているのは、(真・西遊記)(詳しくはちら)で、敵役を演じていたヤン・イー、
という感じで、ビジュアル重視の監督の期待に応えるようなイケメン若手キャストが揃った話題作となっています。
物語自体は王道ですので、見たことのあるような展開ばかりですが、監督のセンスがここまで前面にでている作品もなかなか基調かと思われますので、
武侠作品好きの方や、中国映画好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、ずっと主人公を演じているエリック・シャオが誰かに似ていると思っていたのですが、、、
後半になってやっと分かりました。
(チャイニーズゴーストストーリー)等で監督として有名になった、若き日のチン・シュウトン!!
作品情報
2021年製作 中国製作 武侠アクション
監督 リー・イーシィー
出演 エリック・シャオ、ヤン・イー、ウー・ウェンジェ、ユアンレ・チャイ
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