おすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
日本の劇画コミック(クライングフリーマン)を香港で映画化したサイモン・ヤム主演、ジョイ・ウォン共演の香港ノワールアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、人気絶頂の時期のジョイ・ウォンと売り出し中だったサイモン・ヤムが共演した香港ノワール作品です。
それでは、まずはあらすじから
イギリスのロンドンを拠点とする日本人ヤクザのボスの息子ヤムは、殺された父の復讐を胸に誓っていた。
父を殺したと思われる敵対組織のボスを亡き者にするため、ヤムは殺しの手筈を整える。
そして、いよいよ標的を狙ったその時、その現場を、たまたま通りかかった留学生ジェニーに目撃されてしまう。
その後口封じのためにジェニーのもとを訪れるヤムだったが、同時に敵対組織の部下たちの報復も、受けるのだった!?
邦題には全く反映されてはいませんが、日本の劇画コミック(クライングフリーマン)の映画化作品です。
1990年にはこの(クライングフリーマン)を原作とした香港作品が何故か2本も製作される、という活況な時期で、
本作ではサイモン・ヤムとジョイ・ウォンが主演、もう1本の作品(赤の広場の龍)はサミュエル・ホイとマギー・チャンが主演していますので、
両作共に話題のキャストとスタッフが揃った一流の作品となっています。
ただ、権利関係に問題があるのかどうか分かりませんが、日本ではそれほどアピールされず、ビデオ化や、衛星放送で放映された際にも
原作が(クライングフリーマン)という事は一切記載されていませんでした。
ですので、日本とフランス合作のマーク・ダカスコス主演作のみが映像化された作品のような扱いになっています。
色々と大人の事情がありそうですが、、、
で、その忘れ去られた香港版の主演は、濃いめのイケメン的に売り出し中だったサイモン・ヤムと人気絶頂期のジョイ・ウォン、親友役でカルメン・リーと話題のキャストが集結した作品となっています。
監督・製作は、高速カンフー、フィリップ・コーで、後半ちょっと作品の雰囲気を壊しかねないようなコメディチックな極悪人役で自身も登場し、
サイモン・ヤムと激闘を演じています。
ジャンル的には当時人気の香港ノワール的な香港マフィアがらみのガンアクションではありますが、勿論、カンフースターでもあるフィリップ・コーが監督している作品ですので、
カンフーアクションも豊富で、散々銃で打ち合いをしておきながら、後半は日本刀等での斬り合い、殴り合いに発展していく、
という非常に香港映画らしい香港映画となっています。
そのアクションを監督しているのはジャッキー・チェンの(燃えよ!飛龍神拳)や、この時期の(ゴッドギャンブラー)などで大活躍していた日本人カンフースター、鹿村泰祥で、
こちらもフィリップ・コー同様に前半は(ゴッドギャンブラー)で演じた役柄のような温和なおじさんを好演、
後半は急に作品の雰囲気を変えるような分りやすい極悪人を演じて、作品の雰囲気を盛り上げていきます。
中盤、フィリップ・コーと鹿村泰祥の極悪コンビが一緒に映るシーンがありますが、カンフー映画ファンとしては、なんとか一勝負見てみたい欲求に駆られてしまいました。
役柄的に戦う事はないのですが。
そんなガンアクションとカンフーアクション、両方楽しめる日本の劇画コミック原作の映画化作品である本作の物語は、
意外にも原作に割と沿った内容となっています。
日本のヤクザ組織の二代目であるサイモン・ヤム(養子)が、敵対組織に殺された父親(つまり初代)の仇を撃つために、
一人また一人と殺していくのですが、この殺しの現場をジョイ・ウォン演ずる留学生(?)に目撃されてしまい、
後日、口封じのためにジョイ・ウォンの元を訪れるも、お互いに恋心を抱いてしまい、、
という感じで、殺し屋と目撃者の危険な恋路が描かれていきます。
で、そうこうしているうちに、父親を殺害した真犯人が明るみになり、ジョイ・ウォンも人質に取られてしまったので、
自分の命と引き換えに敵のアジトに殴り込みをかける、というのが大筋となっていきます。
殺しの現場で泣く、という重要な要素が抜けているので、(クライングフリーマン)と言って良いかどうかは疑問ですが、
本来亡き者にするはずの対象者との恋、という戦う原動力になる重要な要素は原作に沿う形で反映されていますので、
香港映画の原作ものにしては、わりと忠実な映像化なのではないでしょうか。
殺し屋設定でもないので、全然違うと言えば、違うような気もしますが、、、。
サイモン・ヤムもひたすら渋く、濃いめのイケメンヒーローをカッコ良く演じ、ジョイ・ウォンも幽霊役ではない役柄で、
それでも許される恋路に悩む儚いヒロイン、というお得意の分野で魅力いっぱいに好演しています。
アクションも日本人アクション俳優石田憲一が登場し、後半のサイモン・ヤムとの大バトルを超絶アクションを多数盛り込みながら、
その身体能力の高さで、作品の雰囲気を盛り上げています。
一応、その後に控える鹿村泰祥がラスボスなので、ラスボス前戦ではあるのですが、そのラスボス戦は、どちらかというと日本刀での間合い勝負的な、
雰囲気重視の対決となっていますので、実質的な武術アクションとしてのラスボス戦は、この石田憲一VSサイモン・ヤム戦がクライマックスと言って良いかもしれません。
なかなかの名勝負ですので、アクションファンの方は必見です。
という事で、(紅い愛の伝説)という分かったような、良く分からないような邦題の作品ですが、(クライングフリーマン)の映像化作品ですので、
原作ファンの方や、ジョイ・ウォンファンの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
なかなか香港ノワールとしても現代カンフーアクションとしても楽しめる作品ですよ。
作品情報
1990年製作 香港製作 香港ノワールアクション
監督・製作 フィリップ・コー 原作 小池一夫、池上遼一 武術指導 鹿村泰祥
出演 ジョイ・ウォン、サイモン・ヤム、鹿村泰祥、カルメン・リー、フィリップ・コー、石田憲一、パイ・ピョウ
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