おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
ユエン・ウーピン唯一のキョンシー映画は、ユエンブラザース総出ながらもカンフーアクション要素少なめ、(キョンシーズ)的なキッズ要素は満載のファミリー系ドタバタ喜劇!!ドニー・イェンの妹、クリス・イェンが出てます。
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、ユエン・ウーピン監督が台湾で製作したキョンシーキッズムービーです。
それでは、まずはあらすじから、
中国、河南省。その町では50年に一度行われるというキョンシーを鎮める儀式が行われていた。
しかし、儀式を執行中の道士のミスによって凶暴なキョンシーが復活してしまう。
そのキョンシーと共に復活した子供キョンシーは、捉えられそうになるが、近所に住む劇団員の子供たちによって寸前で救われる。
しかし、この救出劇によって町では凶暴なキョンシーを巻き込む大事件へと発展していくのだった!?
カンフー映画の大家、ユエン・ウーピン監督唯一のキョンシーアクション映画です。
似たようなジャンルの作品は本作までにも(妖怪道士)や(ミラクルファイター)(詳しくはこちら)等妖術師が登場したり、
妖怪やモンスターと戦ったり等のキョンシーが登場しないファンタジックなアクション作品はありましたが、
本作で、いよいよ本格的なキョンシーアクションが描かれていきます。
ただ、本作スタッフ・キャストはユエンブラザース総出で、いつも通りのメンバーで製作されてはいますが、台湾製作という事で、
いつものユエンブラザース作品のようなカンフーアクション度は極力抑えられ、(来来キョンシーズ)や(カンフーキッド)等のわんぱくキッズたちが主に活躍するファミリー向け作品として製作されていますので、
超絶アクションというよりも、子供たちの和気あいあいとしたほのぼの系のファミリーキョンシー映画となっています。
ですので、(ミラクルファイター)や多くのサモ・ハン作品でキレのあるアクションを披露しているリョン・カーヤンも、
道士見習い、というどう考えてもアクションを披露できそうな役柄でありながらも、ずっこけ担当で、ほとんど目立ったアクションをせず、
子供達の育ての親兼劇団の演技や武術の師匠役で登場のユエン・チュンヤンも演技では魅せますが、アクションはほとんどありません。
多くのユエン・ウーピン作品で悪役を演じていて、本作ではインチキ道士役で登場する強面のユエン・シンイーもほとんどアクションをせず、
途中ほとんど無意味に登場する(ミラクルファイター)や(妖怪道士)、(激突!キング・オブ・カンフー)(詳しくはこちら)等のサイモン・ユエンジュニアも意地悪だけして去っていく、
という格闘アクションのプロが散々登場してアクションをせずに終幕を迎える、という本当にユエン・ウーピン監督作品?と思ってしまうぐらいの作品になっています。
ただ、一人、子供達を束ねる少し年の離れたお姉さんだけは、途中、無理矢理的ではありますが、しっかりとしたアクションを披露するシーンが挿入されます。
非常に華麗なアクションなので少しだけなのが残念ですが、この少女こそ、その後大スターとなるドニー・イェンの妹クリス・イェンで、
太極拳大会でも入賞経験のあるその美麗で超絶アクションで、一瞬ですが見せ場を攫っていきます。
撮影現場には(ドラゴン酔太極拳)でデビューしたばかりのドニー・イェンも応援に来ていたようで、姉妹揃ってアクションスターへの一歩を踏み出したばかり、といった感じだったようです。
その後もドニー・イェンの方はユエン・ウーピン監督作品に出演し続け、ブレイクのきっかけを狙う長い日々が続きますが、
(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱)や(ドラゴンイン)(詳しくはこちら)等の悪役から段々と人気に火が付き始め(イップマン)(詳しくはこちら)で、
一気にブレイクとなっていきました。
一方、クリス・イェンは、どうもそれほど積極的に俳優活動を行うつもりがなかったのか、映画出演はほとんどなく、
香港映画では、2004年製作のアイドルユニット【ツインズ】とイーキン・チェン主演、ドニー・イェン監督の(ツインローズ)で【ツインズ】に襲い掛かるヌンチャク女子高生を演じ、
その後、ハリウッドで2007年製作のB級ソードアクション作(ソード・レジェンド失われたドラゴンの剣)に出演、
2009年製作のラッセル・マルケイ監督、トーマス・ジェーン主演の私立探偵ガンアクション(ゴートゥーヘル)等に出演、
という事で、兄のようなバリバリの本格的な超絶アクションスターへの道は選ばなかったようです。
できれば、ドニー・イェンとクリス・イェンの本格的な姉妹対決!のような格闘アクションが観てみたいですね。
という感じで、これだけ動けるスタッフ・キャストが揃っていながらも、ほとんどその超絶アクションが観れない本作ではありますが、
キッズキョンシームービーとしては決して物足りない作品というわけではなく、しっかりとわんぱくたちと子供キョンシーとの友情物語も描きつつ、
育ての親である師匠との愛情ドラマも描きながら、師匠の内面のドラマもしっかり描く、というキョンシーがらみの物語としては十分に楽しめる作品となっています。
ただ、やっぱり、リョン・カーヤンやユエン・シンイーがキョンシーを恐れてドタバタと逃げ回るシーンを連続で見せられてしまうとどうしてもテンションは下がってしまうのが正直なところです。
という事で、ユエン・ウーピン監督作品という事で、カンフーアクションシーンへの期待値と実際の内容の差が激しい作品ではありますが、
キョンシー映画として見れば十分楽しめる作品となっていますので、キョンシー映画好き、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1986年製作 台湾製作 キョンシーアクション
監督 ユエン・ウーピン 武術指導 ブランディ・ユエン
出演 ユエン・チュンヤン、ユエン・シンイー、サイモン・ユエンジュニア、リョン・カーヤン、クリス・イェン
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