カンフー映画としてのお薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
少林寺で修業を積んだ若者が、父の因縁によって、ライバル派閥のカンフーの使い手達と決闘を繰り広げる事になる(少林寺への道)の流用シーン多数の同監督、主演によるカンフーアクション!!レディ・ドラゴン、ジュディ・リーも出てます!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、(少林寺への道)の監督・主演コンビによるカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
武術界で高名な八大門派では常に優劣が争われ、仇英豪も決闘によってその頂上を目指していた。
しかし、ある出来事によって武術界の全門派から恨みを買うことになってしまう。
そらにその恨みは息子である仇少捷(カーター・ワン)にも受け継がれ、18年が経過した後も執拗にその門弟たちに勝負を挑まれるのだった。
(少林寺への道)、(少林寺への道十八銅人の逆襲)(詳しくはこちら)、(少林寺への道ラマ僧の復讐)、(少林寺炎上)(詳しくはこちら)等に続く、
ジョセフ・クォ監督(ラマ僧の復讐は別監督ですが)とカーター・ワン主演コンビによる、少林寺を題材としたカンフー作品の1作で、
一応本作以外の他の作品は、奇跡的にDVD化されていますので、本作のみが未DVD化の作品となっています。
とはいえ、それぞれに特に関連性はなく、最初にVHS化された際には(十八銅人の逆襲)は(少林寺への道2)、
(ラマ僧の復讐)は(少林寺への道4)と邦題が付けられていたものの、DVD化の際には別のサブタイトルを付けて連続性を無くしていました。
3だけを飛ばしての2と3の連続DVDリリースでしたので、流石に変更した方が良い、という判断かと思われます。
で、そのリリースから漏れてしまった唯一の作品である本作ですが、本作は1作目と同じ監督、主演としう事で、前半主人公が少林寺で修業するまでのシーンが、
同シリーズ(1と2)から流用されているシーンが多く、それぞれの流用先としばらく全く同じ展開になる、
という香港(台湾)映画らしい、1本分で数本分に利用する、という商売っ気を直に感じられる作品になっています。
ただ、同じ展開ながらも、初登場のシーンもありますので、そこはオリジナルで使用しなかった未公開映像等かと思われます。
という事で、前半の十八銅人チャレンジシーンは、観たことあるような、ないような、というシーンが続きますが、
本作の一つの見せ場ではありますので、外せない展開の迫力のアクションとなっています。
とはいえ、既に繰り返し描かれているシーンですので、ちょっと駆け足気味で、未公開シーンも失敗すると即死亡、
という危険度の高い修練(というかトラップ)も多く、寄りその厳しさが協調されています。
で、前半駆け足気味で、少林寺を卒業し、下山して本題に入っていくのですが、ここからが、ちょっと陰惨な展開で、
争いごとを好まないカーター・ワン演じる主人公が、少林寺で修業した上で、18年後に下山した、という事で、
その武芸の習得を理由に、カーター・ワンの父親に恨みを持つ七つのライバル門派の当主たちから、執拗に挑戦状をたたきつけられます。
もう、尋常じゃないぐらいの執着で、18年も前の出来事を昨日の出来事のように恨み、しかも本人ではなく、
当時子供だった全く関係のない息子に、その恨みをぶつけていきます。
7門派全てが、です。
で、それだけ恨みをかってしまう父親は何をしたか、というと、
決闘するにあたって相手が病気で調子が悪い時期なのに、延期をせずに勝負した、
というあまりの薄さで、それだけの理由で結構な人数から、本人(は既に他界しています)ではなく、息子に恨みを向ける、
という、どう考えても戦う理由としては違和感のある設定となっています。
で、ことあるごとに、少林寺での教え【寛容・忍耐・寛大】がメインテーマのように登場しますので、カーター・ワンは散々な目にあいますが、
徹底して戦いを拒み続けます。
Sっ気が騒いだのか、嫌がるカーター・ワンにダメージを加え続けるライバル門派、という事で、次第に強要はエスカレートしていき、
本来悪人がいる必要のない武芸者同士の勝負を描いた物語のはずが、ライバル門派の門弟は、全て大悪党のように描かれていきます。
その中の一人には、父親が病気中で、勝負を延期して欲しい、といって断られた武芸家を父に持つ女性も含まれています。
この女性を演じているのが、(地獄から来た女ドラゴン)や、(カンフーコップ)(詳しくはこちら)等のカンフー作品や、
(少林寺炎上)(詳しくはこちら)等のジョセフ・クォ監督作品にも多く出演している美しきレディドラゴン、ジュディ・リーで、
中盤以降、登場するやいなや、見せ場を完全にさらっていきます。
ジュディ・リーも父親を殺された恨みを、無関係の息子であるカーター・ワンで晴らそうと躍起になっている敵の一人としての登場ですので、
当初は珍しく悪役か?と思われたのですが、実は、、、という感じでカンフーヒロインへと変わっていきます。
で、本作は前半で散々他の作品のシーンの流用、という、言葉悪いですが、貧乏くさい事をしておきながら、
ヒロインはジュディ・リー一人だけではなく、豪華にもう一人非アクション系の正統なヒロインが存在します。
それが、ジャッキー・チェン主演の(カンニングモンキー天中拳)や、(少林寺木人拳)等が日本でも有名なロン・ジェン・エール(ドリス・ロン)です。
完全に戦いに参加しないカーター・ワンの恋人となっていく役柄ですが、本作はそういう役柄にも陰惨な部分を加えて、
このロン・ジェンエールも実は、、、という展開になっていきます。
作品全体的には主人公が自分が犯した罪ではない父親の罪(罪なのか?という事はさておき)を、18年後も背負わされ、
散々な目にあっていき、ついに戦いを決意するが、少林寺の教えを思い出し、どんなに汚い戦法で向かってくる相手にも決してとどめはささない、
というやられた仕打ちと、その後の戦いの後の充実感が釣り合わない、はっきり言うと爽快感のない、まさに【寛容・忍耐・寛大】が必要な作品となっています。
という事で、カンフー映画なのに、モヤっとした気分になってしまう部分のある作品ではありますが、ジョセフ・クオとカーター・ワンの名コンビぶりが堪能できる作品ではありますので、
カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、後半、謎のキョンシーもどきが登場しますが、勿論(霊幻道士)以前の作品ですので、人なのか、キョンシーなのか、精霊みたいな存在なのか、良く分かりません、、、。
作品情報
1977年製作 台湾製作 カンフーアクション
監督 ジョセフ・クォ
出演 カーター・ワン、ロン・ジェンエール、ジュディ・リー
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