おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
目覚めたら砂漠のど真ん中のバスの中、自分も周りの乗客も全員記憶を失い、凶暴なモンスターに囲まれている!!という謎シチュエーションが秀逸なサスペンスアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、謎シチュエーションから始まる(トワイライトゾーン)風のサスペンスアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
男が目を覚ますと、そこはバスの中で、自身の記憶を失っていた。
気絶していた周りの乗客も目を覚ますと全員記憶を失っていて、車内には争った形跡があり、外を見渡すと辺り一面砂漠の荒野だった!?
謎が深まる一方の中、乗客たちは脱出を試みる!?
目覚めたら砂漠のど真ん中のバスの中、自分を含めた乗客全員の記憶はなく、周りには正体不明のモンスターが、、、
という設定が秀逸なサスペンスアクション作品です。
一見(SAW)シリーズや(CUBE)等のようなシチュエーションサスペンスのような感じですが、どちらかというと
(トワイライトゾーン)や日本の(世にも奇妙な物語)のように不思議な異世界に迷い込んでしまった人々の恐怖体験を描いた世界観となっています。
ですので、リアルな殺人などが起こるソリッドシチュエーションサスペンス的な展開を期待すると的外れとなってしまいます。
何故そんな事になったか?等の具体的な説明をしていく事がメインの物語ではなく、何かのはずみで、
異世界に迷い込んでしまった人々が、必死でその謎に迫り、危機から生き延びて、なんとか元の世界に帰還しようと努力する事がメインとなっていますので、
基本的にはその設定とサスペンスフルな物語展開を楽しむ作品となっています。
で、本作は基本的には冒頭から謎だらけの状況で始まる作品ですので、その謎やルールが少しづつ分かる事で、
物語が進んで行く謎系の映画ですので、物語を詳しく説明してしまうと、作品の楽しみを完全に削いでしまう事になりますので、
問題のない部分のみ書かせていだきます。
まず、主人公である男性がバスの中で目を覚まします。
で、周りを見回すと他にも十数人ほど乗客がいて、全員気を失っている。
で自分の手を観ると両手に手錠がかけられています。
周りを見渡すと争った形跡があり、銃で撃たれている人もいます。
そんな状況で、頭痛がすると思ったら、自身の記憶の大事な部分を失っている事に気付きます。
自分の名前や、職業、何故このバスに乗っているのか?等の大事な部分の記憶を全て失っているようです。
で、自分が善人か悪人かどうかも理解できない中で、ほんの少しだけ記憶のフラッシュバックがあって、自分が銃を持って誰かと争っている記憶が少しだけ蘇ります。
状況が状況だけに、もしかすると自分がバスジャック等をして犯罪を犯したのかもしれない、という不安感を抑えながらも戸惑っていると、他の乗客も目を覚ましだします。
で、それぞれが同じように記憶を失っている、という事実が分かります。
全員が自分の名前さえ思い出せない、という状況ですので、即パニック状態になります。
で、外を見ると、辺り一面砂漠のみ、という状況にさらにパニックは広まり、とにかく外に出てどこかへと移動を開始し始めますが、
そのとき、砂埃をあげて巨大な風が吹き荒れます。
すると、先頭を進んでいた人から順番に血しぶきをあげて絶命していきます。
まるで、かまいたち現象のように風が人々を襲います。
で、危険を察知した数名が全速力で逃げ戻り、バスに飛び込み、バスを風とは逆方向に走らせることになります。
主人公と気の強い坊主頭の男、小柄な風水師の男、勝気な若い男、銀行員風の男の5人と、座席に隠れいていた、まだ幼い女の子一人を乗せて。
という感じで、5人の大人の男性と一人の少女の未知なる砂漠でのバスでの旅が始まります。
で、そのバスを付け狙う怪しい影、、これが原題にもあるモンスターで、本作はこのモンスターとバトルを繰り広げながら、
状況を解明しつつ脱出を試みる展開に入っていきます。
見どころとなるのは、やはりその特異な設定で、通常のこういったサバイバル系の作品ですと、登場人物にはだいたい男女や年齢など、
均等にバランス良く配置されている事が多いのですが、本作は幼い女子一人と、同じような年齢(と言っても幅はありますが)の男性5人という事で、
かなり偏っています。
鑑賞し始めたころは、この同じような年齢層の登場人物ばかりが登場する設定が理解できなかったのですが、
後半、物語が進むにつれて、何故その男性ばかりのメンバーが必要だったのか?が分かっていきます。
その理由が理解できたときには、本作のテーマも理解できるようになっていて、決して(SAW)等のようなソリッドシチュエーションサスペンスを製作したかったわけではない、
という事がはっきり分かるようになっています。
また、そんなに有名ではないキャストの配置も絶妙で、主人公を演じるジェン・ニンは、善人にも悪人にも見える風貌で、
一応善人として行動していきますが、
合間に少しづつ蘇る記憶がバス内で争っているシーンばかりなので、善人として行動している自分自身さえも、
信じることができないような葛藤が描かれていきます。
中盤、正義の行動を取りながらも、自分の本性が理解できない主人公と、少女が交わす何気ない会話の台詞が印象に残ります。
主人公『でも、俺は、もしかしたら善人ではなく、悪人なのかもしれない。』
少女『そんなこと問題ないわ。悪人も改心すれば、善人よ。』
ふとした会話や、設定が上手く作用していって、後半その伏線を回収していく事になります。
で、本作の秀逸なところは、そういった砂漠の荒野で脱出を試みる人々の奮闘と同時進行で、娘を誘拐された母親のサスペンスも描かれていきます。
勿論、誘拐されたのは、あの砂漠のバスの中にいる少女です。
その誘拐犯とのやり取りから始まり、捜査員が誘拐犯に少しつづ迫っていく過程が、砂漠のドラマと同時進行で描かれていく構成となっています。
で、その誘拐サスペンスドラマで少しづつ明らかになっていく事が、そのまま砂漠の登場人物たちのドラマとリンクしていって、
最終的に二つのドラマが一つになった時に、登場人物たちの人となりや、どういった状況でそのような状況になっていったが明らかになるような構成になっています。
ただ、冒頭でも書かせていただきましたが、何故そんな事になったのか?等の具体的な説明はありません。
ですので、突っ込む気持ちで鑑賞すると突っ込みどころは満載ですが、そうではなく、その奇妙な世界に迷い込んでしまった人々と同じように謎を追い求めるような感覚で鑑賞すると
非常に楽しめる作品となっていますので、機会がありましたら是非ご鑑賞ください。
因みに、本作は好評だったようで続編も製作されていますが、日本でリリースされるのでしょうか、、、。
作品情報
2019年製作 中国製作 SFサスペンス
監督 ダイ・ジンルアン
出演 ジェン・ミン、ハン・ヤンポ、ヤン・スー、ルー・イエ
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