おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
繰り返される小説(白髪魔女伝)の再映画化ながらもしっかりとした武術アクションと(ドラゴンゲート)など他の作品の設定も融合させた本当の意味で外伝としての魅力を放つ娯楽編!!結構いけてます!!
作品紹介
2021年12月日公開
今回ご紹介するのは、クリスタル・ホアン主演で描かれる人気小説(白髪魔女伝)の再映画化作品です。
それではままずはあらすじから、
明王朝末期、錦衣衛である常安(じょうあん)は、白髪の魔女と恐れられる玉羅刹が率いる邪派集団を調査するよう命じられる。
その道中、同じく邪派征伐を目論む、玉羅刹そっくりの美しくも悪名高い女盗賊・練霓裳と出会い、お互い信頼関係が芽生えていく。
二人は旅を共にし苦難の末に、ついに玉羅刹のところにたどり着く!?
繰り返される梁羽生原作の(白髪魔女伝)の再映像化作品です。
有名なところではレスリー・チャン主演の(キラーウルフ白髪魔女伝)やその続編(白髪魔女伝2)が存在しますが、
その後テレビシリーズなども多数製作されました。
近年だけでも、(白髪魔女記)(詳しくはこちら)、(白髪妖魔伝)(詳しくはこちら)と連続で製作されています。
とにかく最近の中国武侠映画は、同じ原作の再映画化が頻繁で、どれがどれか分からなくなる、というスティーヴン・セガールの沈黙シリーズ状態になってきていますが、
本作もそんな流れの中での再映画化で、特徴もなく埋もれていく、、、、、
と思って鑑賞し始めましたが、これが意外にも原題にある(外傳)の文字に相応しい、ちょっといつもとは違った特徴のある作品となっています。
まず、一つ目の特徴としてはおそらく本作の売りの一番大きいところですが、主演を務めているのがドニー・イェン主演の(アイスマン)シリーズのヒロイン役や、
(イップマン誕生)、ジョニー・トー監督の(毒戦ドラッグウォー)など香港映画界でも大活躍しているクリスタル・ホアンが主演している事です。
アジア圏全域で活躍しているだけあって、華のある存在感で、ツンデレキャラの玉羅刹を魅力的に演じています。
クリスタル・ホアンが出演しているだけで、他の中国武侠作品とは一線を画する魅力となっていますが、そこまでは(白髪魔女伝)の魅力というより、
クリスタル・ホアン自体の魅力ですので、大量生産される(白髪魔女伝)系列の作品群の中の独自の魅力とはいえないかもしれませんが、
本作はその世界観が他の作品とは一味違った特徴を兼ね備えています。
まず(白髪魔女伝)のだいたいの基本の物語は、江湖に名を馳せる玉羅刹が、他流派である武当派の剣士、卓一航との流派を越えた禁断の愛に目覚めるが、
なんらかの理由で弊害が生じて悲嘆に暮れて悲しみの中で白髪魔女として覚醒する、
という流れが、大体の大筋となっています。
そこにその作品ごとの特徴を加えていく、といった感じの映像化が多いのですが、本作はそのいつもの物語展開になるのかと思いきや、ここにかなりの変化球を加えています。
玉羅刹のキャラクター設定はいつも通りですが、本作では、卓一航との出会いは既に済んでいて、なんらかの理由で二人が離れ離れになり、
玉羅刹は卓一航に逢いにいきたいけれども、今はそれどころではなく、他の問題解決に乗り出している、という状況で物語がスタートします。
で、この問題というのが、各地で、白髪魔女を語る偽物が登場し、悪事の限りを尽くしている、という事で、白髪魔女である玉羅刹本人が身分を隠して偽物退治の旅路に出ている、
というところから物語が始まるようになっています。
この、製作本数をある程度重ねたシリーズ(特にヒーローものなど)で、変化球的に登場する本物ヒーローVS偽ヒーローという燃える設定が、
本作の中心にあるので、他の作品とは違う本作独自の物語展開を生み出しています。
ただ、この偽白髪魔女、登場早々に完全に男性の声で登場してチラチラ顔が映るごとにどう考えても男性なので、そこはできれば美女対決でお願いしたかったところですが、、
で、さらにその変化球設定で始まった偽物退治物語に、もう一人の主人公である錦衣衛、常安が玉羅刹の調査に訪れ、旅の途中で出会い、
成り行きで共闘する事になり、そこで信頼関係が段々と目覚めて、いつしか常安は玉羅刹への愛を募らせていく、という恋愛物語が絡んできます。
しかし、玉羅刹は基本的に卓一航ラブなので、常安にはそれほど目もくれない状態で、いつものツンデレというかツンツン状態で応対していきます。
ですので、常安の悲しい片思いの中、成り行きで二人の旅が進められていきます。
この感情の流れも他の作品とは違う変化球で、通常両想いか、女性が男性に想いを馳せる片思い的な展開から後半で無理矢理号泣展開、
というパターンが多いのですが、本作では男性側からの片思い、しかも常安はひ弱なキャラクターではなく、しっかりと武術の腕も高い剣豪キャラ、という異色の設定となっています。
さらにこの変化球的な関係の二人が、その旅の道中で、なんとキン・フー監督の(残酷ドラゴン血斗竜門の宿)や、ドニー・イェン出演の(ドラゴンイン)、
近年でもジェット・リー主演の(ドラゴンゲート空飛ぶ剣と魔法の秘宝)や(ドラゴンゲート炎の刃)(詳しくはこちら)などで、お馴染みの剣豪たちが集う訳あり砂漠の宿、龍門客楼が登場し、
そこで寝泊まりし、他の作品のようにそこに宿泊している他の流派の剣豪たちとバトルを繰り広げる、という燃える展開にまでなります。
この辺の雰囲気は完全に龍門客楼系列の作品のように荒れた砂漠の乾いた世界観でお互い腹の探り合いをしながら剣を交える、という本作中盤の見せ場となっています。
これだけの変化球を加えつつ、キャストと設定だけが魅力かと思いきや、アクション自体も剣豪が剣豪に見えないような気の抜けたアクションではなく、
かつての香港映画のようにしっかりとしたプロの武術指導家とスタントマンがプロにしかできないアクションを設計して、
プロにしか再現できないようなアクションを絶えず繰り出していく、という魅力的なアクションとなっています。
という事で、本作独自の魅力をまとめてみると、
①アジア圏で大人気女優のクリスタル・ホアンが主演している
②白髪魔女VS偽白髪魔女の対決
③錦衣衛が主役の一人として活躍する
④龍門客楼が戦いの舞台となる
⑤アクションが香港映画風味で素晴らしい
という感じで、見所が盛りだくさんとなっています。
ただ、砂漠のシーンはほとんどが背景が合成で人物が浮き上がってしまっていたり、個性的なキャラクターがそれほど活躍しなかったり、等
ちょっと残念なところもありますが、連発され過ぎる同じ原作の映画化作品の中では見過ごせない魅力を持った作品となっていますので、
中国武侠作品は同じ内容ばかりなので、もう飽きてしまった、という方も本作は結構楽しめる作品となっていますので、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
懐かしい香港映画の香りがしますよ。
作品情報
2020年製作 中国製作 武侠ファンタジー
監督 ウー・インシャン
出演 クリスタル・・ホアン、シー・ジンシュ、ドゥ・ユーミン、リウ・シュオ
その他の武侠ファンタジー作品
(チャイニーズゴーストストーリー)と同じ原作短編の1編(バトル・オブ・モンスター妖怪大乱戦)はこちら
↓ランキングに参加しています。宜しければ下記をクリックお願い致します↓