おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
エレベーターが故障し、中に閉じ込められている最中にゾンビパンデミックが発生する、というシチュエーションサスペンスとゾンビパニックを融合したバトルホラー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、エレベーターに取り残された男が、ゾンビと戦うシチュエーションゾンビホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
会社経営者のクラウディオは、クライアントとの重要なミーティング直前に、オフィスのエレベーターに閉じ込められてしまう。
なんとかこじ開けたエレベーターの隙間から外の様子を伺っていると突然何かのウィルスに感染し、ゾンビと化した者たちが襲い掛かってくるのだった!?
乗っているエレベーターが突然故障し、中に閉じ込められているうちにゾンビパニックが発生する、というシチュエーションサスペンスとゾンビホラーを融合させたホラー作品です。
突然訪れる絶体絶命のピンチではありますが、エレベーターの扉をこじ開けて逃げようとすると、少しは開いたものの、
何かが扉に挟まってしまい、そこから開けることも閉めることもできなくなる、というかなり危機的な状況で、物語は本題に入っていきます。
ほとんどがこの扉が少しだけ開いた状態のエレベーター近辺で起こる出来事、という事で完全に主人公目線のワンシチュエーションサスペンスの発展形のような作品となっています。
この少し扉が開いているけれども、大人が通れるサイズの隙間ではない、というところがポイントで、その状況によって様々なドラマが発生するようになっています。
基本的には中から外を見ているシーンをメインに、外から中を見ているシーン(エレベーターの扉の外から撮影した、主人公が外の様子を伺っているシーン)が少し存在するだけの2パターンしかないのですが、
これを1作通してワンシチュエーションで通す、という事になってくると、流石に緊迫感を維持するのも難しくなってきます。
ゾンビが登場するシーンは、サスペンスを盛り上げるために、なんとなく不穏な空気を醸し出す静かなフロアに突然鬼のような形相のゾンビが隙間に登場する、
というホラー映画お約束のびっくりパターンを繰り返していく事になる(というよりその角度しか映らないので、それぐらいしかやりようがないと思われます)のですが、
これが、回数が増していくごとに、狭い隙間から色んなゾンビが登場するコントを鑑賞している感じになってしまいます。
次は、どんなゾンビがびっくりさせてくれるのかな?というコタツでゆっくり鑑賞している感じです。
最大の問題は主人公がいるエレベーターが完全な安全地帯である、という事が原因で、劇中でも何度も繰り返し台詞に出てきますが、
扉は絶対に閉じる事も開けるもできないぐらいに動かないようなので、完全な安全地帯が発生してしまっています。
ゾンビ映画でタイムリミットも、行動すべき理由も特にない主人公が安全地帯にずっといる、というシチュエーションもなかな珍しいのではないでしょうか。
全然ドラマが進みませんので、、。
で、逃げ場を失った生き残った人たちが、コントのようにエレベーターの扉の前に逃げて来てなんとか自分も安全地帯のエレベーターに入れてもらおうとしますが、
結局サイズ的に無理があるので、ゾンビたちに引きずられていって、犠牲になる、という事が数回繰り返されます。
そういう本来緊迫感のあるシーンも全て安全地帯であるエレベーター内から主人公自身はほとんど命の危険のない状態で、他人事のように見ていく事になります。
奥さんに電話をしてみると、向こうでもゾンビパンデミックが発生しているようで、悲鳴と共に電話が切れてしまいます。
要するに、世界はゾンビパニックで地獄のような状況になっている、、、、
、、、のに、主人公だけは安全地帯にいる!!
というのが問題で、これが主人公の乗っているエレベーターが故障が原因でグラついて今にも落ちそう!とか、
電話が外のゾンビ対策本部とつながって制限時間内に脱出しないと爆撃されてしまう!!など、
とりあえずは安全地帯ではあっても、早急に退去しないと危ない!!など行動する理由があればよいのですが、
何の制限もなく、安全地帯で外の人々が地獄に落ちていくのをただただ見ているだけ、というコタツに入ってテレビでコント番組を見ているような感覚を生む原因となっています。
一応、閉所恐怖症という設定はあるようですが、精神的に追い込まれて冷静さを失っているなどの描写も無く、そこはほとんど強調されていないので、
それを理由に緊迫感を生み出すまでには至っていません。
しかも主人公は冒頭から完全に嫌な奴タイプとして描かれていて、基本的にはそんなに成長しない(途中謎の他人への気遣いがありますが、
成長するためのエピソードも描かれていませんので謎です)キャラクターですので、
感情移入できない厭な性格の主人公が、地獄のような目に合っている善良な人々を、安全地帯からずっと見ているだけ、という展開になっています。
シチュエーションサスペンス+ゾンビパニックというアイデアは凄く面白いのですが、その面白い設定を、面白く見せ切るための技量は残念ながら無かった、ということでしょうか。
ラストには今現在外がどういう状況になっているのか?というシーンで終幕となりますが、その自信たっぷりに描かれるラストシーンもしつこいぐらいに長く、
空撮シーンが延々と続きます。
そもそも、ですが、
他の生存者が、この安全地帯であるエレベーターに逃げ込もうとして結局入れずに、犠牲になっていっている中、
何の目的もない主人公が、危険な外に必死で脱出しようとしている理由が全く見当たらない、という物語の大前提部分に不具合が発生していまっているので、
主人公に感情移入のしようがない、というのが本作のようなほとんど主人公目線で展開されるワンシチュエーションサスペンスにとっては致命的かもしれません。
とは、いいつつも、変わったシチュエーションの作品で、前半は結構楽しめる時間帯もあり、面白くないという事でもありませんので、
ゾンビ映画好きの方や、シチュエーションサスペンス好きの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
60分ぐらいの作品だったら、結構面白くなっていたかもしれないですね。
作品情報
2017年製作 イタリア製作 ゾンビホラー
監督・脚本 ダニエーレ・ミシシチア
出演 アレッサンドロ・ロヤ、クラウディオ・カミッリ、エウリディーチェ・アクセン
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