修行度 🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥●●
上映時間75分中55分間は何も起こらない、何かが起こりそうで何も起こらない、でも終幕直前になって急に犠牲者が続出する、じれったさMAXの海洋モンスターホラー!!イット・フォローズの監督作品ではありません!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、金持ち道楽息子の豪華ヨットでクルージングにでかけた若者8人が謎のモンスターに出くわすホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
マーティとランスの親友同士は、浜辺でナンパしたニコールとジェスと共に、マーティの父の所有する豪華ヨットでパーティをするために集まる。
既に乗船していたマルコムとティナ、そしてヨットの整備士と共に2時間のクルージングに出かけるが、それは悪夢の惨劇の始まりだった、、。
カナダ製作の海洋ホラー作品です。
なかなかの突っ込みどころ満載作品なので、果たしてどこから説明したものか、、、という感じですが、まず一番の突っ込みどころ、
というか作品というより日本版のDVDパッケージ商品自体への突っ込みどころなのですが、日本版DVDジャケットの表紙にかなり大きく、
監督・脚本『イット・フォローズ』コーリー・ラージが放つ海洋パニックホラー!
とおとなしいタイトル以上に目立って書かれていますが、(イット・フォローズ)の監督・脚本は(アンダー・ザ・シルバーレイク)なども監督している一流監督デヴィッド・ロバート・ミッチェルであって、
このコーリー・ラージという人物ではありません。
では、この人物は誰なんだ?という事になりますが、
コーリー・ラージはマイケル・マドセン主演のB級作品(マッド・ドッグ)や、ラッセル・マルケイ監督の(レジェンドハンター)などの脇役俳優として活躍していて、
その後俳優に見切りをつけたのか、脚本家として近年のブルース・ウィリス出演作(アンチライフ)、(コズミック・シン)等に参加している人物で、
(イット・フォローズ)には監督・脚本家としての参加ではなく製作総指揮としての参加で、しかも多くの製作総指揮者たちのクレジットの最後の方に記名される、
という作品への影響力の薄さなので、実際の本編の内容にはほとんど関わっていないと思われます。
その人物を掘り起こしてきて、まるで(イット・フォローズ)の監督・脚本家と本作の監督・脚本家が同じ人物のように錯覚させる、
という宣伝方法は、流石に完全な行き過ぎではないでしょうか。
正しくは、
監督・脚本は、『イット・フォローズ』に製作総指揮として携わったコーリー・ラージが放つ海洋パニックホラー!
です。
B級作品の宣伝の世界では、ヒット作、話題作のあやかりタイトルやあやかりパッケージは普通にあるので、そういう事も想定済みですが、
本作の宣伝の仕方は流石に度を越えています。
(イット・カムズ・アット・ナイト)と(イット・フォローズ)にあやかった(イットカムズ)というセコい邦題までは許される範囲だと思いますが、
そのタイトル以上に目立つ宣伝文句は開き直りのようにも思えて憤りさえ感じます。
以前はこんな節操のない宣伝の仕方をすれば、どこかからクレームがあったりしたものですが、ここまでの表記が許されてしまっているのも、
映画作品全体に対する注目度の低さを表している、という事にのるのでしょうか、、。残念です。
そんなあんまりな宣伝で日本でリリースされてしまった本作の内容は、B級魂に溢れる傑作ホラー、、、、
では全くなく、ある意味、その日本でのあんまりなセールスに見合ったようなあんまりな内容となっています。
まず冒頭で、何かを盗み出すようなミッションをこなしている男が説明なく描写されます。しっかもじっくり目に。
で、何の説明も匂わせも無くそのシーンは終わり、今度はホラー作品にありがちなパーティピープルたちが、各々お目当てのパートナーを引き連れて登場、
そのメンバーのうちの一人が色々な事業(裏稼業的な事含む)を行っている大企業の社長の息子で、港にある父が所有している豪華ヨットで、
父に隠れて仲間を呼んでパーティを開こうとします。
その仲間の中にはお調子者や、船が自分所有だと嘘をついて女性を誘ってきた者、などいわゆるホラー映画に登場しがちな死亡フラグのたっているキャラクターがいて、
誘われた女性側もやたらと自然派な真面目女子、その友達のイケイケ女子、うるさそうだけど軽めのイケイケ女子、と個性豊かなメンバーがそろっています。
そこに冒頭の何かのミッションをこなしている男が登場。
ミッション男は、パーティピープルたちが船に乗る前から船にある金庫から何かを盗み出すミッションをまたしてもこなしています。
ただ、依然として説明がないので何をやっているのかは分かりません。
そんな顔なじみではない挙動の怪しい男が、自身の親が所有する船にいきなり現れたら不法侵入ですので、普通は即警察を呼びますが、金持ち息子は大らか、というか鈍いようなので、
ミッション男の『自分は船の整備師』という厳しい言い訳も簡単に信じてしまいます。
で、まんまとメンバーに加わったミッション男と、実はドラ息子には喧嘩中の彼女がいて、その気まずい彼女を含めた8人が揃ったところで出航となります。
本作の原題にもなっているように9番目の乗客は誰なのでしょうか?、、、。
で、各々お楽しみな展開を踏まえながら、船は進んでいきますが、お楽しみの最中に突然船のエンジンが止まってしまい、電気系統が全て機能しなくなってしまいまいます。
もう夜間の時間帯で、岸からは結構な距離まできていて、このままの状態だと遭難になってしまうので、早く連絡したいところですが、
連絡しようとすると金持ち息子が、『父親に無断でヨットを使っている事がバレると怒られるので連絡するな』、
というまさかの理由で、それを制止します。
結局、通信機器も壊れている(というか機能しないだけなので船も通信機器も物理的に壊れているかどうかもはっきりしていませんが)状態で、
携帯も繋がらない状態が続いているようです。
で、結局整備士として乗り込んでいるミッション男に船のエンジンを修理するように社長のドラ息子が金を積んで依頼します。
整備士というのは自分の正体を隠すための言い訳なので、どのように対処するのか、と思っていたら、やっぱりなんだかんだとそれらしい言い訳をして修理を断ります。
で、その後どうなるのかと思っていたら、1万5000ドルなら請け負う、という欲望の誘惑に負けて後先考えない提案をします。
ミッション男、意外に結構ピンチな局面ですが、観ている側の心配をよそに、その会話の終了と共にメンバーの一人が前方にいきなり無人島を発見します。
で、あの島に行けば通信機器があるかもしれない、という事で、自然派の主人公っぽい位置にいる女性と、その友達の軽め女子、そのお相手のイケメンお調子者の三人をヨットに残し、
あとは全員島に上陸します。
!?
なんでしょうか、ここまでの違和感、、。
主人公に近い位置にいるミッション男の謎の行動とその場しのぎの言い訳の連続、それでも物語はなんとなく進んでいき、
9番目の乗客が登場する前に5人も降りてしまう、という行き当たってバッタリ感。
ここまでで既に50分も経ってしまっていますが、船が止まってしまった事以外何も起きてません、、。
だいたい父親に船を使用したことがバレるのが嫌なので連絡はしないと言っていたはずですが、いつの間にかそんな事はどうでも良くなったのか社長の息子も揉める事なく、
しっかり島に上陸していきます。
で、上陸してみると速攻で何か怪しい実験施設を発見。
と、そのころ船上では、何かの怪しい気配を発見するイチャつきカップル、そして一人時間を過ごしている自然派女子は何気に船内にあるPCを捜査していたら、
金持ち息子の親が経営する会社のどこかの部署で行われている怪しい実験の映像ファイルを発見!
振り返ってみれば、何気にビーチを友達と歩いていたら浜辺でナンパされた男子がたまたま社長の息子で、その父が経営する会社がたまたま怪しい実験を行っていて、
たまたまPCを見てみたら、たまたま実験映像のファイルを見つけてしまう、、のがたまたま自然破壊や動物虐待を人一倍嫌う自然派女子だった、
という宝くじ大当たり級の偶然の連続!!
で、自然派女子が、これはやばい、となっている頃、イチャつきカップルが何かに襲われます、、が何かは映らない!
なので、何が起こっているのか分からない!犠牲になっているのかも分からない!
という状況で、その頃島の方では実験施設に乗り込んだメンバーが施設内の夥しい血(でも死体などは無し)を見てしまい、そこに潜んでいる何か画面に映らないものに怯えます。
ここまでで上映開始から55分、終幕まであと20分しかないところで、ようやく最初の犠牲者がでます。
ここまでの作品の流れ的に嫌な予感はしてしましたが、それがしっかり的中します。
犠牲者はでますが、犠牲になるシーンが無い!
何かに襲われるシーンまではありますが、そこからは悲鳴のみで、後はご想像にお任せします風に、他の登場人物の『あいつは死んだ、、』みたいな台詞一発で処理されてしまいます。
それなりに人数いますので、中には犠牲になるシーンが描かれているキャラクターもいますが、基本はそんな見どころとなるようなシーンは本作にはほとんど存在しません。
DVD裏ジャケットの宣伝文句には、【生き残るには、絶対に音を立てるな。】というこちらも(クワイエットプレイス)にあやかった文章が踊りますが、
そりゃ、正体不明のモンスターに限定された研究施設で襲われたら、誰でも息をひそめて隠れます。
まぁ、それに関しては嘘ではないのですが、、。
という事で、ラストの終わり方も突然すぎる終わり方で、問題は何一つ解決していないのですが、強引に終了してしまいます。
結局、9番目の乗客は島で実験されていた何かの生き物のようですが、はっきり映らず、どういう存在なのかも分からないので正体は不明のままで、
ミッション男はその研究に関する物を盗んでいたようですが、結局こちらも良く分かりませんでした。
という事で、日本版のDVDセールスも、作品内容も、あんまりな稀にみる修行映画となっていますので、ご興味のある方はご鑑賞してみて下さい。
個人的には、75分という短い上映時間がこれほど長いと思ったことはありませんでした。
時間の長さの観念さえも根底から覆す映画、といっても過言ではないかもしれません、、。
でも、出演しているキャストは結構スマートな演技と外見をしていますので物語展開以外ではそれなりに見所あるかもしれません。
作品情報
2018年製作 カナダ製作 ホラー
監督・脚本 コーリー・ラージ
出演 アレクシア・ファスト、ジェシー・メトカーフ、ティモシー・V・マーフィ、チンタ・ラウラ・キール
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