おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
中国に古来から伝わる呪術マオ山の呪術師たちと蠱毒を操り民衆を苦しめる邪教集団との戦いを描いた武侠ファンタジーアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、呪術師たちの活躍をVFX満載で描いた武侠ファンタジー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
都で流行する蠱毒を使った殺人事件を解決するために、名門呪術師一派マオ山派の弟子たちが現地に駆け付ける。
しかし、その事件には日本からやってきた忍者が絡んでおり、巨大な毒蜘蛛を操る怪しげな妖術を使って、マオ山派に戦いを挑んでくるのだった!?
呪術師界の名門、マオ山派の活躍を描いた武侠ファンタジー作品です。
マオ山といえば、(霊幻道士)にも登場する道教の一派で、ラウ・カーリョン監督、リュー・チャーフィー、ワン・ユー主演の名作(霊幻少林拳)(詳しくはこちら)などが思い浮かびますが、
それまで映画作品に登場するマオ山派は、呪術師という性格上、どちらかというと怪しい(作品によっては如何わしいような)世界として描かれていることがほとんどでした。
しかし、本作に登場するマオ山派は比較的開けた感じの明るい世界観で統一して描かれています。
ですので、作品の雰囲気的には(霊幻少林拳)のような暗めのトーンではなく、(道士下山)や(レジェンド・オブ・トレジャー大武当)のように人里離れた山奥で修業する一派ではあるけれども、
決して閉鎖的という雰囲気ではなく、明るく、民衆と寄り添って、危機があれば駆け付けるような信頼関係を築いている集団として描かれています。
そんなマオ山派では、次期マオ山大師(いわゆる党首、ボスです)を決める呪術大会がまさに開催されるという時期にきています。
弟子は大勢いるようですが、本作でスポットがあたるのは、その中の4人の兄弟弟子(血のつながりはないものの、幼いころより、このマオ山で一緒に育っているので本当の兄弟のような関係)で、
おそらく、この呪術大会で最後まで勝ち残った(のか立候補かは説明されないので分かりませんが)のも、この4人で、最終決戦直前というところから物語は始まります。
で、この4兄弟は結構個性的で、常にリーダーとして他の3人を率いて呪術の実力もピカイチだけれども、決して自分中心に物事を考えることなく、
常に弟弟子たちに気を配っている長男、
呪術の腕前はもしかすると一番かもしれないぐらいの実力派だけれども、外見に似合わず、常に控えめな性格で、自身は人の上に立つようなマオ山大師になりたいとは思っていない優しい性格の次男、
喧嘩っ早くて、好戦的、自身過剰気味で常に自身がマオ山大師になりたくてしょうがない血気盛んな三男、
で、全く気力がなく、何事にも逃げ腰で、争いごとからも常に逃げ回っているけれども、幼いころより暗黒な気を右手に宿しているようで、
未知数の何かが奥底に眠っていそうな四男、しかも主人公。
という個性的な4兄弟が都で頻発する蠱毒による連続怪死事件を解決するために邪教集団と戦う物語となっています。
対する邪教集団は、基本は日本の忍者から派生している(例によって詳しい説明がないので忍者という説明が一瞬だけ入りますので多分忍者です)ようで、
マオ山派以上に怪しい呪術を駆使して事件を起こしていきます。
教主は巨大な毒蜘蛛を操り、その毒を使用した妖術が専門のようで、色々な技を繰り出します。
その個性的な教主が率いる部下たちも非常に個性的で、物凄くゴツい般若(?)っぽい面を被り、三味線のような楽器の音波によって攻撃をしかける鬼面忍者、
一見鬼面忍者とキャラが被りますが、(ツーフィンガー鷹)(詳しくはこちら)や、怪しい妖術系が登場するカンフー作品でよく見かける、お面を前後に装着してどちらが前か分からないようにして攻撃をしかける、
という戦闘に有利かどうか良くわからない攻撃を仕掛ける安めの般若面を被った廉価鬼面忍者、
どう見てもコスプレ女子にしか見えない、世界観無視ぎみのミニスカ忍者(?)、
という感じで、非常に個性的なメンバーがそろっています。
本作の魅力は一言でいうと、この登場人物たちのキャラクターにあるといっても過言ではないと思われます。
残念ながら78分という短すぎる上映時間のため、個性的で良い味がでそうな敵チームも、コスプレ女子と両面鬼面忍者に至っては台詞すらない、
というあっさり具合で、邪教教祖も深みを帯びた感じの登場だったのに、特にキャラクターを掘り下げることなく、さっさと奥の手である巨大毒蜘蛛を登場させてしまう、
という淡白なバトルとなってしまったのが残念です。
主人公側の4兄弟のキャラクターが細かくしっかりと描かれているので、これで敵チームも同様に描かれていれば、結構な傑作になったと思うのですが、どうでしょうか。
物語の全体的な流れは、簡単にいうと妖怪ハンターの妖怪退治といた感じですので、特に新鮮味はありませんが、この魅力的な兄弟たちの描かれ方が、
そのまま作品の魅力となっています。
ただ、アクションに関しては、近年の武侠作品に共通のくるくる回転メインでカット割り多様、直立不動でワイヤーに吊されているだけのシーンの目立つアクションが多いので、
なんとか、そのワイヤー感を薄めるような技を極めたスタントマンに参加してもらった方が良いのでは?と思ってしまうアクションの連続となっています。
ラストで当然、主人公は覚醒しますが、色々強くなったという設定ですが、どこがどう強くななったのか全く分からないクライマックスとなっていました。
それでも、それを補って余りあるほどに4兄弟の魅力的なキャラクターがしっかりと描かれていて、
近年の中国製の武侠作品の中では結構楽しめる作品となっていますので、武侠作品ファンの方など、機会がありましたらご鑑賞ください。
作品情報
2020年製作 中国製作 武侠ファンタジー
監督 シャン・チェン
出演 ぺン・ユーシー、ヤン・ミー、ユー・シーハン
そのほかの武侠ファンタジー作品
シェー・ミャオ主演の少林寺カンフーアクションと思いきやVFXバリバリの武侠ファンタジー(少林寺阿羅漢VS鬼神羅刹)はこちら
↓ランキングに参加しています。宜しければ下記をクリックお願い致します↓