お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
チンギスハーンの伝記映画と思いきや、若きテムジンが魔界の魔族と激戦を繰り広げるかなりエンターテイメントな冒険ファンタジーアクション!!しかも製作はまさかの名匠ジャン・ジャック・アノー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、チンギス・ハーンの青年時代を背景に、魔族とバトルを繰り広げるアドベンチャー作品です。
それでは、ますはあらすじから、
モンゴルの草原では、何千年も前から、その土地を支配しようとする魔族と、人間の間で争いが繰り広げられてきた。
部族の長となる運命を背負った若者テムジンは、その儀式の日、許嫁のボルテを娶ることになっていたが、魔族の復活を目論むクキュルによって、
ボルテが連れさられてしまうのだった。
テムジンは妻となるボルテを救い、モンゴル民族の平和を取り戻すために草原を駆け巡る!?
モンゴルの英雄チンギス・ハーンの若き日々、テムジン時代の戦いを描いたアドベンチャーアクション作品です。
という事で、まずDVDジャケットのイメージからはチンギス・ハーンの伝記映画のイメージだけしか感じられませんが、
本作は真面目な伝記映画などでは全くなく、テムジンが魔族と魔界で戦うVFXファンタジーアドベンチャーとなっています。
何故、そのようなイメージで販売していかないのかは全くの謎ですが、本作は他にもスルーされているジャケットでアピールすべきセールスポイントがあります。
まずは、主演が(陰陽師 二つの世界)やブルース・ウィリスも出演した戦争アクション(エア・ストライク)などへの出演で人気急上昇中のウィリアム・チャンで、
ヒロイン役がチャウ・シンチー監督の(人魚姫)でのいきなり主演デビュー後、同じくチャウ・シンチーが製作した人気シリーズ第2弾(西遊記2妖怪の逆襲)などの出演が好評のリン・ユン、
さらに敵役が(レッドクリフ)シリーズでブレイクしたフー・ジュンという、豪華キャストが集結している、という点です。
重要な役で出演している3人が、ぞれぞれ名の通った代表作を持つ有名俳優であるにも関わらず、それが表ジャケットに記載されていません。
さらに、本作を製作しているのはブラット・ピット主演(セブン・イヤーズ・イン・チベット)や動物映画(トゥーブラザーズ)を監督した、あの名匠ジャン・ジャック・アノーです。
その名匠と組んで本作を監督したのは(草原の女)などの監督作品のあるハスチョローという事で、スタッフ・キャストだけでセールスポイントがたっぷりある作品となっています。
それを【チンギスハーンの伝説を壮大なスケールで描く歴史アクション超大作!】というかなり大味な宣伝文句で、あっさり済ませてしまう宣伝活動はどうなのでしょうか。
非常に勿体ないとしか言いようがないですね。
という事で、本作は真面目な歴史アクション超大作ではなく、広大な草原を舞台に、その土地と、そこで暮らす民族の平穏をまもるために、
地獄の門を開いて侵略してこようと目論む魔族と戦う、若者テムジンの物語となっています。
で、内容ですが、流石にジャン・ジャック・アノーという世界的名匠や、中国以外でも人気のあるキャストが出演している作品だけあって、
最近の中国作品の中では、群を抜いて分かり易い作品となっています。
そのモンゴルの平原では長年、地上支配を目論む魔族と人間たち(テムジンの祖先)との間で戦いが繰り広げられており、
テムジンの時代になっても、魔族はフー・ジュンという使者を使って、地獄の門を開こうとしていた。
その地獄の門を開くには、鍵となる地母の地を受け継ぐ女性が必要で、それがテムジンの妻となるリン・ユンだという事が分かります。
で、バトルの末にあえなくリン・ユンが連れされてしまい、妻奪還と、草原の平和を守るためにテムジンが挫折を経験しながら、
同民族の賛同を得て、民族の長として魔族に戦いを挑む、という大筋となっています。
ですので、基本的には人間対人間ではなく、人間対魔族の物語となっています。
台詞だけで全てを説明してしまう分かりにくい近年の中国映画の中では、非常に冒険アドベンチャーとして分かり易く、
また映像でしっかりと表現されながら物語が展開していく(当たり前ですが)ので、常に何をやっているのか把握できる(当たり前ですが)娯楽映画となっています。
ただ、物語展開自体は分かり易いのですが、それぞれのキャラクターが掘り下げられる事が、あまりないので、
登場人物のひととなりがフワッとしていて、どういう人物かが把握しにくいので、結果的に主人公達が危機に陥っても、
あまり感情移入できずに、それほどハラハラしない、という点が少し残念です。
ファンタジーものなので、やはりハラハラ感はもう少し欲しかったところです。
あと、結構なピンチになるシーンが多い作品で、そのたびに壮大なBGMが流れていますが、どういうわけか、録音されている音量が物凄く小さく、
まるで純喫茶で流れている有線放送のように、遠くで微かに流れているような仕様になっています。
ですので、盛り上がるべきシーンでも、それほど盛り上がらずに、微かに聞こえる何かの音色を感じながら、VFX満載のバトルを繰り広げる、
というシーンが多くなってしまっています。
あと、アクション自体は、武術系のアクションではなく、型をバッチリ決めながら戦う、というよりも少し見栄えが良さ目の争い、といった感じになっています。
このビジュアルなので、超絶武侠アクションを期待したいところですが、本作はそこを深く描く作品では無さそうなので、しょうがありません。
ただ、近年の中国作品にありがちな、動けないキャストを誤魔化すためにワイヤーで不必要にクルクル回転したり、ワイヤーで横にス~っと吊られているだけだったり、
むやみにカット割りを多用して結果何をやっているのか全然分からないようなアクションに比べたら、本作のアクションは、
非武術系ではありますが、何をやっているか分かります(当たり前ですが)し、数段カッコ良く見えますので、アクション作品としては、こちらの方が良いのではないでしょうか。
という事で、DVDジャケットのイメージと内容の相違や、宣伝不足が目立つ本作ではありますが、娯楽作品として十分楽しめる作品となっていますので、
機会がありましたらご鑑賞ください。
あと、なんとなくですが、本作、元々は3D作品なのではないでしょうか。それを思わせるようなカットが結構ありましたので。
作品情報
2018年製作 中国製作 アクション
監督 ハスチョロー 制作 ジャン・ジャック・アノー
出演 ウィリアム・チャン、リン・ユン、フー・ジュン
その他の中国武侠作品
香港映画の名作(ミラクルマスター)のリメイク作(バトル・オブ・ダンジア)はこちら
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