お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
ファン・ビンビン、ホアン・シャオミン主演、(墨攻)のジェイコブ・チャン監督で描く、有名小説(白髪魔女伝)の再映画化作品!!前作をリスペクトしたレスリー・チャンの主題歌が哀愁を誘います!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、中国の有名武侠小説を、ジェイコブ・チャン監督が豪華に映像化した武侠アクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
明朝末期、武当派の卓一航は、皇帝に薬を届ける任務に就くが、宮廷内の謀略によって、偽の薬とすり替えられ、皇帝は亡くなってしまう。
濡れ衣を着せられた武当派の窮地を救うために政略結婚を受け入れる卓一航だったが、彼には旅の途中に出会った義賊、玉羅刹との永遠の愛を既に誓っていたのだった、、。
卓一航結婚の知らせを聞いた玉羅刹は、悲しみに暮れ、美しい髪は一挙に白髪と化し、鬼神と化すのだった!?
梁羽生の人気小説(白髪魔女伝)の再映画化で、これまでも何度も映像化されている物語です。
有名なところではレスリー・チャン主演の(キラーウルフ白髪魔女伝)や、続編の(白髪魔女伝2)、最近では中国側のスタッフ・キャストで製作された(白髪魔女記)(詳しくはこちら)なども製作されました。
本作は2014年に製作されていますので、中国・香港合作ながらも、まだまだ香港側の手腕の光るエンターテイメントな武侠アクションとなっています。
監督は(墨攻)や(流星)などのジェイコブ・チャン、アクション監督に(ザ・ルーキーズ)(詳しくはこちら)などのトン・ワイという事で、
歴史ロマンとしての側面もありつつ、香港映画節全開の超絶アクションの光る武侠アクションとなっています。
この後に製作された(白髪魔女記)のアクションは、残念ながらワイヤーで吊られているだけの強さの全く伝わってこないアクションばかりとなってしまっていたので、
おそらく、今後製作される作品も似たような作品になると思われますので、2014年に製作された本作が、最後の香港節の効いた(白髪魔女伝)の映像化と言っても言い過ぎではないかもしれません。
それぐらいに、同じ原作ながらも、その後に製作された新作と本作のアクションのレベルの違いがはっきりしている作風となっています。
同じ原作なので、大筋としては同じ流れではありますが、本作はジェイコブ・チャンが監督しているという事もあり、本筋とは少し離れている合戦シーンなどにも予算がかけられ、
倒すべきラスボスも、宮廷内の覇権争いがらみ、という歴史ドラマ的な側面も膨らませています。
そのため、新作の方にはなかった、おおがかりな大作感も十分出ていますし、その歴史の大きな流れの中で、主人公たちが所属する武当派や、
玉羅刹(後の白髪魔女)が所属する義賊集団が巻き込まれていく、という歴史ドラマとして楽しむ事もできます。
そんな本作一番の魅力は、なんといってもファン・ビンビンとホアン・シャオミンという超人気の美男美女をキャスティングできた事に尽きると思われます。
とにかく外見が整っていて、さらに感情表現も豊かなので、歴史の波にのまれて、翻弄され、悲劇的な運命を辿ることになる男女の悲哀を、思い入れたっぷりに好演しています。
何度も映画化されている物語ですので、どのようになるかは分かっていても、それでも涙腺が緩むのは、この主演二人の実力に他なりません。
特に師匠の教えで、男性を全く信用していない玉羅刹(白髪魔女)が、主人公の卓一航に出会って、いつのまにか愛を覚えるようになるあたりで、
それまでの弱点のない無敵の女剣士から、一挙に人間味の溢れる、愛する人、守るべき人を持つ女性へと変わっていく姿は、(白髪魔女伝)の映像化作品の中でもレスリー・チャン主演の前作に次ぐ魅力的な展開となっています。
その主演二人に戦いを挑むのは、(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ)シリーズや(カンフーリーグ)(詳しくはこちら)などでのウォン・フェイホン役で有名なチウ・マンチェクです。
色々と撮影中の問題行動などがある人のようですが、アクションスターとしては、本作でも、ラスボス役として後半キレの良いアクションで、実力を発揮していますので、
主演二人がアクション俳優でない分、アクションシーンに深みを出す意味でも非常に盛り上がるラストバトルとなっていました。
ただ、活躍するシーンがほとんど後半のみだったのが少し残念です。
そういえば、ファン・ビンビンも本作以降に、良くないニュースで話題となってしまいましたが、、。
あと、ファン・ビンビンの師匠役で、伝説のセシリア・イップが出演しているのも嬉しいところです。
そんなキャストのアクション面での魅力を最大限に引き出しているアクション監督のトン・ワイは、その昔日本でも放映されていたテレビシリーズ(香港カンフードラゴン少林寺)や
(霊幻百鬼)、(燃えよデブゴン9)(詳しくはこちら)の主演で知られ、アクション監督に転身後も(妖魔伝レザレクション)や、(レイン・オブ・アサシン)などの傑作も多く、
現在までで香港アカデミー賞の最優秀アクション監督賞を6度も受賞しているほどの実力者となっています。
そんなトン・ワイが指導するアクションは、どのアクションも非常にカッコ良く、ただ塀から飛び降りる、馬から飛び降りるだけのなんでもないアクションを、
その動作を見ているだけでカッコ良いと思えてしまうぐらいにバシッと決まるアクションが満載となっています。
トン・ワイにかかれば、非アクション系のファン・ビンビンでも完全に強い女性剣士に早変わりするから不思議です。
何故、新作の方にはこの魅力を少しも感じられないのか?と疑問に思いますが、同じ原作でもそれを表現する側の実力の違いで、全く印象の違う作品になる、という好例ではないかと思われます。
とにかく、登場するキャラクターが全員強そうに見える、という武侠映画に絶対に必要な要素がしっかりと揃っている作品となっています。
物語展開としては、永遠の愛を誓った男女が、その行き違いから、すれ違うようになってしまい、愛を失ったと思い込んだ玉羅刹が、
一挙に白髪となり、魔女のようになってしまう、という大筋となっています。
ただ、本作、後半、白髪になるまでの展開は非常に丁寧にアクションもドラマもしっかり描かれているのですが、
この一番の見せ場ともいえる白髪魔女誕生シーン以降、そこからクライマックスにかけてが一番盛り上がるはずですが、
何故かここで、一旦問題は解決し、主人公と白髪魔女が暫く普通に幸せにしている時間を過ごしたりします。
玉羅刹は、悲しみのあまり、一瞬んで長い髪が真っ白になってしまたのに、です。
で、一旦リセットしあた後に、チウ・マンチェクによる玉羅刹の仲間たちの虐殺などの裏切り行為などが急速に進み、主人公二人は捕らえられてしまいます。
で、もうこの危機を乗り切るには、玉羅刹の師匠より伝授され封印していた【絶情心法】という、獣のように絶大なパワーを身に着けるごとができる禁断の技しかない、という事になります。
ただ、それまでの記憶なども一切消えてしまうので、その技を使えば危機は脱する事ができたとしても、もう愛する人の事も記憶からなくなり、自分は別人になってしまう、という究極の選択です。
正直チャウ・シンチーの傑作(チャイニーズオデッセイ)シリーズののラストと全く同じ展開ではありますが、設定としては泣ける展開です。
で、結局、奥義皆伝とい事で、ラストバトルへと展開することになりますが、どう考えても、ここで白髪になるべきでした。
ここで、奥義皆伝とともに白髪なって外見も中身も別人になってしまうと、それだけで涙を誘う展開にもなったはずで、
すでに白髪になった後で、奥義皆伝前と後での違いがほとんどないのが、非常にもったいないラストとなっています。
結局白髪になった割には、問題なく暫く過ごしていたので、ドラマ的に白髪になった意味もあまり無くなってしまっていました。
という事で、白髪になるまでが非常に丁寧で魅力的な展開でしたので、後半謎のリセットの後の急激展開が非常に勿体ない作品となっていますが、
それでも、武侠アクション作品として十分すぎるほどにアクションシーンを楽しめる作品となっていますので、
アクション好きの方や、最近の中国製の武侠アクション好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、前作をリスペクトしたレスリー・チャンの主題歌がラストシーンに重なって流れて非常に泣けますので、レスリーファンの方は必見ですよ。
作品情報
2014年製作 香港・中国製作 武侠アクション
監督 ジェイコブ・チャン 美術監督 ツイ・ハーク アクション指導 トン・ワイ
出演 ホァン・シャオミン、ファン・ビンビン、チウ・マンチェク、ワン・シュエピン、ニー・ダーホン
その他の武侠ファンタジー作品
有名ウェブ小説を実際で映像化したチン・シウトン監督の武侠作品(ジェイドダイナスティ)はこちら
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