お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
銀行強盗犯VSその場に居合わせた訳ありのシングルマザー!!良くある銀行強盗犯立て籠もりサスペンスと思いきや、後半予想外な方向に展開する、スペイン製作の手に汗握るエンターテイメント!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、スペイン製作の銀行強盗犯との攻防を描いたサスペンスアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
社会福祉局に娘を奪われたラケル(エマ・スアレス)は、法の抜け道を使って3万5000ユーロの賄賂を渡して、娘を取り戻そうとしていた。
銀行を訪れたラケルは、支店長に事情を説明し、なんとか融資を取り付け、その手続きを完了しようとしたその時、
2人組の銀行強盗が乱入し、そのまま籠城事件へと発展してしまうのだった!?
スペイン製作の銀行強盗籠城サスペンスです。
原題の(70ビンラディン)とは、滅多に見る事ができない500ユーロ紙幣を、同じように滅多に見る事がないビンラディンに例えて、
500ユーロを1ビンラディンとして、70ビンラディン=3万5000ユーロ という意味で使用されています。
籠城サスペンスで思い出されるのは、アル・パチーノ主演の名作(狼たちの午後)や、ジョディ・フォスター、デンゼル・ワシントン共演の(インサイドマン)、
最近ではイーサン・ホーク主演の(ストックホルムケース)(詳しくはこちら)など、犯罪サスペンスの中では一つの人気ジャンルとなっています。
で、本作ですが、本作はまず出だしで、幼い子供が何者かに預けられるシーンから始まります。
特に緊迫した危険は無さそうながらも、母親とは離ればなれになっている状態、という事が分かります。
しかも、その周りには黒服の屈強な男たちがいる、というこのファーストシーンだけで、何かがこの先起こりそうな雰囲気が漂って、いきなり心を鷲掴みにされてしまいますが、
そこから繋がるシーンで、いよいよ主人公が、登場します。
主人公は、銀行の支店長と面談し、娘に対する自身の保護能力のなさを理由に、社会福祉局に娘を保護されて引き離されてしまう状況にあって、
担当者に賄賂を払えば、法の抜け道を使って娘を取り返せる、ので3万5000ユーロ(70ビンラディン)を融資して欲しいと訴えてきます。
スペイン事情にあまり詳しくないので、そんな事がありえるのかどうかは分かりませんが、一応物語上はそうなっていますので、
主人公のシングルマザーは必至で銀行の支店長を説得します。
で、支店長もなんとか、その融資の話に乗ってあげるつもりはあるようですが、支店の営業はあと20分で閉店となってしまうので、支店での手続きは無理だが、
特別に本店に掛け合えば、まだ営業時間に少し余裕があるので、なんとか今日中に手続きでき、融資の話も進める事ができると言われます。
で、そのまま、担当者に業務を任せ、PCで担当者が口座開設の手続きを進めて、あと2クリック程度で手続き完了、、、
という、まさかのタイミングで、二人組の銀行強盗が乱入してきます。
この時点で、本店の営業時間のタイムリミットはあと3時間ほど。お金は明日朝に必ず必要なので、どうしても本日中に融資の手続きをしなければいけません。
そんな状況で、銀行強盗犯は、ワイルドで粗野な女性とドラッグ中毒で何をしでかすか分からない男性の二人組で、案の定ドラッグ中毒の方の問題行動で、結局籠城することになります。
ここから、主人公のタイムリミットサスペンスと、銀行強盗犯と警察との籠城サスペンスとが非常に上手く重なり合いながら物語は進んでいきます。
しかも、主人公は大手銀行の支店長を相手取って融資の説得をしたり、賄賂を使って娘を取り戻す道筋を作れるほどに利発な面を持っている女性です。
人質となりながらも、何とかして、警察との交渉の間に入ったり、などタイムリミットまでになんとか、融資手続きの残りを完遂できるように、
あの手この手をつかって巧みに3万5000ユーロを得ようとします。
中盤からは、この主人公がいかにして融資金を受け取るのか?という部分にもスポットが当たっていきます。
さらに、警察の交渉人との間に入って、犯人の代わりに電話での犯人側の要求なども伝えながら、まさかのそのメッセージの中に暗号を混ぜて、
犯人には分からないように現場の状況を伝えたりしていく、というまるで、スパイ映画のような活躍も見せていきます。
流石に、そこまでいくと、現実感が少し薄れてしまいますが、警察側にも、たまたま利発な担当者がいたためにこの暗号を解読していきます。
そんな緊迫した状況の仲、やはりまたドラッグ中毒の方の犯人の問題行動で、後半になって、この籠城事件は大きな展開を迎えます。
そこを書いてしまうと、作品の楽しみが半減してしまいますので、割愛させていただきますが、
後半の展開は、まず予測できないような意表を突いた展開となっています。
そこからラストにかけては非常にテンポが速く、その合間に、籠城事件中に起きていたちょっとした秘密を見せていく事で、
主人公の利発さがさらに際立つような仕掛けになっています。
ちょっと展開が急すぎて、気持ちが追い付かない面もありますが、矢継ぎ早に展開されるラストの最後の最後に待っている主人公の本当の笑顔にすべてが救われる、
そんな余韻を残すラストとなっています。
というように、本作は、サスペンスの王道でありながらも、捻りの効いた設定と物語展開で、常に飽きる事のない秀作サスペンスとなっていますので、
サスペンス好きの方やアクション作品好きの方など、機会がありましたら、是非ご鑑賞ください。
それにしても、銀行で籠城事件中にサッカーの試合をテレビで観戦する(犯人側も警察側も)シーンがありますが、お国柄でしょうか、、、。
それとも緊張と緩和というやつでしょうか。この作品の中盤に緩和はいらないと思うのですが、、。
作品情報
2018年製作 スペイン製作 サスペンスアクション
監督 コルド・セラ
出演 エマ・スアレス、ナタリー・ボサ、ウーゴ・シルバ、ダニエル・へレス・ブラダ、バルバラ・ゴエナガ
その他の捻りの効いた作品
目覚めたら、救命装置の中だった、というシチュエーションサスペンス(オキシジェン)はこちら
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