修行度 🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥
サメパニックものにオカルト要素を強引に付け足した、終始ホームビデオな雰囲気に包まれた、さっき、近所でスマホで撮影した感満載のサメの霊に取り憑かれる人々を描いた仰天ホラー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、サメパニックものにエクソシストなどのオカルトものをミックスしたホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
アメリカの片田舎にある平和な田舎町。
そこである日突然、遊泳中の若者が鮫に襲われる事件が発生する。
一命を取り留めた若者もいたが、何故か様子が変わっていた。
その若者は、やたらと水辺に行きたくなり、ついには他者をも襲い出す。
やがて小さな町はパニックとなり、事態を終息させるために、ある人物が動き出す!?
サメパニックとオカルト、というどう考えても相反する要素を強引にミックスさせたB級サメパニック作品です。
B級というか、Z級ぐらいでしょうか、、。
二つのホラージャンルを融合してみる、という発想自体はアサイラム社の大ヒットシリーズ(シャークネード)シリーズのように破天荒な設定とストーリーが
意外にマッチしてしまうパターンもあるのですが、
それは、一定以上のレベルの予算と実力を兼ね備えてこそ、成功するのであって、本作では、そのどちらの要素も全く水準レベルまで達していないために、
なかなかの高度な修行レベルの作品となっています。
もしかしたら、B級作品修行の心理を開眼するのでは?というぐらいのレベルです。
その全体を包むホームムービー感(演出的にわざとオフビート感を出す、といった高度なものではなく本当の意味のホームムービーです)は、
開幕早々に観始めてしまった事を後悔するレベルで、登場する人物も、おそらく数人を除き、ほぼ素人だと思われます。
出演者も同じ苗字のキャストが複数いますので、恐らく家族か親戚関係や、友達などで寄り集まって撮影したのではないでしょうか。
そのため、あまり興味本位で見てはいけないような、知らない他人のプライベートビデオを見てる感覚に襲われます。
さらに、通常、こういったB級作品では、予算の都合もあり、出演者はできるだけ少なく済むような展開になる事が多いのですが、
本作は、田舎町が舞台のわりに、なんだかんだと、重要ではないキャラクターがちょっとづつ、割と多数登場します。
それだけ、友達が多い、という事なのかもしれませんが、71分というあまりに短い上映時間の中に、主役か?と思ってしまうぐらいに急に物語の中心に居座るキャラクターも複数バランス悪く登場しますので、
誰が、何をして、何が起こって、どう対処しようとしているのか、などがブレブレで、全く掴めません。
サメに襲われたギャルがその後、サメに取り憑かれたようで、他の男子に襲い掛かる、という展開になりますが、それは元々、その辺にいた悪霊が、サメに取り憑いてそのサメにギャルが襲われたから乗り移ったのか?
元々サメの悪霊がギャルに乗り移っただけなのか、さっぱりわかりません。
そもそもサメって人に取り憑くのか?という事もありますが、、。
また、サメパニックに対抗する霊媒師的な人物も、自分に霊を憑依させる、という動画を撮影している(カメラマンは途中で『付き合ってられるか』と言ってどっかに言ってしまいますが)ゴツイ体形のお色気過剰気味のお姉さん霊媒師や、
中盤暗がりで、いきなり登場して、数人で輪になって、自分に霊を憑依させている謎のシーンで登場の黒人女性霊媒師、
この湖に生息するサメ(湖でも生きているのは特別だから、だそうです。その特別な理由を説明して欲しいですが)について何故か詳しい神父、
と合計3人も自分が主人公のように登場します。
結局、物語に大きく影響するのは神父のみですが、、。
という感じに71分間で、色々なお友達が登場しますが、それぞれ、なかなに脱力な要素をもっています。
まずは、サメに襲われるギャルの肩には日本語で【天使】という、とてもカッコ悪いタトゥーが目立つのはご愛敬。
次に、ゴツ目の霊媒師の悪霊が憑依したシーンでの、白目のみでそれを表現してしまう、というある意味驚愕のシーン(観ている側の想像力での補正が必要ですね、、)。
中盤以降、サメに憑依されたギャルが他者を襲う時に、急にドン・キホーテで購入してきたパーティグッズ的な牙のおもちゃの入歯装着で襲い掛かるシーン。
後半に活躍する神父は、一応それなりに安定した演技(それなりにです)で、期待感を煽りますが、登場するたびに(エクソシスト)風のアレンジのBGMが流れるので、登場するたびに新喜劇のコントのようになってしまう霊媒師A。
さらに、後半のクライマックスにはギャルに取り憑いたサメの悪霊を追い払うために除霊が行われますが、結局最終的に何がどうなったのか、良く分からない状態で終幕となります。
そんな感じで、終始良く分からないシーンの連続の後には、解決したのかも良く分からないのに、またサメが他の人を襲っていく、というホラー作品としてはありがちな終わり方で終幕となります。
最後まで鑑賞しても、色々な理由で、物語を良く理解できない作品ですが、その理由の一つに、通常サメパニックの見せ場の一つである、サメに襲われるシーンが一つもない、という事もあります。
予算の都合もあるとは思いますが、少しでも少ない予算で、そういったシーンを上手く入れて行こうという努力は本作には全くありません。
サメに人が襲われる、というシーンはちゃんと存在するのですが、本作の場合、そのサメに襲われている重要なシーンは、
襲われている被害者は一切画面に映さずに、一緒にその場にいる友達が見て悲鳴を上げている、というシーンで全て処理されています。
演出でわざと見せないようにして、後半に引っ張って期待感を煽っている、などといった演出技法的な事ではなく、ずっと最後まで、その調子です。
おそらく、ただ単にそれは、それでいいや、という考えのもとに撮影されたシーンだと思われます。
中盤で天使タトゥーギャルがサメに襲われ、救急車を呼ばないと命の危険がある、という重要なシーンがありますが、
そのサメに襲われた傷も、まさかのキャベツを切っていたら、ちょっと指を切ってしまった程度の切り傷で表現されていました。
少なくとも、そんな少量の出血しかない状態で、よく救急車呼んだな、というレベルの傷です。
最初見た時は、どう解釈して良いのかも分からない表現でしたが、要するにそういったレベルの表現しかできない作品なので、足りない部分は観ている側の補正作業が必要な作品という事になるかと思います。
造り手と観客の共同作業。
という事で、鑑賞後も、本作をサメパニック作品ととらえて良いのかも良く分かりませんが、
確実に言えるのは、本作を最後まで鑑賞し、もし本作のなかに、その少ない良さを見出す事ができるなら、他のどんな評判の良くない作品も、
ビッグバジェットの超大作として楽しむことができる、ある意味、修行映画の王道作品と言っても過言ではないのではないでしょうか。
というか、こういう作品が製作国以外で、普通にパッケージソフトとして誰でも鑑賞できる状況にある事自体が凄い事のように感じてしまいますね、、。
そういった作品ですので、ご鑑賞の際には、覚悟を決めてご鑑賞ください。
個人的には、71分が長いと感じてしまいましたので、まだまだ修行がたりませんね、、。
作品情報
2015年製作 アメリカ製作 サメパニック
監督・脚本 ドナルド・ファーマー
出演 アンジェラ・ケレック、ボビー・ケレック、チャニング・ドットソン、マディソン・コーニー
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