お薦め度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾンビ感染から回復した者たちと、それを受け入れなければならない地域社会の人間ドラマ。異色の変化球ゾンビ映画!!
作品紹介
2020年3月20日公開
今回ご紹介するのは、ゾンビウィルス感染者のその後を描いた異色のゾンビドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
ゾンビウィルスが蔓延し、その後治療薬が開発された近未来のアイルランド。
回復者のセナン(サム・キーリー)は、施設を退院し、義姉親子と共に郊外で新しい生活を始めていた。
しかし、周りの地域住民は、かつてウィルスに感染していたセナンを迫害し、人間扱いはしなかった。
そんな時、施設で一緒だったコナー(トム・ボーン・ローラー)が健常者に対して、反撃するべく、
過激なテロ行為を計画していた。
セナンも組織に入るように勧誘されたが、その暴力的すぎる行動理念に次第に反発するようになっていった。
アイルランド製作(といってもほぼ、ハリウッド作品と変わりはありませんが)の変化球ゾンビ映画です。
ゾンビという言葉自体は劇中で使用されませんが、基本的にウィルス感染者は、ほとんどゾンビ同様の特性があるようなので、
ゾンビ映画と言い切っても良さそうな内容となっています。
ただ、ゾンビウィルスが蔓延して、その後6年ほどがたち、治療薬も開発され、その薬によって回復した者たちが、
社会に復帰し始めた時期から始まる物語ですので、ゾンビ映画の中では、かなり異色の内容となっています。
似たような内容では、ゾンビウィルスに感染した娘を持つ父親の苦悩を描いた、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の(マギー)などに
割と近い内容の作品となっています。
ゾンビ映画ではありますが、難病もの的な側面があり、その難病に対して本人や、周りの人間のあり方を
あくまでヒューマンドラマとして描いている点が、本作と共通点として挙げられます。
本作の場合は、前半は、かつてゾンビとして他人を傷つけた者(本人の意思に関わりなくですが)に対する周りの猜疑心と
忌嫌う者としての迫害、などの人間ドラマを盛り込みつつ、
後半は回復者(キュアード)と人間との埋められない溝から、ついに戦いへと発展していき、
前半では描かれなかった、修羅場が描かれていくようになっていきます。
ですので、中盤までは大人しいドラマ映画ですが、後半はしっかりとゾンビムービーらしさが全開となります。
ゾンビウィルス感染の治療成功後の世界、という今までなかったような設定ですので、
その設定から、今までゾンビ作品にはなかった物語展開が加えられていました。
その中で目を見張るのは、回復者は体内に微量なゾンビウィルスが残っているよために、
現役の感染者(要するにゾンビ)からは仲間と判断されるようで、回復者は襲われない、という設定です。
これによって、ゾンビが暴れまわっている状況でも、回復者自身はゾンビに襲われないので、
子供が危険に晒されている場合など普通に走って助けに行ったりできるのです。
ただ、子供自身は襲われるので、自分の身を挺して守らなければいけませんが。
このありそうでなかった、珍しい設定が後半のサスペンスを結構盛り上げていますので、その分確実に物語に深みが増す展開となっています。
キャスト面では主人公のサム・キーリーは優しすぎる元ゾンビを好演していて、諸悪の根源であるトム・ボーン・ローラーとの対比が凄く良く出ています。
義姉役のエレン・ペイジも(ジュノ)、(Xメン)の少女が懐かしいですが、説得力のある母親役を好演していました。
というわけで、本作はゾンビ映画ではありますが、どちらかというとゾンビ映画の体裁を借りた人間ドラマ的な側面の多い作品となっていますので、
ドラマ好きの方や、通常のゾンビ作品に飽きてしまった方などが、楽しめる内容となっていますので、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
ラストの少しだけ希望のある終わり方が、ちょっと良い感じですよ。
作品情報
2017年製作 アイルランド・フランス製作 ゾンビドラマ
監督 デビッド・フレイン
出演 エレン・ペイジ、サム・キーリー、トム・ボーン・ローラー、スチュアート・グラハム
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