おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
首の後ろに発症した腫瘍が肥大化し、ついにはまるで胎児のように発育していく、オカルトホラーから始まり、あまりに独創的なSF世界へと展開していく、(グリズリー)のウィリアム・ガードナーの遺作となったジャンルの垣根を越えたオカルトSFアドベンチャーホラー!!
作品紹介
1978年4月15日公開
今回ご紹介する作品は、オカルトホラーからSFアドベンチャーへと捻られる独創的なホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
首の後ろに小さな腫瘍ができたカレンが、手術を受ける事が決定した。
その直後から不可解が出来事に悩まされていたカレンは、悩みを知人の占い師ハリーに打ち明け、手術の日を迎えるが、
切開手術を始めようと、医師がメスを握った途端に何かの意思が働いて、医師が自分で自分自身を傷つけてしまう、という不可解な出来事が発生した。
その後も、手術ができないままにカレンの腫瘍は肥大化していき、ついには人間の胎児のように成長を遂げていくのだった。
そして、何か邪悪な存在を確信したハリーは、識者の助言に従い、呪術師のジョンのもとを訪ねるのだった!?
監督は、(グリズリー)や(アニマル大戦争)等のウィリアム・ガードラーで、遺作となってしまった本作で、
それまでの集大成のような、オドロキのびっくり世界観のオカルトホラーを演出しています。
主演の占い師役には、(お熱いのがお好き)や(手錠のままの脱獄)等の名優トニー・カーティスが演じ、元カノのために命がけで戦いに挑んで行きます。
で、被害に合う女性役で、(ジェット・ローラーコースター)や(デルタフォース)等のスーザン・ストラスバーグが登場し、散々な目に合っていきます。
で、後半頼もしい助っ人となる呪術師役で、(悪魔の赤ちゃん)や(地球の危機)等のマイケル・アンサラが登場し、後半はほとんど主人公のように活躍して行きます。
で、担当医役で、(エアポート‘80)や(デスハント)等のジョン・セダーが登場し、トニーと激突しながらも、問題に向き合っていきます。
で、トニーの師匠兼友人でもある霊媒師役で、(ポセイドンアドベンチャー)や(底抜け大学教授)等の
ステラ・スティーヴンスが登場し、後半の方向性を示していきます。
そんなスタッフ・キャストで製作された本作の物語は、サンフランシスコで叔母と暮らす女性カレンが、
首の後ろにできた腫瘍を治療するために外科医師のヒューズ(ジョン・セダー)のもとを訪れるシーンから始まります。
その症状が非常に変わっていて、時々意思を持っているように動く、という事でX線を照射して詳しく調べてみたところ、
腫瘍内部に、まさかの胎児のような何かの存在を確認する事で、事態は大事になっていきます。
前代未聞の出来事ですが、とにかくこのまま腫瘍が肥大化して行けば、カレンの命に関わるという事で手術が決定します。
で、手術は決定しましたが、不安でたまらないカレンは、元カレの占い師ハリー(トニー・カーティス)に連絡し、悩みごとを打ち明けます。
で、再び愛が再熱する二人ですが、深夜遅く、寝入っていたカレンが、
『パナ ウイチィ サリドゥ。』
という理解不応な寝言を言い、心配が募るハリーですが、そのまま手術へと送り出し、自身はタロット占いの来客の予約がありますので仕事に戻ります。
で、高齢の女性のタロットを開始すると、途中からどうも様子がおかしく、タロットの占いも、ことごとく死をイメージする結果となり、
しまいには、突然女性が立ち上がり、
『パナ ウイチィ サリドゥ。』
と叫んで、そのまま階段から飛び落ちるように転げ落ち、命を失ってしまいます。
この連続で発生している不可解な出来事にイヤな予感を感じたハリーは病院へと急ぎますが、病院では、
なんらかの事故によって手術を一旦中断するという手術の失敗があり、ハリーはヒューズ医師に詳細を訪ねますが、
患者の体調が急変したのでできなかったと聞かされます。
しかし、実際は、手術開始直前に、何らかの意思が働いて、ヒューズ自身が自分で自分の手をメスで切手しまう、という非科学的な出来事が原因で、手術が取りやめとなっていたのでした。
そんな不可解な出来事の連続に、何か邪悪な力が働いていると直感したハリーは、自身の占いの師匠であり、友人でもある祈祷師アメリア(ステラ・スティーヴンス)に助けを求めます。
で、邪悪な存在を確信したアメリアは、降霊会によって、邪悪な存在の正体を暴こうとしますが、敵の力があまりに強大すぎて失敗に終わってしまいます。
で、有名な著書を出版している教授のもとを訪ねると、それは大昔の呪術師の呪いによるもので、邪悪な呪術師が、自らを復活させるために、
条件の合う女子の身体に憑りついてこの世に復活しようと試みているという事が分かります。
で、火には火、呪術師には呪術師だ、という事で、先住民居住区に棲む呪術師ジョン(マイケル・アンサラ)を訪ねる事になります。
で、ジョンという強力な助っ人を得たハリーは、邪悪な呪術師のこの世への復活を阻止するために、カレンの病室を訪ねる、、、、、というのが大体の大筋となっています。
正体不明の腫瘍が肥大していく、という恐ろしい物語に、(エクソシスト)のようなオカルト展開を交えて、
やがて、降霊術あたりから本格的な対悪魔との対峙と、強力な助っ人の登場によって、完全な邪悪な存在との呪術合戦に突入していく、
というおどろおどろしくも、しっかりと娯楽要素のあるホラー作品となっています。
原作を一読して直ぐに気にいった監督のウィリアム・ガードナーが、映画化権を獲得し、さらにドラマチックな要素を加味して実写化した作品となっていて、
非常に映画的で、緊迫感満載のオカルトホラーですが、本作の魅力は、そんな程度では収まらず、一度観たら絶対に忘れられないオカルトホラーの枠組みを越えたクライマックスの展開に、
ウィリアム・ガードナーの唯一無二のセンスが集約されています。
※↓クライマックスの展開に触れていますので、ご注意下さい↓※
直接対決する事となったジョン&ハリーは、病院で、物凄いサイズになった腫瘍を目撃しますが、最終的には、ついに
その腫瘍から邪悪な呪術師が誕生します。
しかし、まだ完全復活ではない呪術師は、邪悪な呪術を使って、木のトカゲの霊を呼び出してヒューズ医師を襲せたり、
古き邪悪な霊を呼び寄せて、この世を地獄を変えようとします。
そこで、ハリーが、苦し紛れにその辺にあるワープロを投げた時に、意外に呪術師にクリーンヒットした事実から、
コンピューターに宿る霊を呼び寄せて、悪魔を追い払う
という常識を超えた方法で、呪術師&悪魔に対抗する作戦を思いつきます。
で、準備を整え、カレンの病室へと向かいますが、、、、、
、、、、呪術師の呪術によって、
病室の廊下は、氷が張り詰めた洞窟の様に様変わりし、受付の看護師さんは手を挙げた状態で凍ってしまっています。
それでも、なんとか病室に辿り着き、部屋に入ってみると、、、、
宇宙!!!
宇宙!!!
宇宙!!!
という、常識や映画のジャンルを超えたまさかの未知なる空間が漂っています。
呆気にとられる二人ですが、それでも呪術師を倒す、という大きな目的がありますので、とりあえず作戦通りに事を進めていきます。
宇宙空間で。
で、ヒューズ医師がコンピューターの電源を一斉に入れて、ジョンの祈りとシンクロさせようとします、、、、
、、、、、が、
白人が作ったコンピューターに宿る霊は、白人にしか集まらない
という、これまた常識を超越した理論のために失敗、そして占い師としての一面を持つハリーが今度はシンクロに挑戦します。
で、コンピューターが一挙に唸り出し、、、、ビリビリっと電気が走り、、、、、
、、、ついに、ハリーの身体、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、、
、、、、ではなく、ムクっと起き上がった素っ裸のカレンが、、、、、
、、、、『えいっ!!』とばかりに手をかざすと、、、
シュビィィィィン!!!!
シュビィィィィィィィン!!!!!
と
手のひらからビームを発射します。
しかし、呪術師も手をこまねいているわけではなく、得意の邪悪な呪術を使って、、、、
、、、、、、
ゴゴゴゴゴォォォォォォ!!!!
と、
宇宙空間を漂う隕石を投げつけてきます。
で、隕石をひょいひょいと避けるジョン&ハリー、ビーム攻撃を連発するカレン、
という攻防が暫く続き、
最終的にカレンの気合を込めた会心の一撃によって邪悪な悪魔と呪術師は木っ端みじんに吹っ飛んで、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、
めでたしめでたし!!
んな、アホな!!
という事で、トンデモ・オブ・ザ・ベストと言っても良いぐらいに独創性に溢れた作品となっていますので、
ホラー好き、SF好き、変わった映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1978年製作 アメリカ製作 オカルトホラー
監督・製作・脚本 ウィリアム・ガードラー 原作 グレアム・マスタートン
出演 トニー・カーティス、スーザン・ストラスバーグ、マイケル・アンサラ、ステラ・スティーヴンス、ジョン・セダー、アン・サザーン
↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓
映画評論・レビューランキング
にほんブログ村
まぁくさん、こんにちは。久し振りにコメント致します。
この映画「マニトウ」は、B級ホラー映画だが見せ場が多く、ワクワクする楽しさに満ち溢れた、ごきげんな映画ですね。
この映画の題名の「マニトウ」というのは、インディアンの言葉で精霊という事らしいのですが、この映画の場合は、”呪術師の悪霊”の事を指していますね。
四百年前に死んだ”ミスカマカス”というインディアンの霊が、サンフランシスコに住む若い女性(スーザン・ストラスバーグ)の体を借りて、現代に再生しようとします。
この女性の首すじに出来たおできが、みるみるうちに大きくなり、その中に何か胎児のようなものがいるというので、主治医は頭を抱え込んでしまいます。
なにしろメスで切開しようとすると、その医師の手が意志に反して、自分の左手首を切ってしまうし、レーザーを使おうとすれば、機械が勝手に動いて、手術室を滅茶苦茶にしてしまうというように、とにかく破天荒でとんでもない展開になっていきます。
この映画の監督、脚本のウィリアム・ガードラーは、この映画の完成直後に、29歳の若さで事故死してしまったそうですが、これも何かこの映画の祟りではないかと当時、真面目に語られていたというエピソードが残っていますね。
このウィリアム・ガードラー監督は、この映画を撮る前に、「アニマル大戦争」や「グリズリー」などの恐怖映画を撮っていて、よほどこの手の恐怖映画が好きだったのだろうと思います。
映画のストーリーを運ぶ場面の演出は未熟な感じがしますが、しかし、恐怖シーンの演出はホラー映画ファンが見たがりそうなものを、これでもか、これでもかと一所懸命に見せようとしているところは、おーやってる、やってるという感じがして、非常に好感が持てますね。
“ミスカマカス”が呼び起こした北風の霊が、病院内部を吹き荒れて、ナースの首がちぎれ飛ぶところのはったりの効いた演出は、恐怖を通り越して思わず笑ってしまうほど、観ていて微笑ましいくらいです。
若い女性役のスーザン・ストラスバーグは、かのアクターズ・スタジオの創設者の一人で、メソッド演技の指導者として有名なリー・ストラスバーグの娘さんで、この映画では文字通り、体当たりの熱演を披露しています。
この女性には、往年の人気スターで「お熱いのがお好き」や「手錠のままの脱獄」で有名なトニー・カーティスの恋人がいて、中年の女性客を専門に、タロウ・カードのインチキ占い師をやっていますが、これがまた、トニー・カーティスのどこか女たらしで安っぽい感じのキャラクターが、この役にぴったりのはまり役で、それを嬉々として演じている姿は、我々映画ファンを大いに楽しませてくれます。
このトニー・カーティスを見ると、つい日本語吹き替え時の広川太一郎さんの軽妙洒脱な吹き替えを思い出してしまいますね。
実際のトニー・カーティスの声は、少しハスキーな、かすれた声で、最初に生の声を聴いた時に、アレッと思いましたね。
この調子のいい男が、恋人の危機にだんだん真剣になって来て、悪霊と戦う気になっていくというプロセスが、この映画の見どころの一つにもなっています。
トニー・カーティスのインチキ占い師は、旧知の女霊媒師のステラ・スティーヴンスの助けを借りて、悪霊の正体を突き止め、現役のインディアン呪術師のマイケル・アンサラを病院へ連れて行って、”ミスカマカス”を霊界へ追い返そうとします。
ステラ・スティーヴンスは、「砂漠の流れ者」「ポセイドン・アドベンチャー」での演技が印象に残っている女優さんですね。
しかし、これがうまくいかなくて、背中一杯に膨れた瘤から、ぬめぬめと肌を光らせた不気味な悪霊が誕生して来ます。
この悪霊の魔力で、廊下が氷詰めになるあたりのセットは、実にチャチで笑ってしまいますが、大トカゲに化身したりの大サービスで、お話自体はだんだん馬鹿々々しく、しかし、俄然、面白くなって来ます。
どんな物にも霊があるから、病院中のコンピュータを総動員して、そのエネルギーで悪霊を倒そうという事になります。
そして、最後には何と、宇宙空間に飛び出した四百年前のインディアンの霊と、コンピュータの霊との対決になるという、もうとにかく、何が何でも話を盛り上げようとする精神に満ち溢れていて、特殊撮影が少々お粗末でも、大目に見てやりたくなってしまう程の不思議なエネルギーがこの映画にはありましたね。
異邦人さん、コメントありがとうございます!
本作、トンデモ作品ながらも、他の作品には無い魅力にあふれた作品ですよね!
特に後半の何でもアリな展開は、他のメジャー系作品では絶対にできないような(やろうとすれば、どこかの大人に止められるような)何でもアリぶりがギュッと詰め込まれていて、何度観ても魅入ってしまいます!
最近では、こういうしっかりとした規模ながらも、変化球な展開のある作品も少なくなってしまいましたので、また復活して欲しいですね!