おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
面白B級映画王ラリー・コーエン監督・脚本、エリック・ロバーツ主演による、謎の殺人救急車とのバトルを描いた巻き込まれ型サスペンスアクション!!何故か、スタン・リーも出てます!!
作品紹介
日本劇場未公開
VHSリリース時タイトル アンビュランス
今回ご紹介する作品は、面白B級映画の帝王ラリー・コーエンの監督・脚本作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ある朝、漫画家のジョシュアが街で声をかけた美女シェリルが、突然糖尿病の発作で倒れてしまい、救急車で運ばれてしまう。
その夜病院に見舞に行くが、救急で運ばれてきた患者は存在せず、忽然と姿を消してしまったのだった。
警察に相談に行っても相手にされず、仕方なく、ジョシュアは独自に捜査を開始するが、その影にはある人物の狂気の陰謀が隠されていたのだった!?
エリック・ロバーツが謎の救急車と戦うサスペンスアクション作品です。
監督と脚本は、(空の大怪獣Q)、(悪魔の赤ちゃん)シリーズの監督や、(フォーンブース)、(マニアックコップ)シリーズの脚本や製作として知られる、
面白B級映画王、ラリー・コーエンで、本作でも、その程よいB級要素全開で、ヒッチコック風巻き込まれ型サスペンスアクションを演出しています。
主演は、ジュリア・ロバーツのお兄さんで、エマ・ロバーツのお父さん、(暴走機関車)、(スペシャリスト)、
最近では(エクスペンダブルス)や(バビロン)等の大作にも出演しているエリック・ロバーツで、激しいスタントもこなしながらアクションを盛り上げています。
で、前半のみの出演ですが、エリックが巻き込まれた事件の担当刑事役で、(星の王子ニューヨークへ行く)(フィールド・オブ・ドリームス)等の
名優ジェームズ・アール・ジョーンズが登場し、B級な世界観に説得力を持たせています。
で、中盤以降ヒロイン且つエリックのバディとなっていくのは、(インハビテッド)や(グランドゼロ感染源)等のミーガン・ギャラガーで、
脇役かと思いきや、後半は大活躍していきます。
で、出番は少ないですが、エリックが事件に巻き込まれる原因ともなる殺人救急車に連れ去られる役柄で、
(モンキーシャイン)や(クリフハンガー)等のジャ二ーン・ターナーが登場し、危機感を煽っていきます。
で、敵となるマッドサイエンティスト役で、(新猿の惑星)や(タイタニック)、(ザ・アウトロー)等のエリック・ブレーデンが登場し、
正体不明の謎の狂気の男を演じています。
で、本作のキャスティングで、もしかすると一番の注目ポイントとなるのが、主人公である漫画家エリックが務めるスタジオの上司役として登場する、、、、
スタン・リーです。
しかも、ちゃんとしたマーベルスタジオに努めている漫画家と上司、という関係ですので、スタジオが何度となく登場し、
その壁や、机の上にはハルクやキャプテンアメリカ、スパイダーマン等のイラストやポスターが常に目に入るところに映っていたりするシーンが何度となく登場します。
正直、漫画家設定は、事件で目撃した殺人救急車のイラストや被害者の女性をイラストにして目撃者を募る、
というぐらいの物語への活かし方で、作品規模的にわざわざスタジオのセットを作成するとは考えにくいので、
登場するスタジオは、ある程度マーベル関係の何かの施設(もしかすると本当のスタジオ)だと思われます。
このまだまだ若いスタン・リーの登場と、スタジオの登場は、マーベルファンの方にとってはかなりテンションが上がる展開なのではないでしょうか。
しかも、エリックがコミックの話を何度となく話して、刑事の一人がコミックに登場するキャラクターに似ている、
というギャグを繰り返しますので、結構なマーベルとの協力体制で製作されたと思われます。
という感じですので、スタン・リーはカメオ出演が多いですが、本作は、しっかりと出演者としてクレジットされています。
で、そんなスタッフ・キャストが集結した本作の物語は、かなりプレイボーイなエリックが、街中を歩くイケてる美女ジャニーン・ターナー演じるミシェルに執拗にナンパ攻勢をかけているシーンから始まります。
何を言われても拒絶されても、しきりに口説こうとする姿は、ストーカーギリギリな気もしますが、エリックの役柄上の能天気な雰囲気と相まって、
シェリルからも、『ハイハイ、あっちいってね。』ぐらいの軽い断り方をしていると、、、、、
急激にシェリルが眩暈を起こしだして、街中でフラフラっと倒れてしまいます。
エリックが勿論美女を放っておくはずもなく、すぐに救急車を呼び、仕事が終わったら見舞に行く、とシェリルに告げてその場を後にします。
どうも、シェリルは糖尿病を患っているようで、インシュリン不足で、眩暈がしていたようです。
で、仕事を終えて、近隣の病院を訪ねてみると、シェリルという名前の患者が救急で運ばれてきた記録が無い、
という事で、行方不明になった美女を探して、謎の救急車を追う本題の展開へと突入していきます。
で、ヒッチコック作品等ですと、この救急車の正体等は後半まで明かされずに、サスペンスの要素として引っ張っていくパターンが多いですが、
ラリー・コーエンの場合は、そちらは割と早めに放棄してしまって、攫われたシェリルが、ある施設に連れていかれて、
そこに現れたリチャード・ブライト演じるマッドサイエンティストに糖尿病の新薬を作るための人体実験にさせられそうになる、
という犯人側の目的が早々に判明してしまいます。
さらに、さらっている被験者はシェリルだけではなく、結構な人数を既に確保していて、しかも全員糖尿病患者で、
さらう方法も基本的には同じ年代物の目立つ救急車でさらう、という、それまで警察が動き出していないのが不思議なぐらいの奔放ぶりで、
エリックが、美女が攫われた事を通報しに警察に出向いても、応対したジェームズ・アール・ジョーンズは、くちゃくちゃとガムをかむのみで、全然取り合ってくれません。
殺人救急車設定も突飛な設定ですが、結構な人数が目立つ手口でさらわれているのに、警察は全く信じない、
この不自然な状況を、面白みのある設定と力業演出で強引に乗り切ってしまうのが、流石のラリー・コーエンの世界観で、
多くの大人が関わる大作映画では、実現しそうにない、B級感覚にあふれた世界観となっています。
監督のインタビューでは規格の意図として、(悪魔の赤ちゃん)同様に、通常安心感や安堵感を感じるような存在が、
急に他人の命を奪うような存在に変わったら、これほどの恐怖は無い、という逆転の発想で本作の物語も創造したようで、
もう、その設定さえ実現できれば、他は力業で押し切ってしまうという潔い感覚が、ツッコミ所が満載ながらも、しっかりと楽しめる内容となっています。
という事で、エリックが漫画家という設定も特に活かされることなく、入院した(させられた病院)先の病院の患者とバディを組んだり、
中盤からは、脇役だった婦警ミーガン・ギャラガーが急遽バディに昇格したり、と寄り道を繰り返しながら、
救急車の出どころを突き止めて行く事になります。
ただ、犯人の正体自体は、主人公達は知らないながらも、作品を鑑賞している側はとっくの昔に知ってしまっていますので、
救急車の隠し場所の意外性以外は、ストーリー的に特に驚く事はありませんが、脇役だったミーガンが急にバイデイ役を越えて、
主役級に単独で活躍しだす展開に驚く事になります。
で、当のエリック自身は、強く頼れるヒーローという感じではなく、終始ボロボロでぐにゃぐにゃ、這いずり廻って泥だらけ、
汗と切り傷跡と打撲痕にまみれて、常に後ろ髪を振り乱して転げまわている、という感じで、
到底B級アクションのヒーローとは程遠いキャラクターなのですが、クライマックス、ついにシェリルが監禁されている施設に辿り着き、
シェリルが拘束されているベッドに歩み寄るシーンが印象を残します。
エリック『シェリル、ニューヨーク中を探したよ。俺を覚えているかい?』
シェリル『ええ。』
エリック『警察も一緒だよ。もう、帰れるよ。』
シェリル『どこかに、売られると思ったわ、、。』
エリック『もう大丈夫だ。何も心配する事はないよ。』
シェリル『良かった、、。あなた、名前なんだっけ?』
エリック『ジョシュア。俺の名前はジョシュアだ。』
シェリル『ジョシュアお願い聞いてくれない?』
エリック『何だい?』
シェリル『ロビーに連絡して欲しいの。』
エリック『ロビー?』
シェリル『ええ、恋人のロビーに。』
、、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、
報われない!!
あんなに、命がけで駆けずり回ったのにっ!!
でも、その報われないのに、一目惚れした美女を救いたい一心で、(たとえ下心があったとしても)命がけでぐにゃぐにゃに成りながら走り廻るエリックは、まぎれもなくB級ヒーローなのでした。
という事で、ツッコミどころ満載過ぎる作品ではありますが、設定の面白さと、グイグイひっぱる物語展開の面白さで、
B級作品ファンの方でしたら十分楽しめる作品となっていますので、機会がありましたら、ご鑑賞してみてください。
作品情報
1990年製作 アメリカ製作 サスペンスアクション
監督・脚本 ラリー・コーエン
出演 エリック・ロバーツ、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ミーガン・ギャラガー、リチャード・ブライト、ジャ二ーン、ターナー、スタン・リー、エリック・ブレーデン
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