おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
ブレイク前のチャーリー・シーンが、正体不明の青年を演じ、80年代の名曲に乗ってニック・カサヴェテス率いる不良グループと違法レースを繰り広げる、サスペンスカーアクション！！
作品紹介
1987年2月21日公開
今回ご紹介する作品は、チャーリー・シーンがミステリアスな青年を演じるカーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
砂漠の荒野にある街ブルックスでは、高価な車の持ち主にカーレースを申し込んで、強引に高級車を奪うパッカード率いる不良グループが、犯行を繰り返していた。
そんなある日、街にジェイクという名の青年がやって来て、パッカードが想いを寄せるケリーと親しい仲となっていく。
同じころ、グループの前に謎の黒塗りのスポーツカーが現れ、パッカード達グループにレースを挑んでくるのだった！？
ブレイク前のチャーリー・シーン主演のサスペンスカーアクション作品です。
監督は、本作以外はセクシー系作品や、テレビドラマの1エピソード等を監督しているマイク・マーヴィン監督で、
何故か本作だけが異色ジャンルのサスペンスカーアクション作品となっています。
主演は、（プラトーン）に出演する直前の時期のチャーリー・シーンで、翌年以降も（ウォール街）、（ヤングガン）、（メジャーリーグ）と
連続して大作に出演していく事になりますので、本作はまさにブレイク直前に出演した作品となっています。
ヒロイン役には、90年代に（ワイルド・アット・ハート）や（ツインピークス）等でデビッド・リンチ監督作品の常連となる前のシェリリン・フェンで、
不良に言い寄られる分かり易いヒロイン像を演じています。
不良グループのリーダー役で、ジョン・カサべテスとジーナ・ローランズの息子であり、当時は（デルタフォース3）等のB級作品で俳優として活躍し、
その後監督として（私の中のあなた）や（きみに読む物語）、（ジョンQ最後の決断）等の傑作を世に生み出す事になるニック・カサヴェテスが、
感情移入度0な、生粋の悪人ボスを演じています。
で、不良グループを取り締まる側の警察官のシェリフ役で、（デイズ・オブ・サンダー）や（ラストダンス）、（インディペンデンスデイ）等の名脇役、ランディ・クエイドが登場し、
主人公や不良グループを追い詰めていきます。
という、その後のハリウッドで大活躍する若手キャストがブレイク前に結集して製作した本作の物語は、
いきなり説明無しに、夜空に怪しい光が差し、それが砂漠の荒野の一本道をスウッと駆け抜けて、光が集まった所にバァァッと光が広がって、
光の中から黒いスポーツカーとそれを運転する処刑ライダーが登場する、というド派手なオープニングから始まります。
本作がB級作品であることが、はっきりと理解できてしまうオープニングですが、いきなりのファンタジックなシーンで始まり、
宇宙空間から友好的な宇宙人か、侵略エイリアンが登場するのかと思いきや、登場するのがスポーツカーで、
しかも、一緒に黒ライダースーツにちょっとした器具を装着した、処刑ライダーも登場してしまいますので、
処刑ライダーの正体が、人間ではなく、夜空から光に包まれてやって来た、超自然的な存在である、という事がいきなり分かってしまいます。
本来なら、処刑ライダーの正体に纏わるエピソードだけで、結構な物語のサスペンス要素を掘り下げられそうですが、
本作では、そういう要素は、冒頭から放棄してしまって、ただただ、正体不明の処刑ライダーという謎の存在に、
街を荒らす不良グループが一人、また一人とレース勝負を挑まれて、ことごとく事故死させられていく、という悪党退治展開が繰り広げられていきます。
不良グループの悪行に関しては割と細かく描かれていますので、過去に一線を越えて殺人を犯していることも、
本作では、そういう、過去の実は、、、、というエピソードも引っ張ることなく、あっさり目に、しかも、悪党が、ふいに思い出した回想シーンとして、過去の悪行が描かれていきます。
勿論、処刑ライダーは無口なので、何故そんな事をするのか？という説明等もありませんが、悪党自身が過去の思い出にふける事で、なんとなく理解できるようになっています。
処刑ライダーと同時期に街に姿を現す青年役のチャーリー・シーンも非常にミステリアスで、シェリリン・フェンを魅了していきます。
処刑ライダーもチャーリー・シーンも何の説明もありませんが、奇をてらった演出や、他の作品では存在しそうなサスペンスが、あっさり目ですので、
物語が進むうちになんとなく、処刑ライダーの正体も、チャーリー・シーンの正体も分かるようになっていきます。
逆に言うと、最後まで鑑賞しても、なんとなくしか分かりませんが、、。
物語展開的にはシンプルで、物語やキャラクターを掘り下げる、という事が無い作品でありますが、その分、合間に挿入されるカーアクションシーンが割としっかり目で、
それぞれのシーンが、後の（ワイルドスピード）シリーズのようなガチンコ違法カーレースバトルになっていて、
さらに本作独自の特徴として処刑ライダーの目的は、レースに勝利する事では無く、復讐ですので、レースの終わりは必ずその車が大破してドライバーが絶命して終わり、
という爆破ありきの勝負ですので、そういう意味でも、他のカーレース作品とはまた違った魅力を持ったカーレースシーンとなっています。
しかも、不良グループメンバーの命を一人奪うごとに、処刑ライダーの身体に装着している器具が一つ消える、
という謎のシステムですので、復讐を重ねる事で、処刑ライダーの姿も変わ
っていく（と言っても、そんなには変わりませんが、、、）という、
ちょっとしたオマケ的な設定が、単調とも思える復讐物語を盛り上げています。
ただ、恐らく、エンディングでは、判断しずらいですが、全ての復讐を果たした処刑ライダーは、急に黒スーツも何もかも無くなるので、
恐らく、設定的には、黒スポーツカーと処刑ライダースーツは、復讐を遂げるための足かせ、のような意味合いだと思われます。
そのエンディングまで観終えると、冒頭のファンタジックな登場シーンとクライマックスの処刑ライダー、そしてチャーリー・シーンの設定が、
どういう事なのか良く分からないぐらいに、ブレブレにブレてはいますが、これが意外にもブレまくるのに、
終わりよければ全て良し、という感じで、スッキリとした良い余韻を残して終幕を迎える事になります。
この余韻は、恐らく、色んな説明（必要なものも含めて）を省いて、ミステリアスな主人公、謎の復讐者、悪党、美女、カーアクション（クラッシュ）、
という感じで、キーワードになるような要素だけに的を絞り、さらにその各シーンをゴキゲンな80年代ロックに乗せて描いている簡潔な表現の積み重ねの結果だと思われます。
チャーリー・シーンも（プラトーン）の撮影が忙しかったのか、主役なのに無茶苦茶存在感が薄い、というセガール作品のような登場の仕方ですが、
ミスステリアスな存在感と、堂々のモテモテぶりが、まだまだ魅力全開の時期ですので、出番は少なくても、
しっかりと作品の世界観を深める役目を果たしています。
という事で、最初から最後までツッコどころは、満載ですが、それをスルーできてしまうぐらいに、
生粋のB級作品としての魅力を放つパワフルな作品となっていますので、Bアクション好きの方や、カーアクション好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
若手時代の主演三人の弾けるような存在感が魅力的ですよ。
作品情報
1986年製作 アメリカ製作 サスペンスアクション
監督・脚本 マイク・マーヴィン
出演 チャーリー・シーン、シェリリン・フェン、ニック・カサヴェテス、ランディ・クエイド、マシュー・バリー、クリント・ハワード
↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓
映画レビューランキング
にほんブログ村
