ヴォイジャー(VOYAGERS)108分

投稿者: | 2022年7月27日

おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆

人類の新天地を求めて飛び立った宇宙船のクルー30人の子供達が、成長し、思春期を迎えた時期に反乱を起こして、厭な雰囲気満載になる限定された空間での集団心理SFサスペンス!!

作品紹介

2022年3月25日公開

今回ご紹介するのは、人類の移住計画のために飛び立った宇宙船内で起こる争いを描いたSFサスペンス作品です。

それでは、まずはあらすじから、

新たな居住可能な惑星を求めて、人類の希望を背負って旅だった子供達30人は、船内で健康的に成長していったが、

10年後、一人の乗組員が感情抑制薬を飲むことを拒否したことを発端に、船内は大混乱となっていくのだった!?

(レディプレイヤー1)等のタイ・シェリダンジョニー・デップの娘、リリー・ローズ・デップ共演のSFサスペンス作品です。

監督は(ダイバージェント)のニール・バーガー監督・製作・脚本という事で、おそらく、同じようなヤングアダルト小説のような世界観を再現したかった作品かと思われます。

ヤングアダルト小説風という事ですので、本作は、(ダイバージェント)(メイズランナー)(ハンガーゲーム)のように、基本的にティーン世代が世界観の中心で、それ以外の世代は完全な脇役です。

一応、おじさん世代のコリン・ファレルも登場しますが、完全なサブ扱いで、宇宙船や地球温暖化等の物語を描く上での一つの要因としての登場なので、

本格的な展開へは若者世代のみで入っていく事になります。

宇宙船内を舞台にしたヤングエクスプロイテーション作品、という感じでしょうか。

一応、コリン・ファレルも登場します。

要するにこの限定された宇宙船内での集団心理的なサスペンスを描くのが本作の本題で、地球の温暖化や、宇宙航行におけるアドベンチャーや、

未知の惑星でのアドベンチャー等のワクワクするような、SFマインドを刺激するような物語展開にはなりません。

むしろ、中盤SF作品だという事も忘れてしまいそうになるぐらいに宇宙、つまり船外のシーンが存在しないので、

完全に逃げ場のない限定された空間での心理サスペンスとなっていきます。

設定の面白みとしては、地球の温暖化によって人類が移住できる他の惑星を求めて、現地に旅立った30人の子供達が、

86年間かけて宇宙を航海し、孫の世代になってやっとたどり着く、という壮大な時間の流れがあり、本作に登場する主人公達は、

その壮大な流れの最初の世代、という部分に一番の面白みがあります。

最初の世代は、そのほとんどの人生を後の世代に引き継ぐためだけに存在する、という礎となる世代で、

人生をまるごと船内だけで過ごす事を強いられる、という悲しい世代です。

そんな悲しい使命を帯びた世代が、感情抑制のために飲まされていた薬を飲むことを拒否したことで、初めて思春期の高まる高揚感を味わう事になり、

そこで、本質的に暴力衝動等を持っていた者は暴徒化してしまう、という設定になっていきます。

その中でも比較的穏健派の主人公達が、なんとかルール通りに航海を進めようとするものの、奔放派の暴徒化が止まらない、という感じで、

どんどんと暴徒が活躍する物語になっていきます。

最近の中国作品にも良くある、悪役の悪党ぶりをメインに描きすぎて、善人の影がどんどんと薄くなる、という厭な雰囲気が満載の展開になっていきます。

ヤングアダルト小説系の作品には、こういう逆に悪役側のキャラクターの活躍を大きく描く、という作品も少なくないですが、

それは敵役を魅力的に描く事で、勧善懲悪ではなく、敵役側にも感情移入できるようになり、その結果として物語全体が深みのある物語になっていくのであって、

本作のように、初登場当初から、ニヤケ顔で、やりたい放題に暴徒化していくようなキャラクターにはなかなか感情移入しにくく、

終始一切感情移入できない厭なキャラクターの、厭な行動を客観的に見続ける事になります。

イケメン風で、同調していくメンバーたちも、普通の風貌なので、なんとか二つの派閥、が成り立っていますが、

見栄えが悪ければ、完全に悪党VS善人、という構図になってしまいそうなぐらいにやりたい放題の連続となっています。

結構な部分で突っ込みどころは満載(大人になった男女が衣装住を共にするのに、いろんな問題に対して感情抑制薬入りの液体を飲ませるだけの対処で、しかも色で薬の種類を分けているので見分けがつきやすい)ですが、

こういうSF作品にありがちなシーンはほとんど出てきません。

生まれてから死ぬまでを限定された空間で過ごす、という特異な状況で巻き起こるドラマをヤングアダルト小説風に描く、

というちょっと珍しいSFサスペンスとなっていますので、他の作品にはない、独特の雰囲気に満ちた作品となっています。

という事で、内容的には、賛否ありそうな作品ですが、SF作品としてよりも、限定された集団心理サスペンスとしては、楽しめる作品となっていますので、

サスペンス好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

作品情報

2021年製作 アメリカ・チェコ・ルーマニア・イギリス SFサスペンス

監督・製作・脚本 ニール・バーガー

出演 タイ・シェリダン、リリー・ローズ・デップ、フォン・ホワイトヘッド、コリン・ファレル、シャンテ・アダムス

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