おすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
トランプ政権最大のリーク事件を、FBIの尋問録音データから完全再現したシンプルで緊迫感溢れる実録サスペンス!!
作品紹介
2023年11月18日公開
今回ご紹介する作品は、実際に起きたリーク事件を、音声データを基に再現したサスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
2017年アメリカ、買い物から帰宅した25歳のリアリティ・ウィナーは、突然、機密情報に関する事件を捜査している二人のFBI捜査官に呼び止められる。
温和な口調で世間話から始まった質問だったが、会話は徐々に不穏な状況を帯び始め、やがてリアリティは窮地へと追い詰められていく!?
監督は、ニューヨークの現代演劇界で活躍する新進気鋭の劇作家ティナ・サッターで、初監督となる本作で、裁判で公開された実際の尋問音声記録をもとに緊迫感満載の映像を演出しています。
で、主人公となるリアリティ・ウィナー役で、(マダムウェブ)や(悪霊館)等のシドニー・スウィーニーが登場し、緊迫感満載の演技で追い込まれる主人公を好演しています。
で、尋問するFBI捜査官役で、(生きてこそ)や(ダークスカイズ)等のジョシュ・ハミルトンが登場し、主人公を追い詰めていきます。
で、その相棒となるFBI捜査官役で、(きみに伝えたいこと)や(Tuscaloosa)等のマーチャント・デイビスが登場し、ゴツイ体型で威圧していきます。
そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、主人公のリアリティ・ウィナーがスーパーで買い物を終えて帰宅するシーンから始まります。
で、自宅に入ろうとすると、ゴツい二人の男に制止されて、FBIという身分を明かされ、何かの事件に関して知らべる必要があるので、
とりあえずは、話を聞かせて欲しい、、、、という事で、いきなり本題に入っていきます。
何かの機密情報に関わる事件の尋問で、身の覚えの無さそうなリアリティが、捜査官に色々とはぐらかされながら、尋問を進めていく、
というのがメイン展開であり、本作の全てなのですが、和やかな世間話から始まって、段々と確信に触れていく中で、主人公が追い詰められてく様子が繊細に描かれていきます。
本作のセールスポイントは、、実際に起きた事件の裁判の音声記録を基に、その事件に関する尋問のやり取りを事実に忠実に映像化した
という、内容自体が売りになっている作品で、始まる前から既に結果は決まっていますので、主人公が既に犯罪者として逮捕されている事や、
何が行われたか?については周知の事実、という事が大前提として描かれていきます。
ですので、もしかして、主人公は無実かも?とか、陰謀に巻き込まれた?とか、真犯人に罪を着せられた?とか、そういう娯楽映画的な要素はありません。
しかも、裁判記録の音声から、一語一句そのまま本作の登場人物の台詞として再現しているそうで、そういう意味でも、盛り上げようとする映画的な要素は排除されています。
そのまま、という部分が本作の売りであり、リアル感を感じる部分でもあるので、実際のリアリティ本人が感じた緊迫感を再現した、
本当の意味での再現映像となっています。
ただ、この事件をニュース等で、リアルタイムで見聞きしていたアメリカ人と、今現在製作された再現映像として、
初めて詳しく知る事になるアメリカ以外の国の人々が観るのとでは、恐らく印象が変わると思われ、アメリカだと、
『あの女性が逮捕された事件の真相はこういう事だったのか!』
という感想に対して、それ以外の国では、
『特に害の無さそうな女性が、何かの陰謀に巻き込まれている?』
という、映画的な目線で見る事になると思われます。
で、事件を詳しく知らずに見始める立場だと、
前半の捜査官の尋問の、トンデモナイレベルの回りくどさが、凄まじく、
犬の話、猫の話、静かな部屋があるかないか、スマホのロック、食品を冷蔵庫に入れる入れない、近所の様子、通っているヨガの様子、ウエイトリフティングの重さ、等々、等々、等々、、、、
全く核心に触れる事なく、しかも、主人公も、何の罪状で調べられているのか?を一切質問しないので、
お互いにその尋問と捜索に関する核心にずっとずっと触れないままに、、、、、、
、、、32分が経過します。
雑談で!
しかも、核心に触れそうになると、はぐらかして猫の話を始めたり、という感じで、お預け状態で、限界ギリギリまで引っ張る、という感じで、神経を逆なでしてきます。
で、これが、事件の事を知っていて、この主人公が犯罪者として捕まる事を知っている立場だと、お預け状態というよりも、
少しずつ事件の確信に迫って行く過程を楽しみ、すでに罪を犯したを分かっている主人公が、どの段階で罪を認めていくのか?
等、別な角度(というより本来の見所)で観る事ができますので、緊迫したやり取りが、さらに真に迫ったものに感じられるかと思われます。
という流れで、33分以降は、何が起こって、主人公は何をしてきたのか?という事も徐々に理解できていきますので、
そこからの、シドニー・スウィーニーの演技がかなりの名演で、尋問で追い込まれていくに連れて、揺らいでいく内面を、
大きなアクションや身振りを使う事なく、台詞と表情だけで全て表現して行きます。
その所作を観ているだけで、本当にそのような態度だったと、思わせるぐらいの説得力で、シンプルな作品を最後まで見せ切ります。
恐らく、他のキャストでは、ここまでの表現はできなかったのではないでしょうか。
そうは、言っても音声データからの再現なので、身振りや表情等は全て想像なのですが、、、。
という事で、本題に入るまでが、かなり長く感じますが、そういう点でも、リアルを追求した緊迫感溢れる作品となっていますので、
サスペンス好きの方や、実録もの好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2023年製作 アメリカ製作 実録サスペンス
監督・脚本・製作総指揮 ティナ・サッター
出演 シドニー・スウィーニー、ジョシュ・ハミルトン、マーチャント・デイビス
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