お薦め度 ★★★★★★☆☆☆☆
スウェーデンの奥地で独自の文化を育んできたコミューンを訪れた若者たちが経験する恐怖の9日間!!
作品紹介
2020年2月21日
今回ご紹介するのは、(ヘレディタリー継承)が大ヒットしたアリ・アスター監督が映画製作会社【A24】と組んで製作した第2弾です。
それでは、まずはあらすじから、
アメリカで暮らすダニー(フローレンス・ピュー)とクリスチャン(ジャック・レイナー)のカップルは交際中だがうまくいかずに破局寸前だった。
そんな不満を募らせているところへ、家族の突然の理不尽な不幸などが重なり、次第にダニーは精神的に追い詰められていく。
精神的にも限界寸前の中、クリスチャンが男友達3人とスウェーデンで夏至に行われる祝祭に参加する旅行に出かける事を知る。
不満を爆発させるダニーにクリスチャンは関係修復のため、旅への参加を進める。
旅でハメをはずすつもりだった仲間3人はダニーの参加を渋々了承するが、お互いは心地よくは思っていなかった。
そんな微妙な人間関係の中、スウェーデンの人里離れたヘルシングランド地方の小さな共同体についた若者たちは、下界と離れ、そこで一見普通に暮らす人の良さそうな人々と、寝食をともにすることになるが、彼らには下界の人々とは全く違った想像を絶する文化を持っていた。
期待の新星アリ・アスター監督の最新作です。
長編第一回作品(ヘレディタリー継承)では、独特の感性を爆発させ、巧妙に散りばめられた伏線の回収と、かなりショッキングな展開で、一躍人気の監督となりました。
本作は、その大ヒットを受けて、スケールも大きくなり、アメリカから離れた地で起こる悲劇を美しい映像と音楽に乗せて描く、というさらに独自の世界観を堪能できる作品となっています。
原題のMIDSOMMARとはスウェーデンで6月下旬に行われる、夏至をお祝いする伝統的なお祭りの事で、英語表記だとMIDSUMMERですがスウェーデンでの表記はMIDSOMMARとなるそうです。
今回もアリ・アスター監督作品らしく、美しく綺麗な映像を見せたかと思うと、それとは対照的な、ある意味観客に意図的な不快感をあたえるような映像が続きます。
前回はそんなシーンが伝統的な暗く恐ろしいホラーストーリーに見え隠れする、という流れでしたが、
本作では、一転して、まるで美しい異国の独特の文化を紹介するドキュメンタリーのような流れで物語は展開していきます。
とは言っても、冒頭で既にきつい展開があってからの本題、という感じなのですが、、。
例によってかなりショッキングな内容を含んでいるために、かなり好みの分かれる作品だと思われます。
見る人によってはかなりの拒絶反応があるかもしれません。
それぐらいにショッキングな内容を含む本作ですが、良くも悪くも、この他では味わえない独特の不快感がアリ・アスター監督作品の特徴といえそうです。
耐え難いほどの家族の不幸に襲われて主人公のダニーは恋人とその仲間たちと共にスウェーデンの奥地にあるあるコミューンを訪れる事になります。
そこでは、衣食住や繁殖繁栄なども含めて、長年独自の文化が形成されていて、90年ごとに9日間の夏至祭が行われます。
そこで、仲間の一人である交換留学生のペレに誘われる形で、このコミューンに仲間で訪れる、という流れでメインの話へと入っていきますが、
アリ・アスター監督特有の、なんでもない映像の中に少しだけ不安感を入れるような伏線が序盤から張り巡らされていて、
美しい大自然の広がる風景と文化を見ているのに、なんとなく不安感を感じてしまいます。
この不安感が段々と膨らんで行って、中盤以降、訪れている来客たちが、なんらかの理由で姿を消していく、ぐらいから不安感は、募り、逃げ出したくなるような、
何かに追い込まれていっているような感覚に陥ってしまいます。
前作(ヘレディタリー継承)もそうでしたが、この静かに少しづつ、良くない方向に向かって行ってしまっているのに、
それに気付いたころには、もう逃げ場がない、という物語展開と細かい演出が素晴らしく、厭な思いをしているのに観ずにはおれない、という中毒性も持った作品となっています。
後半は、もう流れに身を任せるのみ、となりますが、とんでもない悲劇の連続で、受け入れがたいような状況に放り込まれた末に、
主人公がたどり着いた境地は、ラストシーンの表情に全て集約されているように感じられます。
主役を演じたフローレンス・ピューは、感情の起伏が激しい非常に難しい役どころを見事に好演し、観ている側にもその辛さが伝わってくる名演技となっています。
本作の好演を機に、その後(ストーリー・オブ・マイライフ)や、(ブラックウィドー)などで大活躍中ですので、今後も期待ですね。
という事で、(ヘレディタリー継承)に続き、本作も鑑賞に結構な覚悟のいる作品では、ありますが、独特の感性と映像体験のできる唯一無二の作品となっていますので、
機会がありましたら、ご鑑賞ください。
作品情報
2019年製作 アメリカ・スウェーデン製作 ホラーサスペンス
監督 アリ・アスター
出演 フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ヴィルヘルム・ブロングレン
スタッフ・キャスト
監督は(へレディタリー継承)のアリ・アスター。
主演は(トレインミッション)、(ストーリー・オブ・マイ・ライフ私の若草物語)、(ブラックウィドー)と近年活躍著しいフォローレンス・ピュー。
共演に(フリー・ファイヤー)、(リチャードの秘密)のジャック・レイナー、また(デトロイト)や(メイズランナー)シリーズでお馴染み、一度見たら二度と忘れない容姿の持ち主ウィル・ポールター等今一番波に乗っている若手注目株ばかりです。
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まえからこの映画すごい気になってました!
メインビジュアルを見たら「感動系」の映画としか思えないんですけど、ホラーなんですね。
しかも不快感がスゴイって…
「ミスト」もラストは凄く不快でしたけど、この映画がどんな不快感を見せつけてくれるのか逆に楽しみです。
こんにちは、いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。本作はとにかく、いや~な雰囲気が静かにすっと流れていて、後半に畳みかけるようにその厭な雰囲気が押し寄せてくる感じです。(ミスト)も不快感全開のラストでしたよね。確か原作を読んでから鑑賞したのでラストの変化にびっくりしたのを覚えています。本作は、もう、らすとだけではなく、ずっと厭な感じですので、びっくりするというより、観ている間ずっと不安感が募る感じでした。そんな感じの作品ですので、ご鑑賞の時には十分注意してくださいね。