お薦め度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
富裕層のハンティングゲームに強制参加させられた主人公の命を懸けたサバイバルを、主人公以外の登場人物が強引に活躍して見せ場をさらっていく、という斬新すぎるレディースアクションの変化球、というより大暴投作!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、マンハントに強制参加させられる女性を描いたレディースアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
東欧のある国、そこで暮らすイローナは、ある日突然現れた武装集団によって拉致される。
森の奥深くで、富裕層向けに執り行われるマンハントに強制参加させるためだった。
その狩りの模様はインターネットの闇サイトによって、世界中に配信されていた。
窮地に追い込まれたイローナは、人質に取られた兄を救出するために脱出計画を実行する!?
ある日突然拉致された女性主人公が、富裕層が取り仕切るマンハントに強制参加させられるが、機転を利かせて逆襲する、というある意味一つのジャンルともなりつつある、王道のレディースアクションです。
似たような作品は挙げだしたらキリがないぐらいに最近多いですが、中でもブラムハウスプロダクションズが製作した(ザ・ハント)などは、
最近拡大生産中の同ジャンルの作品群の中では、そのお決まりになったともいえる物語展開を逆手に取った、観ている側の予測を遥かに越える快作となっていました。(詳しくはこちら)
そこで、本作ですが、本作はまずB級作品ながらも、有名なスターが2人も出演しています。
一人は(リーサルウェポン)シリーズのマータフ刑事役や(プレデター2)、(ソウ)の1作目、B級作品では製作にも参加したスパイク・リー監督も参加している(ヴァニシングチェイス)(詳しくはこちら)、最近では(ジュマンジネクストレベル)(詳しくはこちら)でも印象的な役柄を演じていた名優ダニー・グローバー。
そしてアクションファンとしては、アルバート・ピュン監督の永遠の名作サイボーグアクション(ネメシス)(詳しくはこちら)主演のオリビエ・グラナーです。
オリビエ・グラナーは流石にアクションヒーローとしての活躍は少なくなってきていますが、体形も以前と変わらず、そこにいるだけで、ヒーロー的なオーラが出ています。
という二人のレジェンド級のスターが出演している本作ですが、あくまで本作は女性が主役のレディースアクション作品なので、主役はベトラ・シランダーという他の作品ではあまり見かけないお人形さんのような人になります。
どういった経緯でこのベトラ・シランダーが主役としてキャスティングされたのかは謎ですが、本作では、(ザ・ハント)のように計算された変化球ではなく、
変化球としうより、ある意味大暴投と言っても良いぐらいの展開に突入していきます。
まずは、冒頭で主人公を悪者たちが拉致しにきます。
その現場には兄であるオリビエ・グラナーがいて、妹をかばっていますので、軽くアクションでもあるのかと思いきや、
簡単にのされて、あっけなく連れ去られていきます。
で、オリビエ・グラナーは救出に向かうのかと思いきや、そのまま別の場所に連れていかれて、なんと妹をマンハントに強制参加させるための人質となります。
あんなゴツイおじさんを拉致するというリスクを負うよりも、ただ単に『マンハントに参加しなければ、殺す』と言えば、それで済む話だと思うのですが、、、。
本作は他にも色々と予測を越えてきます。(下回ってきます、と言った方が良いですね、、)
で、いよいよマンハント開始となりますが、その前にマンハント用の勝負服(アクションヒロイン御用達の白タンクトップ)に着替えさせられる、というセクシーサービス目的のみのシーンが入ります。
その意味なく逆光で丁寧に取られた着替えシーンはご愛敬といった感じで、B級作品では定番シーンといった感じですので、レディースアクション作品としての期待感は少し煽られます。
と同時にマンハントする側の富裕層の様子も描かれます。
こういったタイプの作品では、この流れも定番ですが、本作で登場する富裕層は一味違います。
どう考えてもその辺にちょっと繁華街に買い物に出かけた若者、ぐらいにしか見えない普通のカップルが3組ほど参加しているんです。
何かの間違いか、何か特別な理由があるのか(誰かに家族を人質に取られて、逆に狩る側で強制参加させられているとか)とも思いましたが、
このゲーム参加に10万ドル払っている、という台詞もありましたので、完全に金銭を支払って弱者をしとめるために能動的に参加した倫理観を疑う若者カップル、という事になります。
なかなかの予想を遥かに越える(下回る)設定です。
普通、こちら側のキャラクターは絶対感情移入できない役柄ですので、その役柄に見合った外見や雰囲気を持った人がキャスティングされるはずですが、
本作はあまりにも普通過ぎます。
むしろ、演技力の問題で感情がほとんど表に出ない主人公よりも感情が豊かです。
しかも、その中の一人は、『やっぱり、こんなゲームに参加するのはやめよう』と
彼氏に提案する、という普通の一面も見せながら、いざゲームが始まると、そんな事関係なしにゲームを楽しみだす、というブレブレの存在となっています。
で、当然、差し有的に逆襲に合って、狩る側が散っていくわけですが、本作はそこも予想を裏切ってきます。
その狩る側で参加したカップルの内の男性一人が、ゲーム中にまさかの裏切り行為に走り、主人公を助けて逆に狩る側の参加者を殺してしまいます。
さらに逃げ廻っているだけの主人公の手を取り、一緒に逃げ始めるんです。
そこから、さらにまるで脇役だった参加者の一人が急に主役級になり、しかも格闘アクションまで繰り広げる大活躍展開になっていきます。
しかも、この格闘が結構時間を割いて丁寧に描かれていますので、その謎の行動とプラスしてもしかしたら、これからレディースアクションと見せかけて男性ヒーローアクションに突入するのか?と、ちょっと期待は高まります。
それと同時に、捕まっているオリビエ・グラナーは敵の幹部の女性の色仕掛けにハマる、という特に必要とは思えないシーンを挟みつつ、
ラスト近辺になって参加する側のキャラクターが、主人公を助けた驚愕の理由とオリビエ・グラナーがその後どうなったか?
という重要な結末に繋がる興味津々な怒涛のクライマックスとなっていきます。
一応ネタバレを含んでしまいますので、作品を真っ新な状態で楽しみたい、といった方は以下の文章で結末にふれますので、ご注意ください。
という事で、クライマックスの展開ですが、オリビエ・グラーは結局そのまま簡単に殺されてしまいます、、。
もう、何故オリビエ・グラナーをキャスティングしたのか、全くわかないぐらいにあっさりと、です。
で、もう一つの物語上の重要な要素である、主人公を助けてくれたキャラクターの、その気になる助けた理由は、、、
なんと、そのキャラクターは、人を殺す、という行為に尋常じゃない楽しみを見出していて、主人公側に着いたほうが、より楽しんで人を殺せると判断したから、
というトンデモない理由でした。
なんなんですか、その理由は!
途中で、主人公を助けた時は、完全にヒーロー化して格闘アクションを繰り広げてたじゃないですか!
で、そのキャラクターがその意外性に説得力を持たせるために言い放つ台詞が、『お前たちには、俺たちのような人間の楽しみなんか分からないだろう』と言います。
いや、分からんて!
初めから、そういう態度で接してくるならまだ分かりますけど、そんなにしょっちゅう、違う人みたいに善人になったり、悪人になったりされたら、もう分かりません。
という事で、終わってみれば、結局主人公がやったことは、逆光でのセクシー着替えと終始森の中を悲鳴を上げて逃げ回るだけ、
というなかなかの大暴投なレディースアクション(?)作品となっています。
DVDジャケットの武器を持って仁王立ちしている写真は、ほとんどミスリードのイメージ写真ですね。
ここまでくると、ある意味途中から逆に面白くなってきて、逆に楽しめますので、お時間の余裕のある時にでもご鑑賞ください。
それにしても、この逃げ惑うだけで、とくに反撃もしない女性が、このマンハントに選ばれた理由が最後までわかりませんでいした、、。
どう考えても物語的にも、映画製作的にもミスキャスト、、、。
作品紹介
2016年製作 アメリカ製作 レディースアクション
監督 ブルーノ・ボーセナット
出演 ベトラ・シランダー、ダニー・グローバー、オリビエ・グラナー、ニナ・セウル
その他のレディースアクション作品
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